PGF生命は11月12日、「『おとなの親子』の生活調査2024」を発表した。調査は2024年9月10日~9月11日、70歳以上の実の親がいる40~69歳の男女2,000名を対象にインターネットで行われた。
「今年の年末年始に親に会う予定がある」別居親子の68%
別居親子に、今年の年末年始に親に会う予定はあるかを聞いたところ、「会う予定はない」は32.1%となり、会う予定がある人の割合は67.9%、顔を合わせる日数の平均は2.1日だった。2023年5月のコロナ5類移行から2回目の年末年始を迎えるなか、コロナ前の生活風景が定着している実状を垣間見ることができる。
「親から生前贈与を受けたことがある」40代・50代の子では約1割
70歳以上の実の親がいる40~69歳の男女2,000名(全回答者)に、親からの生前贈与もしくは相続について親子間で協議したことがあるかを聞いたところ、「協議したことがある」は18.9%、「協議したことはない」は81.1%となった。年代別にみると、「協議したことがある」と回答した人の割合は、40代15.0%、50代19.3%、60代22.4%と、生前贈与や相続対策の必要性を感じる人は年代が上がるにつれて増えるようだ。
親から生前贈与を受けたことがあるかを聞いたところ、「受けたことがある」は13.2%、「受けたことはない」は86.8%となった。年代別にみると、「受けたことがある」と回答した人の割合は、40代(11.0%)と50代(10.9%)では約1割にとどまった。
相続対策の状況「まだしていない」が8割超
相続対策を既にしているかを聞いたところ、「している」は13.8%、「していない」は86.2%となった。大多数が相続対策に着手していない実状が明らかとなった。年代別にみると、「している」と回答した人の割合は、40代9.8%、50代12.4%、60代19.2%となった。
前回の調査結果と比較すると、「している」と回答した人の割合は、全体では3.7ポイントの上昇(前回調査10.1%→今回調査13.8%)となり、年代別では60代(前回調査14.9%→今回調査19.2%、4.3ポイント上昇)で上昇幅が大きくなった。
「実家じまい」を経験した人は1割弱
自身や親が経験する可能性があることについて、経験の有無や不安感の有無について質問した。
全回答者(2,000名)に、実家じまい(実家を処分すること)を経験したかを聞いたところ、「経験した」は8.4%、「経験していない」は91.6%となった。年代別にみると、「経験した」と回答した人の割合は、40代(6.3%)と50代(6.9%)に比べて60代(11.9%)が高くなった。
実家じまい(実家を処分すること)を経験していない人(1,833名)に、実家じまいを経験することに不安を感じるかを聞いたところ、「不安を感じる」は53.7%、「不安を感じない」は46.3%となった。
「親の住み替えを経験した」1割強、60代では2割
次に、全回答者(2,000名)に、親の住み替えを経験したかを聞いたところ、「経験した」は12.9%、「経験していない」は87.1%となった。年代別にみると、「経験した」と回答した人の割合は、上の年代ほど高くなる傾向がみられ、60代では20.3%だった。
親の住み替えを経験していない人(1,742名)に、親の住み替えを経験することに不安を感じるかを聞いたところ、「不安を感じる」は36.8%、「不安を感じない」は63.2%となった。
「介護離職」を経験した人は1割未満
全回答者(2,000名)に、介護離職を経験したかを聞いたところ、「経験した」は5.2%、「経験していない」は94.8%となった。
介護離職を経験していない人(1,896名)に、介護離職を経験することに不安を感じるかを聞いたところ、「不安を感じる」は51.5%、「不安を感じない」は48.5%となった。
親の介護で不安なこと、TOP2は「精神的負担」「体力的負担」
全回答者(2,000名)に、親の介護について、不安を感じることを聞いたところ、「精神的負担」(34.8%)と「体力的負担」(34.5%)が特に高くなった。次いで高くなったのは、「介護と仕事の両立」(25.6%)、「介護に関する情報や知識が足りない」(24.6%)、「介護費用が足りない」(21.8%)だった。介護と仕事を両立できないのではないか、介護について知らないことが多いのではないかといった不安を抱えている人や、金銭面で介護を続けられなくなるのではないかといった不安を抱えている人も少なくないことがわかった。
男女別にみると、男性では「精神的負担」(29.3%)、女性では「体力的負担」(41.9%)が1位だった。年代別にみると、40代では「介護と仕事の両立」が32.1%、「介護費用が足りない」が28.2%と、全体と比べて5ポイント以上高くなった。きょうだいの有無別にみると、きょうだいがいない人では「相談相手がいない」が18.8%と、きょうだいがいる人(7.8%)と比べて11.0ポイント高くなった。同居親子・別居親子についてみると、同居親子では「体力的負担」が44.9%と、全体と比べて10ポイント以上高くなった。
「親の老後の生活破綻を経験することに不安を感じる」が3割
親が老後に経験する可能性のある生活破綻について質問した。
親の老後の生活破綻を経験したかを聞いたところ、「経験した」は2.2%、「経験していない」は97.8%となった。
親の老後の生活破綻を経験していない人(1,957名)に、親の老後の生活破綻を経験することに不安を感じるかを聞いたところ、「不安を感じる」は30.7%、「不安を感じない」は69.3%となった。
長生きリスクに備えて親が準備していること、1位「貯蓄・資金の確保」
長生きすることで、経済的に困窮するなどのリスク(いわゆる"長生きリスク")が生じる。この"長生きリスク"に対する備えについて質問した。
全回答者(2,000名)に、長生きリスクに備えて、自身の親は準備をしているかを聞いたところ、「準備をしている」は12.7%、「準備をしていない」は87.3%となった。親の大多数が、長生きリスクへの備えをしていないことが明らかになった。
長生きリスクに備えて親が準備をしている人(254名)に、長生きリスクに備えて、自身の親はどのような準備をしているかを聞いたところ、1位は「貯蓄・資金の確保」となった。老後の生活に必要な資金が不足しないよう、親自身がしっかり準備しているという人が多いようだ。次いで、2位「資産運用・投資」、3位「年金」「保険加入」、5位「仕事の継続」「節約」となった。
親の今後やサポートの不安1位「健康状態・病気」
全回答者(2,000名)に、親の今後やサポートについて、不安やリスクを感じることを聞いたところ、「健康状態・病気」(66.3%)が突出して高くなり、「認知症」(49.1%)が続いた。親が病気を患うことや認知症になることに不安やリスクを感じている人が多いようだ。次いで高くなったのは、「生活費」(13.9%)、「相続」(13.7%)、「孤独死」(9.5%)だった。
同居親子・別居親子についてみると、同居親子では「認知症」が53.9%、「生活費」が19.5%と、別居親子(順に47.9%、12.3%)と比べて5ポイント以上高くなった。
年齢を重ねて"親に似てきたな"と思うこと、1位は「性格」
全回答者(2,000名)に、年齢を重ねて"親に似てきたな"と思うことがあるかを聞いたところ、「ある」は51.9%、「ない」は48.1%と、半数以上が親に似てきたと自覚していることがわかった。
男女別にみると、「ある」と回答した人の割合は、男性47.7%、女性56.2%と、男性と比べて女性のほうが8.5ポイント高くなった。
"親に似てきたな"と思うことがある人(1,039名)に、年齢を重ねて"親に似てきたな"と思うことを聞いたところ、1位「性格」(35.0%)、2位「生活習慣」(27.2%)、3位「食の好みや好きな味付け」(23.5%)となった。ふとした瞬間に、親と性格や生活習慣、食の嗜好がそっくりだと感じる人が多いのでは。また、「口ぐせ」(20.2%)や「怒り口調」(18.7%)など言葉遣いに関することも上位に挙がった。
男女別にみると、男性では2位「生活習慣」(29.1%)、3位「行動パターン」(20.5%)、女性では2位「食の好みや好きな味付け」(26.3%)、3位「生活習慣」(25.6%)だった。
大人になってから"親との関係性が変わった"と感じたこと
全回答者(2,000名)に、大人になってから"親との関係性が変わった"と感じたことがあるかを聞いたところ、「感じたことがある」は14.4%、「感じたことはない」は85.7%となった。男女別にみると、「感じたことがある」と回答した人の割合は、男性8.3%、女性20.4%と、男性と比べて女性のほうが12.1ポイント高くなった。
大人になってから"親との関係性が変わった"と感じたことがある人(287名)に、どのように変わったかを聞いたところ、「自分たちが頼られる存在になった」「親のサポートを受ける側からサポートする側になった」「守られる立場から支え合う立場になった」といった、立場・役割の変化に関する回答や、「若い頃は喧嘩が絶えなかったが歳をとって仲が良くなった」「子どものときは怖い存在、大人になったら飲み友達」「やや距離が狭まった気がする」といった、仲の良さ・距離感の変化に関する回答がみられた。
また、「子どもが生まれてから親のありがたみがわかった」「親の生き方を尊敬できるようになった」「客観的に見られるようになった」など、親に対する意識や気持ちが変わったという回答や、「大人同士の話し合いができるようになった」「反対意見を言えるようになった」「いろいろ相談できるようになった」など、親子の会話の内容が変化したという回答もみられた。
親の尊敬できるところ、見習いたくないところは?
全回答者(2,000名)に、親の尊敬できるところを聞いたところ、1位は「真面目・誠実」だった。物事に真摯に取り組む親の姿に、尊敬の念を抱いている人が多いようだ。次いで、2位「優しい」、3位「自分を育ててくれた・子どもを育てた」、4位「我慢強い」、5位「仕事を頑張っている・頑張った」となった。
男女別にみると、男性・女性ともに1位は「真面目・誠実」となり、男性の2位は「優しい」、3位は「自分を育ててくれた・子どもを育てた」、女性の2位は「我慢強い」、3位は「仕事を頑張っている・頑張った」となった。
他方、親の見習いたくないところを聞いたところ、1位「頑固」、2位「わがまま・自分勝手」、3位「怒りっぽい」、4位「掃除・片付けが苦手」、5位「自己中心的」となった。
男女別にみると、男性では1位「頑固」、2位「わがまま・自分勝手」、3位「怒りっぽい」、4位「適当・いい加減」、5位「お酒を飲みすぎる・酒癖が悪い」「短気」、女性では1位「頑固」、2位「掃除・片付けが苦手」、3位「わがまま・自分勝手」、4位「怒りっぽい」、5位「愚痴が多い」「自己中心的」だった。
これからしたい親孝行、1位は「会いに行く・顔を見せる」
全回答者(2,000名)に、これから親孝行としてしたいことを聞いたところ、1位は「会いに行く・顔を見せる」だった。元気な顔を見せて一緒の時間を過ごすことで、親に喜んでもらいたいと考える人が多いのでは。次いで、2位「旅行をする」、3位「話をする・話を聞く」、4位「一緒に食事をする・ご馳走する」、5位「介護をする」となった。
男女別にみると、男性では1位「旅行をする」、2位「会いに行く・顔を見せる」、3位「一緒に食事をする・ご馳走する」「介護をする」となった。
理想の「おとなの親子」だと思う芸能人親子ランキング
全回答者(2,000名)に、自身が理想とする「おとなの親子」の関係を築いていると思う芸能人親子(1組)を聞いたところ、テレビ番組やイベントなどで度々親子のエピソードを披露している「高橋 英樹さん&高橋 真麻さん」が1位となり、2位「関根 勤さん&関根 麻里さん」、3位「明石家さんまさん&IMALUさん」、4位「渡辺 謙さん&杏さん」、5位「ヒロミさん&小園 凌央さん」と続いた。
理想の芸能人親子として挙げた理由をみると、「高橋 英樹さん&高橋 真麻さん」では「お互いに尊重しているように見える」「親子で常に話し合っていそう」「お互いに愛情たっぷり接している感じがする」、「関根 勤さん&関根 麻里さん」では「友達のように仲が良い」「どちらもとても性格が優しそう」、「明石家さんまさん&IMALUさん」では「適度な距離感で生活している」「それぞれが自立している」といった回答がみられた。
前回の調査結果とあわせてみると、「高橋 英樹さん&高橋 真麻さん」が2年連続1位、「関根 勤さん&関根 麻里さん」が2年連続2位となった。
理想の親子が登場するアニメ1位は「サザエさん」
今の自身にとって「理想の親子」だと思うキャラクターが登場するアニメを聞いたところ、三世代同居の古き良き親子関係が描かれている「サザエさん」がダントツとなり、2位「クレヨンしんちゃん」、3位「ドラゴンボール」、4位「ちびまる子ちゃん」、5位「天才バカボン」と続いた。
挙げた理由をみると、1位の「サザエさん」では「言いたいことを言い合える関係」「三世代で仲良く暮らしている」「ほのぼのして平和を感じる」、2位の「クレヨンしんちゃん」では「親の子どもに対する愛情が伝わる」「口喧嘩をしつつも、お互いのことを思いやっている」、3位の「ドラゴンボール」では「子どもが親を尊敬している」「お互い高め合っている」といった回答があった。