ロッテはこのほど、全国「噛む力調査」2024の結果を発表した。調査は2024年10月3日~10月7日、全国47都道府県別の20~60代男女4700名を対象にインターネットで行われた。
全国「噛む力」ランキング1位は群馬県
今回の全国「噛む力」ランキング1位は群馬県(偏差値:75)となった。続いて、2位に宮崎県(偏差値:74)、3位に沖縄県(偏差値:69)がランクインした。1位の群馬県は、意識面と知識面を問う質問において、すべて10位までにランクインした。2位の宮崎県は、全体的に得点が高い傾向にあり、3位の沖縄県は、知識面を問う「噛むこと」のメリットを聞く質問で、群馬県と同率で全国で最も高い得点を獲得した。
2021年に実施した20~60代を対象にした調査と2022年に実施した子どもを持つ親を対象にした調査で1位となった秋田県は、今回全体の「噛む力」ランキングでは12位となったものの、よく噛むことを「いつも意識している」「よく意識している」と回答した人が約半数の49%と「よく噛むことへの意識」においては1位という結果になり、「噛むこと」への意識の高さが伺えた。
一方で、今回の調査において「噛む力」が最も低かったのは3年前と同じ富山県。同県は、「やわらかい食べ物」をよく食べている割合同率3位、夕食時の一口あたりの噛む回数10回未満の割合3位という結果になった。
最も「よく噛むこと」を意識しているのは20代
食事の際に「よく噛むこと」を意識しているか聞いたところ、38.4%の人が「いつも意識している」「よく意識している」と回答した。性年代別で比較すると、意識していると回答した人がや47.1%と20代が最も割合が大きく、30代~60代の平均36.3%よりも10ptも大きい結果となった。よく噛むことを意識していると回答した人にその理由について聞くと、「健康面において重要だと考えるため」という回答が最も多く、次に「ダイエットにおいて重要だと考えるため」という回答が多い結果となった。
若い世代ほど「かたい食べ物」を食べ、咀嚼回数が多く、ガムを噛んでいる
「かたい食べ物」と「やわらかい食べ物」でどちらを食べることが多いか聞いたところ、「かたい食べ物」と回答した人の割合が大きい順に、20代(44.0%)、30代(36.7%)、40代(35.3%)、50代(35.1%)、60代(34.9%)という結果となり、若い世代ほど、「かたい食べ物」を食べることが多いことがわかった。
また、夕食時の一口あたりの噛む回数を聞いたところ、「20回以上」と回答した人の割合が大きい順に、20代(23.9%)、30代(20.3%)、40代(16.4%)、50代(15.2%)、60代(15.0%)という結果となり、咀嚼回数においても、若い世代ほど、よく噛んでいることがわかった。かたい食べ物をよく食べ、しっかり咀嚼していることが伺える。
さらに、普段どのくらいガムを噛むか聞いたところ、「毎日噛む」「よく噛む」「時々噛む」と回答した人の割合が、20代(38.4%)、30代(36.1%)、40代(28.1%)、50代(27.4%)、60代(26.3%)という結果となり、若い世代ほど、ガムを噛んでいることがわかった。
「フーセンガムをいつも膨らませる」60代が57.8%に対し、20代は31.2%
顎や舌、唇の筋肉を動かすことに役立つフーセンガムを膨らませることができるか聞いたところ、「いつもできる」と答えた割合は57.8%と60代が最も多く、年代が下がるに連れ、割合が低くなり、20代は31.2%と25pt以上の差が開いた。また、20代では、そもそも「フーセンガムを膨らませたことがない・わからない」と回答した人の割合が最も高くなった。
3年前より「噛むことを意識している」と回答した人、+2.9pt
「よく噛むこと」への意識について、「意識している」と回答した人が35.5%だった3年前の調査結果と比較すると、今回は38.4%と2.9pt大きい結果となった。
また、夕食時の一口あたりの咀嚼回数についても、「20回以上」と回答した人の割合が、3年前は15.1%、今回は18.2%とこちらも3.1pt大きくなった。
県民性の専門家が上位県の噛む力を解説
本調査結果を受けて、県民性の専門家である岩中祥史氏が見解を語った。
「よく噛むことを意識している」「夕食時の一口あたりの咀嚼回数が20回以上」と回答した人が増加するなど、3年前より「噛む力」が上がったのは、「よく噛む」ことが健康やダイエット・美容に寄与する可能性があることに意識を向ける余裕が生まれたからだと岩中氏は推測する。
2021年はコロナ禍のさなかで、それどころではなく、個食や黙食が奨励され、外食の機会も激減したことで、食べる楽しみを多くの人が奪われた。「噛む」という行為はそうした社会の動向と深く関わっている側面があるのかもしれないとのこと。「心に余裕を持って食卓に向かえば、自然とゆっくり噛み、よりおいしく食べられるので体にもいい。その原則を多くの人が思い出したのではないでしょうか」と岩中氏は述べている。
また、今回1位だった群馬県については、「コシが強く、なかには10センチなどというものもある幅広のうどん(水沢うどん、おきりこみ、ひもかわ)を根菜類とともに、普段から食べつけている影響だと推察される。噛めば噛むほどおいしいと言われるサバの『へしこ』『ぬた』、丸焼きが伝統食とも言える福井県もまた、日頃から噛む機会が多いのかもしれない」とコメントしている。
「どちらの調査でも上位だった宮崎、沖縄、鹿児島の人は、飲みながらしゃべりながらもよく噛んで食べる、ある意味"理想的な"習慣が身についていると言えそう。沖縄には『ゆんたく』といって、ご近所どうし、旅人を迎えたとき一緒に飲み食いしながらおしゃべりに興じる独特の習慣があり、お墓参りのあとは墓石の前での宴がつきもの。宮崎・鹿児島の両県は鶏肉や牛肉を生で食べる習慣があるのが、『噛む力』をはぐくむのに影響しているのかもしれない」(岩中氏)。