JR北海道は、11月16日に発生した函館本線森~石倉間の貨物列車脱線に関して、11月18日に調査報告を公開した。脱線が発生したと推定される森~石倉間の鷲ノ木道路踏切で、損傷した下り線側右レールに著しい腐食が見られたという。

  • 函館本線森~石倉間の貨物列車脱線が発生した11月16日以降、特急「北斗」は全区間または一部区間運休となっていたが、11月19日から運転再開したとのこと

一方、鷲ノ木道路踏切の下り線側左レールと上り線側左右レールに著しい腐食はなかったとのこと。現時点で運輸安全委員会から脱線の原因について言及されていないが、JR北海道は「レール腐食が脱線の原因の一つになった可能性が高い」と考えている。

同社は目視によるレールの傷・腐食の検査を年1回、レール探傷車による傷の有無の検査を1~4年に1回実施しており、傷があった場合は超音波探傷器を用いてレールの傷や腐食の状態を詳細に検査している。今回の問題点として、目視が困難な踏切内であることから、超音波探傷が主たる検査手法となるが、当該踏切で検査をした際、超音波探傷器での超音波エコー表示に途切れが発生していたと説明。本来は敷板を外しての確認が望ましいが、そうしたルールになっておらず、目視の確認がレール頭部に限定されており、当該損傷レール腹部の腐食状況を把握できていなかったという。

レール内部に発生する傷やレール底部に発生する腐食に着目した検査は過去にも行っていたが、レール腹部の腐食が先行してレール損傷が発生することは予見していなかったと同社。今回の事象を受けて、鷲ノ木道路踏切を含め、鹿部~長万部間の類似条件下(貨物走行線区、海沿い、レール経年30年以上、曲線、レール探傷車の再検査箇所)の7踏切(10カ所)について、11月18日までに再度、超音波探傷器による点検を実施。うち3踏切(5カ所)について、敷板を撤去しての目視確認を実施し、対象すべての踏切で安全を確認したとのこと。

今後は実施範囲を拡大し、超音波探傷器による点検を実施する。運輸安全委員会による原因究明に引き続き協力するとともに、同種事故の再発防止に向けて、鉄道総合技術研究所に設備管理手法等について相談の上、取り組むとしている。