時代と共に変わりゆく美意識や価値観の中で、日本の民族衣装である 「キモノ」が大人の嗜みとして愛されるファッション文化や、サスティナブルかつグローバルに定着することを目指して設立されたアワード「KIMONOIST」。4回目を迎える今年はかたせ梨乃、森口瑤子、町田啓太、篠田麻里子、堀田茜、高橋大輔の 6 名が受賞した。
今回、「柔らかくも芯がある理想の女性像」というイメージから受賞した篠田にインタビュー。女優、ブランド経営者として多岐にわたる活動をしながら、一児の母という一面も持つ篠田自身の“理想の女性像”について聞くと、多方面で活躍する彼女の“軸”となる考え方が見えてきた。
理想の女性像は“しなやかな女性”
――「KIMONOIST 2024」受賞おめでとうございます!
ありがとうございます。授賞式での紹介で“軸のあるしなやかな女性”に贈られたと聞いて、まさに私が理想とする女性像で。しなやかな女性になりたいと常々思っていたので、その受賞理由を聞いて、さらにうれしかったです。
――SNSでも着物が似合う女性になりたいとおっしゃっていましたね。
投稿を見ていただけたんですかね(笑)? 私はもうすぐ40歳なので日本人としても女性としても和が似合う一歩上の大人、着物も着こなせるような女性になりたいなって思っていました。着物を着る機会はお芝居などではあっても、普段は着る機会がなかったりするので、着物を普段使いできるような女性になりたいなと思います。
――さきほど、理想の女性像について“しなやか女性”とお話しされていましたが、具体的にはどういった理想像も持っていますか?
“自分自身という軸はありながら、風や嵐に遭ってもそれをかわしながらそこにいる”というスタンスがしなやかだと思います。それが女性らしさに通じるものがありますし、強さだけだと、風や嵐で折れてしまうかもしれない。精神的な部分でも様々なことに対応できる“しなやかさ”を持った女性は自分の中で理想。そういう女性になりたいなと思っています。
――なるほど。それが篠田さんのいう“しなやかさ”なんですね。
若いときは「強くいたい! 弱い自分を認めたくない!」といった気持ちもあったのですが、弱い自分を認めつつ、そんな自分もコントロールしながら対応していくことが、しなやかさにつながるのかなと。私の思う女性らしさは対応力や包容力、どんなときも折れることのないイメージなんです。
――そんな“しなやかな女性”を目指す篠田さんですが、SNSにアップされたお写真が「美しすぎる」と度々注目を集めています。美しくいるための秘訣はあるんでしょうか?
ありがとうございます。やはり自分を大切に楽しむということは意識しています。世の中にはいろんな情報があるし、いろんな人もいるので「こういうことはやっちゃいけないかな」「こういう自分でいなきゃいけないのかな」と、自分が埋もれることってあると思うんです。なので、私は「自分自身がどうしたいのか」ということを自分自身に問うようにしています。
細かい話をすると、年齢が40歳でこういう服をママが着ちゃいけないかなと思うことがあったとしても、自分がワクワクしてそれを着たいと思えば着ればいいと思うんです。「世間はこうだから、こうしなきゃ」という考えや型にはまらないようにしたいと思っています。今は男性も女性も関係なく好きなものを好きと言える空気があると思いますし、ママだから・女性だからと気にせずに、自分がどうしたいかを優先させる選択をするようにしています。
――多様性という部分も大事にされているんですね。
多様性の中にも自分がどうしたいかという軸を持って色んなことに挑戦することも、しなやかさにつながるのかなと。そういった挑戦の中で自分が好きなもの・嫌いなものを分けて、新しい自分を見つけていく感覚はとても楽しいなと思っているので、全てにおいて挑戦することは諦めたくないですね。
育児と仕事の両立「自分を省みる時間は必要」
――先ほどのお話のなかでもありましたが、お仕事をする以外にもお子さんを育てるママとしての一面もある篠田さんですが、育児と仕事で忙しく過ごす日々のなかで心掛けていることはありますか?
もちろん仕事や子育ても大事ですが、そのなかでも自分の心は大事にするようにしています。先ほどの話と通じる部分もありますが、心がダメになってしまうと全てダメになってしまうと思っているので、自分自身の心は自分で問いただすようにしてます。自分の心って自分自身にしかわからないので、自分をちゃんと労わってあげるということは大事にしていますし、生活の中で自分を省みる時間は必要ですね。
ただ、生きていく上で無理をする期間や時期もどこかであると思うのですが、そういったときは自分がどうしたらご機嫌になるのかを考えて、自分自身の機嫌を取ることを意識しています。
女優業の活躍目立った2024年
――お仕事の面でいうと、今年は女優業での活躍が目立っていましたが、今後はどういった活動に力を入れていきたいですか?
お芝居はとても楽しいですね。今までは演じているときに「何かしなきゃ!」みたいな感覚があったんですが、あるときからやらなきゃいけないことではなく、わき上がるものや経験を活かせるものに変化していった気がします。お芝居を通じていろんなことが経験できるという気づきもあって、そこから「お芝居ってすごい楽しいんだな」と。
――これからは女優業を軸にいろんなことに挑戦していきそうですね。
そうですね。個人的には、ベビー用のソープブランド「yokayo」というブランドをやっていて。会社を自分で作ってみようと始めて右も左も分からないまま、いろんな人に助けてもらいながら3年になります。そこでの新しい挑戦もすごく楽しいです。
それまで私は芸能しか知らなかったんですが、芸能は(お話を)“いただく仕事”だったりもすると思うんですが、自分から“生み出す仕事”というのは違う楽しさがあって。もちろん生み出す方が苦しいんですけど、苦しいものほどワクワクするというか、どんどん形になってくることが今はやりがいになっています。芸能とブランド、この2つのバランスが取れていてすごく幸せです。
――お話を伺っていると、自らアクションを起こして能動的に進めていきたいという姿勢を感じます。
そうかもしれません。ブランド立ち上げを考えたのは4年前なんですが、4年前には形になるなんて思わなかったけど、商品ができ上がっていたり、コミュニティが増えていたりという今があるので、何か新しいことを始めるときに、自分が想像しない未来があるんじゃないかというワクワクがあります。
何かに挑戦するときに私が考えるのは、「いま挑戦するか、10年後に挑戦するか」。そう考えると、絶対にいまやった方がいいんです。10年後にもし失敗したら、しんどいじゃないですか(笑)。なので、いま自分がやってみたいと思ったことをやってみようというマインドを大事にしています。
■篠田麻里子
1986年3月11日生まれ。福岡県出身。2006年からAKB48の1期生として活動を開始。2013年にグループを卒業した。2022年に自身がプロデュース・運営を手掛けるママ・ベビー向けオーガニックコスメブランド「yokayo」を立ち上げた。近年は女優としても活躍。テレビ朝日系ドラマ『離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-』(24)に出演し、話題を集めた。2025年1月31日公開予定の映画『BLUE FIGHT 〜蒼き若者たちのブレイキングダウン〜』にも出演が決定している。