米国で最大かつ最も質の高い古代エジプト美術コレクションを有する、ニューヨークのブルックリン博物館から、選りすぐりの名品群が集結する展覧会「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が、1月25日から東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される。展覧会を監修する気鋭のエジプト考古学者、河江肖剰さんと、公式アンバサダーをつとめる菊池風磨さんが記者会見に登場し、みどころや意気込みを語った。
米国最大規模の質の高い古代エジプト美術コレクションが来日
ブルックリン博物館は、1895年に開館したアメリカ国内でも長い歴史を持つ博物館。ニューヨークではメトロポリタン美術館に次ぐ2番目の大きさで、収蔵品は150万点を超える。モネやドガ、シスレー、ピサロ、ルノワール、クールベなど印象派の絵画や、浮世絵の充実したコレクションに加えて、古代エジプト美術コレクションは、彫刻、レリーフ、絵画、陶器、パピルスなど、1,200点を超える貴重な作品を含み、米国で最大かつ最も質の高いコレクションとされる。その貴重なコレクションから、彫刻、棺、宝飾品、陶器、パピルス、人間やネコのミイラなど、選りすぐりの名品約150点が集結する。
「特別展 古代エジプト」のみどころは?
古代エジプトで、人々はどんな暮らしを営み、何を食べ、どんな言語を話し、何を畏れていたのか。ピラミッドはなぜ、どのようにして造られたのか。ミイラに託されたメッセージは、死後の世界とは……。同展では、これまで開催されてきた古代エジプト展ではあまり紹介されてこなかった、“そこに生きる人々の営み”にフィーチャーする。
「ピラミッドのすぐそばには、ピラミッドを作った人たちの住居跡が発見され、『ピラミッドタウン』と呼ばれています。ナイル川の東側、太陽が登ってくる方向に住居があり、ナイル川の西側、太陽が沈む方向にはお墓しかないと聞いたことがあるかもしれせんが、4,500年前のピラミッド建設は当時の国家プロジェクトですから、実際にはピラミッドのそばに街を建てたんですね。今回の展覧会では、これまであまり焦点が当たることのなかった実際の人々が、例えば一体何を食べてどんなところで寝ていたのか、当時の台所ってどんな形だったのか。そういったことに関わる作品も紹介します」と、監修の河江肖剰さん。
当時の住居環境や食生活、仕事事情、身だしなみ、出産や子育てなどに着目し、5,000年以上前から高度な文明があったことを物語る資料をはじめ、古代エジプトに生きた人々の日常生活が垣間見える作品群を展観し、最新技術を使ったピラミッドの研究成果も紹介する。
また、クフ王やラメセス2世など、先王朝時代からプトレマイオス朝時代までの3,000年の王朝史を通じて活躍した、12人の王にまつわる作品から、王の姿と王朝の変遷をたどっていく。さらに人や動物のミイラ、美しい副葬品の数々、葬儀のための道具や神々の姿をあらわしたレリーフなど、葬送儀礼に関する作品から、ミイラはなぜ、どのように作られたのかといった、古代エジプト人の死生観に迫っていくという。
音声ガイドナビゲーターも務める菊池風磨さんは、今回の公式アンバサダー就任について「とても嬉しいですね。大人になったなと感じました。僕のように古代エジプトに興味はあるけど、深くは知らない人たちの第一歩になれば。ひとつ知るともっと様々なことが知りたくなる。無数に興味が広がっていく感覚を僕と一緒に触れていただけたらと存じます」と意気込みを語った。
5,000年以上前に高度な文明を創出した人々の営みをひも解く展覧会「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」は2025年1月25日から4月6日まで、森アーツセンターギャラリーにて開催。