豚ぷん堆肥とは?

豚ぷん堆肥は、豚のフンを主成分とし、おがくずや籾殻などを7:3くらいの割合で混ぜて発酵させた動物性堆肥の一種です。植物性堆肥に比べて肥料成分が高く、即効性があることが特徴で、土壌改良材として使用されるよりも、肥料としての利用が一般的です。

豚ぷん堆肥の成分

豚ぷん堆肥は、豚の飼料由来のでんぷんやたんぱく質を多く含むため、肥料成分が豊富で即効性があります。そのため、土壌改良材というより、作物の成長を促す肥料として使われることが一般的です。しかし、銅や亜鉛などの重金属が多く含まれているため、使用を避ける人も居ます。また、豚ぷんは十分に発酵させても、時間を掛けて熟成させないと臭いが残ることがあり、使う際にはこの点にも注意が必要です。

豚ぷん堆肥の特徴

豚ぷん堆肥は、リン酸や窒素を多く含んでおり、特に窒素は2~3%と高めです。このため、土の中で早く分解し、作物にすぐに効果が現れます。ただし、大量に使うと、分解が急激に進み、熱や有害ガスが発生することがあるため、量には気を付ける必要があります。また、豚ぷんを発酵させ、ペレット機で圧縮・乾燥させることで、扱いやすいペレット状の堆肥が作られます。発酵がしっかり進んでいれば臭いは気になりませんが、熟成が不十分な場合は臭いが残ることがあります。

豚ぷん堆肥が適している作物の例

豚ぷん堆肥は、豚がさまざまなものを食べるため、窒素やリンといった栄養が豊富です。特にリン酸の効果が高く、作物の成長に大きく役立ちます。
具体的な作物でいうと、じゃがいも、玉ねぎ、胡瓜、レタス、インゲン豆、サラダ菜、ほうれん草などの野菜に適しており、これらの栽培に使うと、根の成長が良くなり、収穫量が増えることが期待されます。

豚ぷん堆肥と他の堆肥の違い

一般的に市販されている堆肥には、牛ふん堆肥、鶏ふん堆肥、バーク堆肥などがあり、それぞれに異なる特徴があります。豚ぷん堆肥との違いという点に着目しながら、それぞれ分かりやすく解説していきます。

牛ふん堆肥との違い

牛ふん堆肥は、土壌改良成分が豊富に含まれており、肥料としてではなく主に土壌改良材として使われます。カリウムやリン酸がバランスよく含まれているため、土壌の栄養バランスを整える効果があります。牛は4つの胃を持ち、繊維質がしっかり分解されているため、堆肥としても繊維質が多く、土壌の通気性や水はけを向上させる役割を果たします。特に土壌改良を目的とした農業に適している堆肥です。

鶏ふん堆肥との違い

鶏ふん堆肥は、カルシウムやリン酸が豊富で、肥料成分が高く、すぐに効果が出るため、肥料としてよく使われます。特にリン酸が多く含まれているので、作物の成長を早めます。ただし、土の中で早く分解されるため、効果が続く期間は短めです。また、発酵が終わっていても独特の強い臭いが残ることがあるため、住宅街や都市近くの農園では使いにくいことがあります。

バーク堆肥との違い

樹皮堆肥は、伐採した木の皮を積み重ねて粉砕し、発酵・熟成させたもので、土壌の改良に役立ちます。保水力や肥料の保持力が高く、土をふかふかにするのに効果的ですが、肥料としての力は弱いので、別に肥料をまく必要があります。匂いがないため、住宅街や都市近くの畑でも安心して使える堆肥です。

豚ぷん堆肥の基本的な使い方

豚ぷん堆肥の基本的な使い方について解説します。
難しい点は特に無いので、しっかり使い方を守って効果的に使用しましょう。

元肥として使う

豚ぷん堆肥を元肥として使う場合、施用量は作物により異なりますが、基本的には1㎡当たり一握り程度が目安です。施肥のタイミングは、植え付けの1週間前が適しています。直前にまくと肥料成分が強すぎて根を傷めることがあるため注意が必要です。また、土壌改良材としての効果は弱いため、既に土壌環境が整った畑での使用が適しています。即効性があり短期間で成分が流れてしまうので、定期的に追肥を行いましょう。

追肥として使う

豚ぷん堆肥は、1株につき約10gを目安に使います。施肥のタイミングは、間引き作業が終わった後が良いでしょう。あらかじめ元肥をしっかり施した土壌で使うと、効果がより期待できます。効果が早く出るため、作物の成長に合わせて、定期的に追肥をすることがポイントです。

豚ぷん堆肥を使用するメリットや得られる効果

さまざまな堆肥や肥料資材がある中、豚ぷん堆肥を使用するメリットや効果などを解説します。

肥料の代わりになる

豚ぷん堆肥には、植物の成長に必要な栄養素が含まれており、特に窒素、リン、カリウムが豊富です。これらの栄養素が土に加わることで、植物が元気に育ちやすくなります。豚ぷん堆肥は、肥料として使うだけでなく、土の状態を良くする働きもある程度あり、作物の根をしっかりと支えるために役立ちます。

土壌の改善

肥料成分が強く、肥料として使われることの多い豚ぷん堆肥ですが、土壌改良材としての効果も少なからずあるので、使っていくうちに土壌改善にもつながります。

豚ぷん堆肥に含まれる繊維質などの成分が、土壌中の保水力を高め、排水性を改善し、空気循環を促進するようになります。すると、土壌の栄養分を含む量が増え植物の成長にも良い効果が現れるようになるでしょう。

長期間の管理や手入れが必要な点に注意

一方で、豚ぷん堆肥の使用に当たってデメリットはあるのでしょうか。
結論、市販されている堆肥を使用する分には特にデメリットはありません。

しかし最近では、牧場などで家畜ふんを無料配布しているケースがあり、堆肥を自作するという人も増えています。堆肥を作るときは、しっかりと管理することが大切です。堆肥がうまくできるように、温度や湿度、酸素を適切に保つ必要があります。これらをきちんと管理しないと、発酵せずに腐ってしまい、嫌な臭いや害虫が発生することがあります。

また、微生物の有機発酵には数カ月から数年という長い期間が必要になります。その間、温度・湿度・酸素を管理しつつ、材料をよく混ぜ、定期的にかき混ぜて空気を入れるなど、環境を整えなくてはなりません。時間や手間が必要になるため、堆肥作りに挑戦する際は、しっかりやり方などを勉強をしてから行いましょう。

豚ぷん堆肥は正しく使って効果を引き出そう

豚ぷん堆肥は、栄養価が高く、特に窒素やリン酸が豊富で即効性のある肥料として使われます。作物の成長を助ける一方で、土壌改良材としての効果は弱いため、既に整った畑や土壌に適しています。

いくつか注意すべき点はありますが、正しく使えば効果が高い農業資材と言えます。本記事を参考に、ぜひ活用してみてくださいね。