女優の松本若菜が主演するフジテレビ系ドラマ『わたしの宝物』(毎週木曜22:00~ ※TVer・FODで見逃し配信)の第6話が、きょう21日に放送される。

夫以外の男性との子どもを夫の子と偽り産み育てる「托卵」をテーマにした今作、とうとうその子の本当の父ではないと知った夫が、妻に“天罰”をくだす――。

  • 『わたしの宝物』に出演する深澤辰哉 (C)フジテレビ

    『わたしの宝物』に出演する深澤辰哉 (C)フジテレビ

何げない父と子の戯れが…

今作は「托卵」というセンセーショナルなテーマを介在させることで、一見すると好意的な場面でも全く別の意味を持たせる、そんな怖ろしさを演出することに成功している。例えば第3話から第4話にかけての、美羽(松本若菜)が亡くなったと思っていた冬月(深澤辰哉)と再会する過程だ。

冬月が美羽との約束を果たそうとするあの場面は、不倫でなければ純愛にも見えただろうし、不倫であったとしてもどうしても止めることのできない激情を描いたメロドラマに映ってもおかしくなかった。しかし今作は「托卵」という事実が立ちはだかっているため、視聴者にとっては“決して再会してはいけない2人”という、怖ろしい場面として体感することができた。

そのピークとも言えるのが、前回のラストだ。宏樹(田中圭)が“栞の爪を切る”という場面、画面上では何げない“父と子の戯れ”でしかないのに、視聴者はすぐにその真の意味が分かってしまう。その爪がDNA鑑定へ…という画面上の情報とは全く真逆の感情=“怖ろしさ”を感じざるを得ないこのギャップの到達点とも言っていいほど、秀逸な場面であった。

  • 松本若菜 (C)フジテレビ

事実から一人だけ取り残されていた冬月

さて、今回の第6話を迎えるにあたり、登場人物たちが“何を知り、何を知らないのか”について振り返っておきたい。

まず美羽だが、当然この物語の主人公であるため、我が子が夫との子どもではないこと、そしてその父親が誰であるかも含めて、「托卵」に関わる全てのことを知っている存在だ。しかし前回それを暴露してしまった友人の真琴(恒松祐里)が、なぜそんなことをしてしまったのか…そこに宏樹への秘めた想いがあることを美羽はまだ知らずにいる。

対する宏樹は、前回の真琴の暴露により、妻の不倫とその末にできた子どもだということを知り、失意の末のDNA鑑定によってそれが確証へと変わった。だが肝心の“本当の父”は誰なのか、まだ知らない。

かたや暴露した側の真琴は、“本当の父”が誰であるのか、“母親の勘”によって察知しているのだが、そもそもなぜ美羽が不倫に走ってしまったのか、その知られざる夫婦関係…“本当の宏樹”を知らない。

そして肝心の「托卵」の中心人物である“本当の父”冬月はというと、ここまで次々と明らかになっていく事実から一人だけ取り残されるように、まだ何も知らない…。

  • 田中圭 (C)フジテレビ

散り散りになった事実たちがどのように明かされていくのか

それを踏まえた上で第6話では、前回の暴露をきっかけに、宏樹が子どもの栞を連れ姿を消したその先…が描かれるのだが、登場人物それぞれの、何を知り何を知らないのか、そしてその中で、何を語り何を語らないかによって、物語に大きなうねりが生じていく。

美羽の「托卵」へ至ってしまった経緯は、夫婦関係のディテールを知らない人物…真琴にとっては理解不能の怒りにつながってしまったわけだが、それを知る人物…宏樹にとってはどうだったのか。怒りなのか悲しみなのか、ただの“言い訳”になってしまうのか。散り散りになった事実たちがどのように明かされていくのか注目してほしい。

一方、ここまでは“知る”ことによって多くのドラマチックを生んできたが、“知らない”ことによってどんどん負荷がかかっていき、追い詰められていく冬月の動向にも目が離せない。

気が付けばとうとう“地獄”へたどり着いてしまった美羽。ついにその“天罰”が下されるのだが、その内容とは。そしてその先には一体何が待っているのか。どうしても見守らずにはいられない。

  • (C)フジテレビ