インフルエンザや風邪など感染症が増えるこの時季、健康に過ごすには“免疫ケア”が必須だ。
公益財団法人日本ヘルスケア協会は、毎年立冬の日(2024年は11月7日)が「感染症に備える日」という記念日に認定されたことを発表。この記念日は、新型コロナウイルス感染症の経験を未来に伝え、免疫ケアを啓発するために制定された。
11月12日に実施された第45回目となる定期記者会見では、日本ヘルスケア協会会長の今西信幸氏と、乳酸菌・ビフィズス菌部会部会長 平田啓一氏らが活動報告を行ない、記念日制定に至った経緯や免疫ケアの重要性を説明した。
▼目指すは健康で生き生きとした社会の実現。毎年立冬が「感染症に備える日」に
今西氏は、日本ヘルスケア協会の第一目的を「ヘルスケアを通して日本の優れた健康保険制度を持続させること」だと示し、「以前より日本には“平均寿命”という言葉が定着していたが、“健康寿命”という概念が生まれたのは、2000年にWHOがこの言葉を定義してから。そのときに初めて平均寿命と健康寿命に差があることが明らかになった」と説明する。
健康寿命とは、医療や介護に依存せず、健康で自立した生活ができる生存期間のこと。現在、男性の平均寿命は81歳であるのに対し、健康寿命は72歳。女性に至っては平均寿命は87歳で、健康寿命は75歳。つまり男性では9年、女性では12年も介護適用や寝たきりなどの状態にあるのだ。この現状を鑑み、日本ヘルスケア協会は健康寿命の延伸、元気に寿命を迎えることを目標に掲げて活動に取り組んでいるという。
また、今西氏は協会のもうひとつの目的として「日本の健康保険制度を持続させることも重要」と説明し、「少子高齢化が進み、かつ医学の進歩によって治る疾病が増えた今、健康保険制度を維持するために医療費の増額はやむを得ない状況。だが国民を納得させることは難しい。この問題の唯一の解決策は、疾病率を下げること。国民一人一人が病気にならない努力をすることで、初めて超高齢化国家における健康保険制度が維持できる」と主張した。
「感染症に備える日」を制定するに至った経緯について今西氏は、「日本ヘルスケア協会では昨年から『げんきな免疫プロジェクト』に参画し、免疫機能維持の観点から感染症対策に広く取り組んできた。これまで新型コロナウイルス感染症の経験を未来に伝え、健康で生き生きとした社会を実現するために免疫ケアの重要性を啓発してきたが、コロナ禍の記憶を忘れず、未来につなげたいという想いから記念日を制定した」と語る。
立冬は1日の最低気温と最高気温の差が大きい日。今西氏は、「人間の体は1日の温度差が10度を超えると自律神経が維持できなくなることがわかっており、この日を境にインフルエンザの感染者数も増加するため、感染症予防を呼びかける日として立冬を選んだ」と説明した。
続いて平田氏は、「機能性乳酸菌・ビフィズス菌が健康寿命の延伸に役に立つことは間違いないが、まだまだ国民に正しい機能の情報が伝わっていない」と指摘する。
そのうえで、「乳酸菌・ビフィズス菌の正しい機能を説明した協会監修のPOPを制作し、夏に開催されたJAPANドラッグストアショーでお披露目した。これが日本チェーンドラッグストア協会の方々を中心に高い評価をいただいた。
また、今年立ち上げたWebサイト『正しく知ろう!乳酸菌・ビフィズス菌』では、POPをダウンロードできる機能を加えたほか、乳酸菌・ビフィズス菌のよくある疑問に答えるコンテンツなども拡充している。
今後は内容をより充実させ、正しい機能性乳酸菌・ビフィズス菌の情報を提供し、販売現場などで薬剤師や栄養士に活用してもらえるようにしたい」と今後の目標を語った。
記者会見には乳酸菌・ビフィズス菌部会に加入する企業の中から、キリンホールディングス、日清ヨーク、森永乳業の3社の担当者も登場。それぞれの自社商品について説明した。
キリンホールディングスのヘルスサイエンス事業本部に所属する田中圭衣さんは、「当社は、35年以上免疫の研究に取り組む中で、免疫の司令塔を活性化するプラズマ乳酸菌を世界で初めて発見した。プラズマ乳酸菌は菌が生きた状態でなくても効果が確認されており、さまざまな食品に使いやすいのが特徴。乳酸菌の特徴を活かし、さまざまな企業とタッグを組み、免疫ケアの啓発を通じた社会貢献にも取り組んでいる。今後も消費者のニーズに合わせ、さまざまな商品を提供したい」と述べた。
続いて日清ヨーク マーケティング部の犬飼美穂子部長は、「私たちは乳酸菌NY1301株の研究を主に行っている。機能としては、腸内環境や睡眠の質の改善、日常生活の疲労感軽減などがある」と説明し、「直近では9月に乳酸菌NY1301株とグルコサミンを配合した『ピルクル ひざアクティブ』という商品を発売した。今後も多様な世代の健康管理をサポートする商品を作っていきたい」と語った。
リモートで参加した森永乳業 腸内フローラ研究室の副主任研究員である堀米綾子さんは、「当社では、ビフィズス菌BB536を配合した、特定保健用食品のプレーンヨーグルトをはじめ、健常な中高年の加齢に伴い低下する認知機能の一部を維持する働きをするビフィズス菌MCC1274が配合された『記憶対策ヨーグルト』や『記憶対策サプリ』なども展開している。今後も商品を通して人々の健康に貢献したい」と決意を述べた。