年末近くになると、「ふるさと納税」の駆け込み寄付をする人が多くなります。これは、今年の寄附の対象期間が12月末までであることと、12月の給料が出た後は正確な控除上限額がわかるため、上限額を超えない範囲ぎりぎりで寄付ができるためです。とはいえ、上限額を誤って、控除できる金額以上の寄附をしてしまうと、その分は全額自己負担となってしまいます。このような、年末駆け込み寄付をするときに気をつけたいポイントをまとめましたので、ぜひチェックしてみてください。
控除上限額の調べ方
多くのふるさと納税サイトには、自身の控除上限額を確認できる「控除上限額シミュレーション」が用意されています。年収と家族構成を入力すれば、大まかな控除上限額がわかる簡単なものから、詳細に入力することでより正確な控除上限額を出すものまであります。
控除上限額の計算には、年収や家族構成、住んでいる地域のほか、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除、医療費控除なども関係します。そのため、より正確な控除上限額を知るためには、源泉徴収票や確定申告書が必要になります。しかし、それらを手に入れられるのは、年末調整後や確定申告をした後になります。年末の時点で知るには、所得控除を個別に確認して詳細シミュレーションなどを使って調べなければなりません。
収入があまり変わらない人や保険料などに変更がない人は、昨年分の源泉徴収票や確定申告書を参考に控除上限額の目安と調べるといいでしょう。
詳細シミュレーションでも「あくまでも目安」との但し書きがあり、すべてが考慮されているわけではないことは留意しておきましょう。
控除上限額ぎりぎりまで寄付しない
詳細シミュレーションで上限額を求めたとしても、具体的な計算は住んでいる市区町村が行います。税理士でもない限り、間違いなく控除上限額を出すことはできないと考えましょう。上限額を超えると全額が自己負担となるので、寄付金の総額は、誤差を考えて上限額ぎりぎりにならないように気をつけましょう。
控除上限額の目安(早見表)
決済方法によって受領日が異なる
ふるさと納税は年間を通していつでも行えますが、その年の所得から控除を受けるためには12月31日までに寄附金の入金が完了していなければなりません。入金の完了日は、受領証明書に記載される「受領日」になります。受領日は決済方法によって異なります。
- クレジットカード・・・決済が完了した日
- QRコード決済・・・決済が完了した日
- 銀行振込み・・・指定口座に振り込まれた日
- コンビニ決済・・・コンビニで支払った日
- Pay-easy決済・・・Pay-easyで支払った日
申し込みをした日と入金した日が異なる場合は、入金をした日が受領日となるので気をつけましょう。
また、自治体によっては、12月31日前に締め切る場合があるので、ふるさと納税を行いたい自治体の申し込み期限を確認しておきましょう。
ワンストップ特例制度の期限に注意
ワンストップ特例制度は、1年間の寄付先が5自治体以内である場合に、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄付金控除が受けられる制度です。
申請期限は寄付をした翌年の1月10日(必着)です。年末駆け込み寄付をした場合は、自治体から申請書を受け取って、すぐに申請しないと間に合わないスケジュールとなります。年末年始は郵便が混み合うので特に注意が必要です。
スケジュールに余裕がない場合は、オンライン申請が便利です。オンライン申請はマイナンバーカードとスマートフォンがあれば申請できます。自治体によっては対応していない場合もあるので確認しましょう。
ワンストップ特例制度の期限に間に合わなかった場合は、確定申告で寄付金控除を受けましょう。
人気の返礼品は品切れになる
12月は寄付が集中するため、希望した返礼品が品切れになることがあります。また、返礼品が届くまで時間がかかることも念頭に置く必要があるでしょう。目当ての返礼品がある場合は早めに寄付を始めましょう。
2025年は9月に駆け込み寄付が起こるかも !?
総務省は今年の6月に、ふるさと納税の見直しとして、ポイント付与を禁止する告示を出しました。寄付に伴うポイント付与の競争が過熱していることと、サイトを運営する仲介業者に支払う自治体の経費がかさんでいることが理由としています。
ふるさと納税でポイントを貯めている人にとっては悪いニュースです。ポイントが禁止されるのは、2025年10月からとなるため、その前の9月に駆け込み寄付が起きる可能性があります。人気の返礼品は早々に品切れになると考えられるので、2025年の寄附は早めにスタートした方がいいかもしれません。今後もふるさと納税制度健全化のための改正は続いていくでしょう。