BLUETTIが、次世代のポータブル電源とうたう新製品「Elite 200 V2」を発表しました。これまでの売れ筋モデルと同等のサイズを保ちながら出力と容量を大幅に高め、これまでの大型モデルと同等の性能を売れ筋モデルと同等のサイズに凝縮。充放電のサイクルも6000回と従来の2倍になり、公称の寿命は17年にまで延長。充電や放電時の騒音も気にならない程度に抑えていました。現行モデルとの明確な性能の進化が感じられ、“ポタ電2.0”的な印象を受けました。

  • 高出力と大容量をコンパクトなボディにまとめたBLUETTIの高性能ポータブル電源「Elite 200 V2」。価格は249,800円だが、発売記念で149,800円+さらに5%オフで購入できる

コンパクトボディながら大容量&高出力

キャンプやアウトドア用のツールとして広まったポータブル電源ですが、昨今は防災の要として注目が高まっています。今年は、元日に能登半島地震が発生し、8月には南海トラフ地震臨時情報が出て、秋にかけて各地で大雨や台風による浸水被害や停電が発生したことから、ポータブル電源の購入を検討する人が急増しました。

防災用途で考えると、停電時でも調理家電やヒーターなど消費電力の大きな家電が使えるよう出力はできるだけ大きく、長い時間使うために容量はできるだけ大きいのが理想です。しかし、出力と容量を求めるほどポータブル電源は大きく重く、価格も高くなってしまいます。

そこに登場したElite 200 V2は、そのようなニーズを受けて「本体サイズを抑えながら従来よりも大容量、高出力」に仕上げた意欲的な製品です。

  • 現行のスタンダードモデル「AC180」(左)と比べても、Elite 200 V2(右)はほとんど同じサイズに仕上げている。それでいて容量や出力はだいぶ向上している。ただし、重量はAC180が約16.4kgなのに対し、Elite 200 V2はバッテリーがすき間なく詰まっている構造なので、約24.2kgとかなり重たい

見た目やサイズ感は、容量1152Wh、出力1800Wの現行モデル「AC180」とほぼ同等ながら、Elite 200 V2は容量2073.6Wh、出力2200Wとスペックを大幅に仕上げています。特に、容量が2倍近くになったことで、数百Wクラスの消費電力の調理家電や暖房器具も長い時間使えるのは大きいと感じます。フル充電の状態なら、360Wの小型セラミックヒーターは6時間以上も連続で動かせ、物足りなさは感じません。充電端子も、ACコンセントを4つ、USB Type-CとType-Aをそれぞれ2つ用意するなど、十分な数を備えています。

  • 「2200W/2073.6Wh」の表記が誇らしい

  • 前面にUSB Type-C端子とUSB Type-A端子を配置。USB Type-Cは最大100W出力に対応し、MacBook Proも高速で充電できる

  • AC100V出力は4つ搭載。2つでは足りず、6つでは持て余すので、4つはベストだと感じる

  • 前面のカラー表示パネルは大きさと鮮やかな表示が印象的。ポタ電の表示パネルは常時見るものではないが、表示が大きく鮮やかだとやはり気分がいい

  • BLUETTIのポータブル電源の売りである上部のワイヤレス充電機能は残念ながら省かれた

本体サイズを1kWhクラスの売れ筋モデルと同等に収めたことで場所を取らず、家庭内への設置やクルマへの積載などはかなりラクになりました。ただ、重さは約24.2kgと容量なりの重量があり、見た目に反して結構重くて持ち運びは苦労しそうです。

充放電時も静かだが、高速充電は非実用的で疑問アリ

バッテリーはポータブル電源で主力のリン酸鉄リチウムイオンですが、EVなど自動車で用いられている堅ろう性の高い高性能バッテリーセルを採用し、安全性をさらに引き上げたとしています。ポータブル電源は、災害への備えでフル充電に近い容量で保管しておくことが多いだけに、地震などで大きな力が加わっても破損や発火のリスクを抑えられるのは頼もしいと感じます。

充電は、標準モードでも最大1200Wの充電が可能で、約2時間でフル充電できます。2kWh超の大容量モデルとしては合格といえるでしょう。ただ注意したいのが、製品サイトで「1500Wで75分で80%まで充電できる」とうたう高速充電モード。有効にするには、スマホアプリでパスワードの入力が求められ、パスワードはBLUETTIのサポートに問い合わせる必要があるとしており、そのままでは使えません。高速充電モードにしようとすると「一切の責任は問わない」といった内容のメッセージが現れるなど、そもそもメーカー自身が使用を推奨していない様子がうかがえます。高速充電モードは、製品サイトで売りにしているにもかかわらず“看板に偽りあり”といった印象で、改善を求めたいところです。

  • 高速充電モードに切り替えようとすると、左のような怖いメッセージが登場。それでも同意すると、パスワードの入力を求められ、高速充電モードには結局切り替えられない。標準では使えず、メーカー自身も推奨していない高速充電モードによる充電時間を売りにするのはいかがなものかと感じる

  • スマホアプリを使えば、時間ごとに充放電のスケジュールを自動で切り替えてくれる。時間帯によって電気料金が変わるLooopでんきのような変動型プランを契約している人は、これを活用すれば電気代の節約につながる

充電&放電時の騒音が抑えられているのも好ましいと感じました。Elite 200 V2をAC100Vコンセントに接続して内蔵バッテリーを1200Wで充電しつつ、前述のセラミックヒーターを動かしても、ファンの騒音はほとんど気にならない程度に抑えられていました。寝室でも使えるレベルだと感じます。

多少勇気のいる価格だが、バランスのよい仕上がりの1台

Elite 200 V2の価格は249,800円ですが、発売記念キャンペーンとして12月3日までの期間限定で149,800円で販売します(限定クーポンコードの適用でさらに5%オフ。クーポンコードは公式直販サイトが「PRELITE200V2」、Amazonは「ELITE200V2」)。ポータブル電源は標準価格で販売することがほとんどなく、ちょくちょく割引価格が適用されるので、実際は15万~16万円台で購入できると考えてよいでしょう。

ポータブル電源は、もっとも安い小型モデルが3万円前後で購入できることから、「10万円を超える高価なものは必要ない」と感じるかもしれません。しかし、そのような小型モデルは電子レンジなどの家電が出力不足で使えなかったり、容量が少ないため1時間も持たずに電力がなくなってしまうことも。万が一の災害時にまともに使えず「ポータブル電源があるから安心だと思っていたのに…」と後悔することになりかねません。

  • 容量268Wh、出力600Wのエントリーモデル「EB3A」(左手前)と比べるとさすがに大きいが、容量と出力の違いは大きさの比ではない

Elite 200 V2は、そのような小型モデルと比べて容量は8倍近く、出力も4倍近くもあり、消費電力の大きな家電も長時間使えます。それでいて本体サイズは容量や出力の違いほどは大きくなく、持て余すことはありません。万が一の災害への備えとして、容量、出力、寿命、サイズ、価格のバランスが取れている製品だと感じました。