4年後の舞台はロサンゼルス! オリンピック・パラリンピックの開催国であるアメリカは、スポーツ大国のイメージ通り、パラスポーツの強豪国でもある。ここではパリ2024パラリンピックで活躍した競技や選手たちを紹介したい。
パラリンピックのスター軍団!?パリパラリンピックの金メダルランキングでアメリカは3位。金メダル36個を含む「105」のメダルを獲得している。
両腕のないアーチェリー選手として知られるマット・スタッツマンが男子個人コンパウンドで悲願の金メダルを獲得。残念ながら、パリ大会は最後のパラリンピックだとコメントしており、ロサンゼルスでそのパフォーマンスは見られそうにもない。
夏は6度パラリンピックに出場しているマクファデンは、女子100m(T54)で銀メダル、混合4x100mユニバーサルリレーで銅メダルの成績だったphoto by AP/AFLO
しかし、“パラリンピックの顔”は他にもいる。これまでパラリンピックで21個のメダルを獲得している陸上競技のタチアナ・マクファデン、18個の金メダルを持つ水泳のジェシカ・ロングだ。長いキャリアを持つレジェンドは、同じ競技の選手たちの憧れであり、たびたび各国の若手アスリートから記念撮影を求められている。
パリでは400m自由形、100mバタフライ(S8)で金メダルを獲得。パラリンピック初出場のアテネ大会で12歳だったロングは、2028年には36歳になるphoto by ロイター/AFLO
冬競技との「二刀流」で知られる選手もいる。パリ大会の自転車競技で2冠のオクサナ・マスターズは、2012年のロンドン大会ではローイング(ボート)で銅メダル、東京大会では自転車競技で2冠を達成。冬季大会で計5個の金メダルを獲得しているノルディックスキーの女王だ。
ウクライナで生まれ、7歳のとき、アメリカに移住したマスターズは、ウクライナの障がいのある子どもたちを支援するチャリティ活動も行っており、子どもたちのロールモデルになりたいと語っている。
夏と冬合わせてパラリンピックで9個の金メダルを獲得しているマスターズは、現在35歳。どこまで記録を伸ばすのかphoto by ロイター/AFLO
若手では、19歳でパラリンピック初タイトルとなる金メダルを獲得したエズラ・フレックに注目したい。陸上競技・T63(片大腿義足)クラスの100mで金メダルを獲得、翌日に出場したメイン種目の走り高跳びで自身2個目の金メダルを獲得したフレックの勢いは止まりそうにもない。
2013年に陸上競技を始め、2度目のパラリンピックでメダル獲得。ロサンゼルス生まれのフレックは次回大会の顔になるだろうphoto by AP/AFLO夫婦でオリパラ金メダル
同じ陸上競技のハンター・ウッドホールは“ゴールデンカップル”としてスタッド・ド・フランスを沸かせた。
彼の妻、タラ・デイビス・ウッドホールはオリンピックの女子走り幅跳びで金メダルを獲得。パラリンピックでは夫が男子400m(T62)で自身初の金メダルを獲得した。
男子400m(T62/両足義足)でライバルを退けて優勝したウッドホールphoto by AP/AFLO
日本ではなかなか聞かないバックグラウンドを持つ選手もいる。
水泳の女子100m背泳ぎ(S6)などで銀メダルを獲得したエリザベス・マークスは、17歳でアメリカ軍に入隊してイラクで受傷。その後、水泳で頭角を現したベテラン選手として知られる。
リオ、東京に続く金メダル獲得はならなかったが、笑顔を見せたマークスphoto by ロイター/AFLO
50歳でパラリンピックに初出場した、パワーリフティングのボビー・ボディも戦地イラクでケガをしたひとりだ。アメリカ軍の病院で生誕し、妹と共に軍の孤児院で育ったボディは、「9.11」の後にアメリカ軍に入隊、その任務中に左足を失ったのだ。壮絶な人生を送る中でPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状改善のために勧められたパワーリフティングに出会い、めきめきと頭角を現した。
パワーリフティング会場を沸かせていたボディphoto by ロイター/AFLO
男子107kg級で4位だったボディは、ロサンゼルスでメダル獲得を目指す。
IWBF(国際車いすバスケットボール連盟)が選出したパリ大会の男子MVPジェーコブ・ウィリアムズphoto by ロイター/AFLO
団体競技も強い。男子の車いすバスケットボールはパリ大会で3連覇、女子も銀メダルを獲得。さらに、女子のシッティングバレーボールも3連覇中の強豪だ。
シッティングバレーボール女子代表は優勝の瞬間、喜びを爆発させたphoto by ロイター/AFLO
車いすラグビーは、決勝で日本に敗れて3大会連続銀メダルに終わっている。ロサンゼルスで悲願の金メダルなるか。
アメリカ代表のエース、チャック・アオキは日系人だphoto by AP/AFLO
自国開催というプレッシャーの中で歴史に名を刻むのは誰か。日本代表の強力なライバルにもなるであろうアメリカ代表候補に注目したい。
text by TEAM A
key visual by ロイター/AFLO