ヤマハ発動機は、新進気鋭のデニムアパレルブランドであるTOM WORKSのコラボレーションを行い、「AICHAKU」をコンセプトに「XSR125」をベースとしたオブジェとコラボレーションアパレルを製作。2024年11月16、17、18日の3日間、東京・下北沢にて「ヤマハ発動機×TOM WORKS 合同POP UP Store」をオープンした。

  • 11月16、17、18日の3日間、東京・下北沢にてオープンした「ヤマハ発動機×TOM WORKS 合同POP UP Store」

ヤマハ発動機が展開する「Dynamic Art Project」by YAMAHA MOTORは、オブジェや映像、イベントなど様々な表現やコンテンツを通して、人の心を「動かす」ことを目指すアートプロジェクト。TOM WORKSとのコラボレーションはその第一弾となる。

今回のコラボではヤマハ発動機の「XSR125」をベースにTOM WORKSプロデュースでアートオブジェを製作し、そのオブジェを用いたスペシャル動画を制作。また、動画に登場する「DENIM JUMPSUIT(つなぎ)」も、TOMWORKS ONLINE SHOPや「ヤマハ発動機×TOM WORKS 合同POP UP Store」などで限定商品として販売される。

  • 店内の様子

今回のヤマハ発動機とのコラボについて、TOM WORKSのデザイナーであるシマジリサトシ氏は「ヤマハさんのバイクをデザインしているGKダイナミックスさんという会社のデザイナーさんが僕達のお客さんにいらっしゃって、その関係で今回声を掛けていただくことになりました」と振り返る。

  • TOM WORKSのシマジリサトシ氏

ヤマハ発動機とのコラボが決まったものの、「実はバイクに乗ったことも触ったこともなかったので、最初は本当にどうすればよいものかと思いました」と苦笑い。「GKダイナミックスさんに助けてもらいながら、いろいろなデザインをイメージしつつ、作り上げていった感じです」。

「XSR125」をベースとしたオブジェについては、「僕達はやはりデニムブランドなので、コラボアイテムにも使っている生地を脱色して、被せているのがポイント」とのことで、「使い込んだデニムへの“愛着感”と、ずっと乗り続けたバイクへの“愛着感”、さらに100年後という時間のイメージも加えた仕上がりになっています。100年間使い続けられたのか、放置されたのか、そのあたりのストーリーも想像してもらえれば面白いかもしれません」。

  • 「XSR125」をベースとしたオブジェ

仕上がりのイメージについては「僕達好みですごく気に入っています。バイクに乗ったことがないので、あくまでも自分たちが考えるカッコよさですが、ちょっと寂れたような、グランジ感のあるものが好きなので、そういった要素を加えています」と今回のデザインに至った意図を明かし、さらに草花を取り入れることによって、アート作品として仕上げていったという。

「実際にバイクの乗られる方がどのように捉えられるかはわかりませんが、バイクに乗っていない方、特にアパレル関係の方からはカッコいいと言ってもらえます」と笑顔のシマジリ氏は、ひとつのデザイン、ひとつのアート作品として楽しんでほしいとアピールする。

今回のコラボにおけるコンセプトは「AICHAKU」。「デニムの場合、履き込んで、どんどんボロボロになっていくのがカッコいいみたいなカルチャーがあるじゃないですか。バイクに関してもやはり、自分でカスタムしたり、乗り込んでいくことによる変化を楽しんでいらっしゃる方が多いのではないかと思います」とデニムとバイクの共通点を指摘し、「実際に古いバイクを大切に乗っていらっしゃる方も多いと思うので、そこの“愛着”は同じだと思っています」というシマジリ氏。「そして、デニムに関しては藍色を着るという意味で“藍着”、そして偶然の出逢いを意味する“逢着”。“逢着”の正しい読み方は“ホウチャク”ですが、“アイチャク”と読めないこともない(笑)。そんな言葉遊びも交えつつ、3つの意味を持たせた『AICHAKU』をコンセプトとしています」。

TOM WORKSでは、「XSR125」のオブジェに加えて、「やはりバイクに乗る方にも注目してもらいたい」との思いから、コラボレーションアパレルとして「ジャンプスーツ(つなぎ)」を製作。「単純に僕達のイメージですが、ジャンプスーツがカッコいいなと思ったんですよ。相談していたGKダイナミックスさんからも同じようなお話をいただいていましたし、バイクの整備をする方もみんなつなぎを着ているじゃないですか」と、バイクとの親和性が高く、デニム素材を活かせるアイテムとしてジャンプスーツが選ばれた経緯を明かす。

  • コラボレーションアパレルのジャンプスーツ

デザイン面は、実際にバイクに乗ることを想定したものとなっており、「前かがみになってもストレスのないように肩のプリーツが入っていたり、フロントのポケットが革のライダースジャケットから着想を得たDポケットをつけたりしています」。さらに、エルボーパッチやニーパッチで補強することによって、実用性を高めているという。さらに、「つなぎはいわば作業服なので、ちょっとポテっとしたデザインになりがち」という点をアパレルという観点から問題視し、「ウエストを少し上に上げることで、日常のファッションとしても着られることを意識したデザインになっています」。

「TOM WORKS × YAMAHA MOTOR Collaboration "the Jumpsuit"」は、IndigoとWhiteの2色に、クラッシュ加工を施したものを加えた4ラインナップが展開されている。2024年11月末頃までの受注生産で、2025年3月~4月頃の配送予定。

さらに、今回のコラボでは、「XSR125」のオブジェとジャンプスーツを使ったスペシャル動画も製作。「2人の男女がバイクをきっかけに昔を思い出す」というコンセプトとなっており、「古い和風の建物にバイクという、ちょっとした違和感のある組み合わせを映像の中で表現したかった」との理由で、長野県駒ヶ根市の宮田宿にて撮影が行われた。

映像製作の経験はまったくなかったこともあり、「予想以上に大掛かりになって、本当に大変なロケでした」と苦笑いのシマジリ氏だが、ここでも人の繋がりに助けられたと振り返る。「OBF TOKYOさんという映像制作会社があるのですが、そこの方も僕達のお客さんで、その関係性もあって製作をお願いすることになりました。GKダイナミックスさんもそうですが、今回のコラボは本当にお客さんに助けていただいたところが大きいので、人の繋がりの重要性をすごく感じましたし、それが今回一番うれしかったことかもしれません」。

デニムブランドとして注目を集めるTOM WORKSだが、「実は作っている僕達もデニムをあまり履かないタイプだった」と打ち明ける。そして、実際にブランドを立ち上げるにあたって、デニムに注目。そこからデニムに向き合い始めたという。「その意味では、あまり偉そうなことは言えないのですが、今は自分が着たいと思えるデニム作品が作れている」と自信を覗かせる。

「僕達のデニムはボロボロになっていくことを前提としたデザイン」というシマジリ氏。「そういった想いで作っているので、徹底的に着込んでいただけたほうがうれしい。ボロボロになるまで履いて、直して、またボロボロになって、また直して。その繰り返しで、5年、10年と使い続けてもらって、『こうなりました』って見せてもらえたら最高じゃないですか。デニムはやはり経年劣化を楽しめるアイテムだと思っているので、雑に扱っても良いので、何も気にせずに楽しんでもらいたいと思っています」と、デニムの良さをあらためてアピールする。

今回のコラボを通して、「今まで、TOM WORKSというブランドを知らなかった方、特にヤマハさんのバイクに乗っている方に知ってもらって、使ってもらえるようになれば良いなと思っています。逆に僕達のお客さんが、ヤマハさんのバイクに乗ってくれたり、この2つのブランドが合うよねって思ってもらえるとうれしいです」と期待を寄せ、「TOM WORKSでは、デニム以外にも、ドレスパンツやドレスシャツも作っていて、今後はスウェットやもっとラフに着られるものにも展開していく予定です。そして、今回のヤマハさんのような異業種の方とのコラボレーションがすごく楽しく、面白かったので、今後も積極的に取り組んで、新しい世界観を広げていきたい」と、今後のさらなる展望を明かしてくれた。