コクヨが、「らしさを、もっと、ワークプレイスに。」をコンセプトに掲げ、東京ショールームを12月上旬にリニューアルオープンします。自社の“らしさ”を“実験カルチャー”と自認するコクヨが、品川オフィスの一部に創設した「THE CAMPUS(ザキャンパス)」のオープンコミュニケーションホールで先ごろ行われた内覧会に参加し、生まれ変わったショールームを見学しました。

  • コクヨの東京ショールームがリニューアルオープンする

コロナ渦を経て在宅勤務やハイブリッドワークが浸透し、ABW(Activity Based Working)を導入する企業も増加。ワーカーにとって働き方や働く場所の選択肢が増えることは喜ばしいことですが、いっぽう企業側は“オフィス回帰”に舵を切っている傾向です。「自社のオフィスの価値や、オフィスに出社する意義を高めたいと考える企業の期待に応える準備が整った」と、コクヨは商品や家具の提供、空間作りや働き方の提案にとどまらず、「企業の“らしさ”と企業文化を育むサポーター」としてこれからのワークプレイスやワークスタイルを提案したいと、今回のリニューアルの意図を説明しています。キーワードに掲げた「企業の“らしさ”」とは、具体的にどのようなものなのでしょう?

  • 森田耕司さん(コクヨ 執行役員 ワークプレイス事業本部 副事業本部長兼ものづくり本部長)

ワーカーの構成が様変わりする2040年は、“言ってる間に来る”世界

短期的にはハイブリッドワークの定着やAI普及などによる、働き方と働く環境の変化。中期的には就労者の減少による人材獲得競争の激化や市場縮小の影響を挙げ、「2030年以降の世界は、現在と大きく変容します。およそ全社員がバブル後世代に変わり、2040年にはZ世代が45歳に。“リーマンショックはついこの間”という感覚があるかと思いますが、それと同じくらいの距離を未来に置き換えてみると、2040年は“言ってる間に来る”という世界です」と、ワークプレイス事業本部 ワークスタイルマーケティング本部長の永井さん。

  • 永井潤さん(ワークプレイス事業本部 ワークスタイルマーケティング本部長)

その“言ってる間に来る”2040年には、ワーカーの平均年齢が今よりもグッと上がり、60歳以上の就労者が3割を超え、女性の割合も半数超えとなる見通し。そのように現在よりもよりいっそう多様化した組織の中で、重要になるのが「共通の価値観と行動様式を作っていくこと」だといいます。そうはいっても、それまで培われてきた組織風土や価値観というものは、たとえ突然「じゃあ明日からみんな、カジュアルでオープンな!」と号令が出たところで、「了解っす!」と一朝一夕で変わるものでもありません。

  • 自然とつながりボーダレスなコミュニケーションの実現を目指したブランド「DAYS OFFICE」の展示空間

  • 脚にさりげなく電源用のコンセントが配置されたテーブル

また“企業カルチャー”とひとことで言っても、オープンなコミュニケーションを重視する社風もあれば、伝統を重んじる社風、トップダウンな社風などさまざま。そこでコクヨは、企業に伴走しながら、それぞれの企業のなかにある“らしさ=企業カルチャー”を引き出し、そのありたい姿を伝えるワークプレイスをつくっていくという考えをコンセプトにすえ、“らしさ”を言語化・共有化して形にするために、「Symbol」「Activity」「Style」「Update」という4つのキーワードを設定。コクヨが「THE CAMPUS(ザキャンパス)」で実験して得た変化なども紹介しながら、“カルチャーを育む場の力”を体感できる空間を目指したそう。

  • 超便利! どこにでも挿せるライン形状の差込口の電源コンセント「Energy Line」

“らしさ”をかなえる3つの家具ブランドの空間展示

新しいショールームでは、職場の仲間が自然とつながりボーダレスなコミュニケーションの実現を目指す「DAYS OFFICE」、コラボレーションに没頭しチームで働くスタイルを提案する「Any way」、そしてハイグレードでラグジュアリーな「SAIBI」の3つの家具ブランドを軸に、新しいスタイルを提案する空間展示や新製品、新たなプロトタイプ商品などを紹介。

  • チームで働くスタイルを提案する「Any way」の展示空間

  • 水筒みたいに持ち運びやすいモバイルバッテリー「Energy bottle」

それぞれが心地よい距離感を保ちながらのコミュニケーションを追及し、対面だけでなく自分で座る位置を決められるラウンドタイプのソファー。チーム内外で会話を広げたり、チームで議論を深めるためにレイアウトや使い方を柔軟に変えられる、“可変性”を備えたスツールやボード。各自がワークに没頭できるよう高さとサイズのテーブルを組み合わせて目線や角度の違いを生むラウンジテーブルなど、絶妙な配慮とバツグンの機能を備えた家具やオフィス空間に、リモートワーク派の筆者も「うちの会社がこんなオフィスだったら、もっと出社したくなるかもな……」としみじみ。

  • ハイグレードな家具ブランド「SAIBI」の展示空間

  • インクルーシブデザインのプロセスから誕生したカフェチェアー「Hemming」

見学は法人限定のため、個人には対応していないのが残念ですが、ショールームは12月上旬にリニューアルオープン予定です。