鉄道・運輸機構は18日、岩塊の出現によりトンネル掘削を停止していた羊蹄トンネル(有島)他工区に関して、岩塊の撤去が完了し、同日からトンネル掘削を再開したと発表した。「引き続き安全に留意して工事を進めてまいります」としている。
北海道新幹線の新函館北斗~札幌間は2030年度末の完成・開業をめざし、工事を進めてきたが、複数のトンネルにおいて「掘削前のトンネル発生土受入地確保の難航」「掘削開始後の予期せぬ巨大な岩塊の出現」「想定を上回る地質不良」などが発生。2024年の時点で3~4年程度の遅延が生じているという。地質不良の継続に加え、2024年4月以降に「働き方改革」が実施されたこともあり、2030年度末完成・開業という目標達成はきわめて困難な状況となっている。
長万部~倶知安間の羊蹄トンネルでは、シールドマシンを使用したSENS工法(シールド工法とNATMをあわせたトンネル工法。シールドマシンによる掘削と同時にコンクリートでトンネル内面を覆う)によりトンネル掘削を進めていたが、岩塊が出現したことを受け、2024年4月から羊蹄トンネル(有島)他工区(工区延長4,245m)で掘削を停止していた。
その後、学識経験者からの意見を踏まえ、2024年8月からオールケーシング工法(地上から「ケーシング」と呼ばれる鉄製の筒を回転しながら地盤に挿入し、ケーシングの中を掘削することで岩塊を取り除く工法)による岩塊の撤去を進めてきた。岩塊を除去し、トンネル掘削再開に向けた準備が整ったことを受け、11月18日からトンネル掘削を再開したとのこと。