Windows Recallは、NPU(ニューラルネットワーク プロセッシングユニット)を搭載したWindows PC(Copilot+ PC)で、スクリーンショットを含めたユーザー操作を記録し、検索対象とする機能である。
Microsoftが発表した直後は、プライバシー問題やシステム負荷増が疑われるような否定的な意見も少なくなかったものの、NPU未搭載PCしか所有していない筆者にとってWindows Recallは、“対岸の火事”だった。
筆者はSnapdragon搭載のSurface Proも購入しておらず、記憶の片隅に追いやっていたWindows Recallだが、再び周辺が騒がしくなってきた。Windows Recallは本来、発表直後の2024年6月からパブリックプレビューを行うと告知していたが、それが10月、そして12月と延期を重ねている。
大勢に影響はないものの、今後はIntel/AMD製プロセッサーがNPU機能を内包すると、さまざまなローカル処理にMicrosoft AI(Copilot+ PC)を使用できるため、2025年はWindows Recallの登場に注意を払う必要があるだろう。
個人的にはWindows Recallの有無よりも開発進捗に関心を持ってしまうが、開発マネージャーの能力なのか、たび重なるセキュリティ要件の影響なのか、Microsoft開発陣は難儀しているようだ。
ただ振り返れば、Windows 11自身の進展も芳(かんば)しくなかった。2021年6月にWindows Insider向け、同年10月には正式公開されたものの、安定性を求めるにはバージョン22H2を待たなければならず、バージョン23H2でもテキストエディターで文章を書いている横から、エクスプローラー(Explorer.exe)が再起動する場面も珍しくなかった。
バージョン24H2に更新すると安定してきたように見えるが同社は、Canaryチャネルで配付中のビルド27749でも調整・改良を重ねている。
まだまだゴールは遠い。OSの安定化とブランド再構築のどちらが先になるのだろうか。11月中旬にWindows Server 2025が登場したことから、クライアントOSも“Windows 2025”になる可能性も出てきた。
このあたりの憶測も面白いが、我々は安定版(バージョン24H2)を中心に使用し、サブPCや仮想マシンでDevチャネルやCanaryチャネルのWindows 11をインストールして最新機能を検証するのが平穏だ。
なお、Windows Recallは情報収集対象の除外や、自身を無効にする機能を備えている。詳しくはMicrosoftのサポートページを参照してほしい。
蛇足だが、MicrosoftはWindows 11に関わるAI機能を“Windows Intelligence”に統一する可能性が出てきた。Copilot+ PCのシステムファイルや「設定」など各所から、Windows Intelligenceの一端が見受けられているという。
このあたりも不明瞭な情報ながらも、日本時間19日から開催する「Microsoft Ignite 2024」で明らかにするのだろうか。Windows 11の周辺は不安定ながらも常に前進している。