ダンス&ボーカルグループ・FANTASTICSでボーカルを務め、数々の映画・ドラマにも出演する八木勇征。今夏には「ViVi国宝級イケメンランキング」で殿堂入りしたことも話題となったが、単独初主演を務める映画『矢野くんの普通の日々』が11月15日に公開される。八木が演じるのは、なぜか毎日ケガまみれになってしまう超不運体質の高校生・矢野剛。超心配性なクラス委員長・吉田清子役の池端杏慈、吉田さんに思いを寄せるスポーツ万能な学校一のモテ男子・羽柴雄大役の中村海人(Travis Japan)らと、矢野くんの高校生活を作り出している。

今回は、主演を務めた八木にインタビュー。作品の魅力や、同い年の俳優らと「97年会をやりたい」という野望、そして仕事で大切にしていることなどについても、話を聞いた。

  • 八木勇征 撮影:友野雄

映画『矢野くんの普通の日々』で単独初主演を務める八木勇征

――まず、今回の作品のどういうところに魅力を感じましたか?

登場人物に悪い人が1人もいないんです。矢野くんの不運体質からくるアクシデントもあるし、“普通の日々”が特別なものになっていくし、一つひとつの出来事が彼らにとって壮大に描かれているのが、すごく面白いポイントだなと思っています。ピュアなキャラクターたちばかりなので、100%の好きという気持ちだったり、自分自身の感情で動いていく物語だったり、注目しながら観ていただきたい作品です。

――ギャップが面白い作品ですよね。胸キュン物語ですが、八木さんが演じる矢野くんは、ヒーローや王子様系というよりも、守ってあげたくなるような感じなのかなと思いました。

本当にいじらしいというか、放っておけないキャラクターだなと思うし、かっこよくシャキーン! と決まる感じではないんですけど、常にピュアで一生懸命頑張る姿や、変わろうと努力をする姿に僕は惹かれるし、応援したくなるんですよね。

――ご自身はどうですか? 矢野くんタイプですか? それとも壁ドンとかしちゃうタイプですか?

僕は、壁ドンしちゃうタイプですね……嘘です(笑)。正直な気持ちしか言わないので、そういう意味では矢野くんに近いかもしれません。

――今回は、FANTASTICSさんのステージショーやバラエティも手がけられているHI-AXさんが企画にも入っていて、矢野くんと八木さんが通じ合うと思われてのキャスティングだったんでしょうか?

そういうところはあったみたいで、すごく嬉しいと同時に、「もしかして矢野くんみたいな感じで見られているのかな?」とは思いました。きっと「応援したくなる」と思ってもらっているんだなとポジティブに考えてはいるんですけど(笑)

中村海人との出会いに感謝、同い年を盛り上げたい

――今回はヒロイン役の池端さん、クラスメイト役の中村さんと絡むシーンが多かったと思いますが。お二人の印象はいかがでしたか?

池端さんはリアル高校生。僕と10歳違うのですごくフレッシュだったし、本当に吉田さんのような性格なんじゃないかと思えるくらい、等身大の姿を自然に演じていたので、僕自身もやりやすい環境にしてもらえました。吉田さんのまんまだなと思いましたし、僕たち大人世代からすると、一緒にいることによって、画として見た時に高校生に近づけてもらえたなと思います。

海ちゃん(中村海人)は僕と同い年で、お芝居もグループ活動もしているので、共感する部分もたくさんありました。撮影期間を経て海ちゃん自身の性格というか、人となりがすごく好きになりました。同い年で、今後どんどん年を重ねていっても一生付き合っていきたいと思える人がいるというのは、個人的に嬉しいことだったので、この関係はこれから先も大切にしていきたいです。こうやって海ちゃんに出会わせてくれた、この作品にもすごく感謝しています。

――そこまで大きな出会いだったんですね。

すごく大きな出会いでした。メンバーの堀夏(堀夏喜)も同い年なんですけど、97年を盛り上げていきたいという思いが強いですし、今後も仲間を増やしていきたいなと思います。「97年会を開こう」みたいな話もしています。97年会が熱くなっていきそうな予感がします。

――今回演じられた矢野くんは不運体質ということですが、人生の中で「強運だな」と思うこと、「不運だな」と思うことは、どちらの方が多いですか?

いいこともあれば悪いこともあるし、同じくらいかもしれません。やっぱり「VOCAL BATTLE AUDITION5~夢を持った若者達へ~」に受かってFANTASTICSのボーカルになれたことも巡り合わせの1つだなって思います。そこから全てが始まって、いろんな人との関わりができて、 今の自分が作られていると思います。

不運でいうと、最近不幸な出来事があって……髪を染めたので紫シャンプーを持ち歩いているんですが、気圧の関係でポーチの中で爆発していて、紫まみれになっちゃったんです。舞台が終わって、その夜帰ってきてからお風呂場で落としていたんですけど、普通の紫シャンプーよりも2、3倍濃いものだったので、色が落ちなくて悲しかったです。絶望でした……。

――ちょっと身近に感じますね。バリバリのスターかと思いきや……。

全然そんなことないです。お風呂場でポーチの中身を洗ってます(笑)

「悩んでいる自分を見ていたくない」すぐ行動

――実際の高校生活ではサッカーをされてたそうですが、そこから考えると今の自分は想像できましたか?

1ミリも考えたことなかったです。こんなきらびやかな世界で、ファンの方と一緒にライブもできて、お芝居もできてという未来は、全く予想してなかったです。

――学生時代は、周りにはきらびやかな人たちもいらっしゃったんですか?

僕はサッカー推薦で進学していて、朝から晩までサッカーばかりでした。

――矢野くんも「普通の日々を送りたい」という悩みがありましたが、八木さんご自身も仕事をしている中で、悩みが解消された経験などはありますか?

僕、基本的にあまり悩まないんです。チャレンジしてみて「これはよかったな」「これはダメだったのかな」という結果でしか物事を考えないタイプで。やる前に悩んだり心配したりするのではなく、やってみてうまくいかなかったから、「次はこうしよう」とすぐ行動するので、悩む前に動いてしまっています。

――それは元からそういう性格だったんですか?

仕事をしてくうちに、そうなったのかもしれないです。前は落ち込むし、 ネガティブなところもあったんですけど、悩んでいる間にそのトピックが新鮮さを失っていくんです。こういう世界って、本当に流行の移り変わりも早いし、考えている時間がもったいないなと思ったんです。それに、悩んでいる自分を見ていたくなくて。すぐ行動して、好きな仕事に取り組む自分を見ていたいから、あんまりくよくよしないです。

■八木勇征
1997年5月6日生まれ。東京都出身。FANTASTICSのボーカル。俳優業にも精力的で、主な映画出演作に『イチケイのカラス』『劇場版 美しい彼〜eternal〜』(23年)など。主なドラマ出演作に『ホスト相続しちゃいました』『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(23年)、『婚活1000本ノック』『南くんが恋人!?』(24年)などがある。UniReelにて主演ショートドラマ『最期の授業-生き残った者だけが卒業-』が11月26日から配信開始。