東京ミッドタウン八重洲で11月14日から、クリスマスイベント「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024」が開催されている。“ジャパンクラフト”をテーマにしたイルミネーションでは、石川県で盛んな伝統工芸の金“金継ぎ”から着想を得た約5mのインタラクティブツリー「キンツギツギキ」が1Fガレリアに登場し、行き交う人の視線を集めている。
日本をはじめ世界中から人々が集まる旅の玄関口・八重洲は、江戸時代から日本の職人が集う「クラフトマンシップ」の街として栄えてきた。今年のイルミネーションは、元旦に発生した能登半島地震の傷痕が今なお残る石川・能登エリアにゆかりの深い文化に光を当てるプロジェクトとして、金箔の日本一の生産地で、輪島塗など漆芸が伝わる石川県で盛んな“金継ぎ”にフォーカス。「ヒカルキンツギ」を空間テーマに、金継ぎをモチーフに作られたインタラクティブツリー「キンツギツギキ」が幻想的な光を灯している。
金継ぎは、割れたり欠けたりヒビが入った陶磁器を漆で接着し、その継ぎ目を金や銀、朱色などでかざる日本の伝統的な修理技法で、修理するだけではなく、欠けた部分を自身の想像力で補いながら、そこに美を見出すもの。傷を隠すのではなく、金粉で際立たせるように修理する金継ぎは、傷を認め、受け入れ、傷ごと愛しつづける精神的な側面も含まれているという。
隣接するアトリウムでは、自身もアトリエが被災し、現在は震災で破損した陶器・漆器の金継ぎボランティア活動中である美術家、ナカムラクニオ氏による作品も展⽰されている。さらに氏を講師に迎え、輪島産の漆・金沢産の金粉を用いた金継ぎも実践。ワークショップによる収益は一部経費を除いた後、石川県の復興支援として寄付される。
自身も夏から石川県・能登エリアにボランティアとして赴いた総合演出の満永隆哉さんは、「東京と石川とを繋ぐ玄関口である八重洲で、ただ綺麗に街を彩るのでなく、石川・能登エリアに光を当てながら、繋がりを可視化できるようなものを作りたい」との思いから金継ぎに着目。このプロジェクトをきっかけに、石川・能登の出来事を風化させないだけでなく、現地への復興支援に少しでも興味を持ってもらう機会になればとコメントした。「キンツギツギキ」は同館1F ガレリア(屋外広場)にて、12月25日まで開催。点灯時間は16:00~23:00。
なお同館5FのYAESU TERRACE では、シャンパンゴールドのイルミネーションで樹木を彩る「Illumination TERRACE」も開催中。見る角度によって光の輝き方が変わる集光型のLEDライトを採用したイルミネーションが、東京駅の夜景とともに幻想的な空間を演出している。こちらは2025年2月16日まで開催。点灯時間は16:00~23:00。