上司や後輩とのコミュニケーションで、会話が噛み合わないことがよくあると、悩んでいるという人も少なくないのでは? まずはその原因を知ることが、円滑な意思疎通ができるビジネスパーソンになるための近道です。
会話が嚙み合わないのを直したい人がやるべき対処法と合わせて紹介します。
なぜ、会話が嚙み合わない?
そもそも、どうして会話が噛み合わない事態が生じてしまうのでしょうか? まずはその原因を探っていきましょう。
確認が足りていない
確認不足はお互いの認識にズレを生む大きな要因。上司からの指示を受けたときなどは、自分の理解と相手の思惑をきちんとすり合わせておくことが肝心です。どんな仕事をするにせよ、あらかじめ必要な情報を整理しておけば、思い違いによるミスの誘発を未然に防ぐことができるでしょう。
知識の深さが違う
コミュニケーションにおける知識差は、しばしば話が噛み合わない状況の原因になります。たとえば所属部署やキャリアが異なれば、その差はより顕著になるもの。会話が立ち行かなくなる前に、違いを認め合う姿勢を意識することが大切です。
専門用語やカタカナ語を多用している
難しい専門用語やビジネス用語、カタカナ語の多用は、相手によっては理解に混乱を生じさせるもの。「KPI」「ネゴシエーション」など、何気なく使ってしまいがちな言葉も、改めて見返してみる必要があるかもしれません。
話題をすり替えてしまう
たとえば、「お客様からの問い合わせ内容は? 」という質問に対して、「今回の契約は厳しいかもしれません」というように、話題をすり替えてしまうのは避けたいところです。ひとつの話題が完結して初めて次の話題に移る、これができない人は意外と多いのだとか。
抽象的な話し方をしている
抽象的な表現ばかりに頼った会話は、ビジネスシーンにおいては考えもの。理解ある相手ならまだしも多くの場合、会話を滞らせる原因になってしまいます。ひいては仕事の進捗そのものに影響を与えかねないだけに、言葉選びは伝わりやすさを最優先にしましょう。
思いついたままに話している
その場での思いつきは、時としてアイデアとしてビジネスに突破口を与えてくれるものですが、必ずしもそうとは限りません。自分の頭で整理できていない発想は、相手にとっても消化不良の原因に。
せっかくのアイデアを無駄にしないためにも、まずは情報を体系立てて話せる段階にまで持っていくようにしましょう。
前提条件が一致していない
話の前提条件にギャップがあると、議論はどんどん思わぬ方向に進んでいってしまいます。大人数が参加するミーティングの場などでは影響がさらに広がるだけに、注意したいところ。事前にゴール設定を明確にすることで、実りのあるコミュニケーションを図りたいですよね。
話の進め方の好みを把握していない
ひとつずつ筋道を立てて話をしてほしい人もいれば、結論から先に話してほしい人もいるように、議論の組み立て方についても好みがあるもの。相手が目上の人の場合は、特に押さえておきたいポイントです。日頃の会話を通して人となりを把握するよう心がけましょう。
会話が嚙み合わないときに取るべき対処法
さて、ここからは会話が噛み合わないときに取るべき対処法をご紹介します。
自分が理解した内容を復唱して確認する
相手の意図をきちんと理解するために、復唱は有効な手立てです。言葉に込められた意味合いを自分がどう解釈したかを伝え、ギャップを埋めていく作業は一見すると遠回りに思えるかもしれません。ですが「分かったつもり」を放置して、認識が違うまま動いてしまい、それが後々に発覚するよりは効率的なはずです。
相手が理解しているか適宜確認する
自分の思いがきちんと伝わっているかを確認することも、会話を円滑に進めるうえで大切な要素。相手の反応に少しでも引っかかりを感じるようなら、面倒に思えても逐一確認するようにしたいものです。
ていねいな確認作業は「言った」「言わない」を防ぐうえでもプラスに働くことでしょう。
主語と述語がはっきりするように話す
抽象的な話は、往々にして主語と述語がはっきりしていないもの。あいまいな言葉はそれだけ解釈の余地も大きくなり、本来伝えたいことが正確に伝わらない原因になります。
受け手に推測の手間を与えてしまうことは、ストレスの原因にも。「5W1H」を意識した発言を意識したいところです。
話す内容を頭の中でしっかり整理する
せっかく伝えたいことがあるのなら、前もって話す内容を整理整頓しておきたいところです。ただ漠然と思いつきを話すのではなく、理論立った説明ができるようシミュレーションしておけば、おのずと説得力も増すもの。
相手から思わぬ質問が飛び出しても、臆することなく答えられるようにしておきましょう。
図やイラストを用いて視覚的に伝える
言葉だけでは伝わりにくい内容は、図やイラストで視覚的に訴えかけるのも一策です。難しい専門用語も、目から入ってくる情報に置き換えればすんなりと伝わるかもしれません。
ホワイトボードなどをうまく活用する
ホワイトボードやプレゼンテーションソフトの活用も、理解の隔たりを埋めるうえで効果的です。書き言葉は話し言葉と違って、内容を立ち止まって把握しやすいのが特徴。そうやって情報が整理されれば、議論の活発化も期待できます。
日を改めて話をする
ここまで見てきた策を尽くしても、どうしても会話が噛み合わないケースもあるはず。議論を物別れにしないためには、思い切って日を改めるのも手段のうちです。改めて議題について理解が進むこともあるでしょうし、自分や相手を客観視する時間も取れるはず。
仮に話がヒートアップしていたとしても、落ち着いて会話の席に戻れることでしょう。
意思疎通が上手な人の真似したい行動
最後に意思疎通が上手な人から学びたい行動を見ていきます。
クールヘッド&ウォームハート
「クールヘッド&ウォームハート」とは、読んで字のごとく「冷静な頭脳と温かい心」という意味で、イギリスの経済学者による言葉です。シビアな議論の場でも冷静な頭脳と温かさ心を失わずにいれば、相手を尊重する気持ちは伝わるもの。
よりよいコミュニケーションを取るうえで、忘れずにいたい考え方です。
一方的に考えや意見を押し付けない
こちらの意見ばかりを一方的に主張することは相手を萎縮させ、前向きな会話や組織を動かすうえで大きな弊害になります。意思疎通に長けた人は他者の考えもきちんと受け止め、咀嚼したうえで自らの考えを述べるもの。
会話という行動自体、相手あって初めて成立することを改めて理解することが、建設的な意見交換を後押ししてくれるはずです。
会話が噛み合わないと諦めないで! きちんと伝わる方法を試してみよう
ここまでご紹介してきたように、会話をうまく噛み合わせるために共通しているのは、じっくりと物事を考えてみること。拙速に議論を進めようとせず冷静さを保ち、時には立ち止まってみることが円滑なコミュニケーションの鍵です。
ビジネスにも家庭にも、すぐに応用できる技ばかりなので、ぜひ試してみてください。