CureAppは、11月26日の「いい風呂の日」にちなんで、高血圧の人が安全に気持ちよく楽しむためのお風呂の入り方を、医師の有馬久富先生監修のもと公開した。

  • 高血圧の人が安全に気持ちよく楽しむためのお風呂の入り方

交通事故死の2倍!? 風呂に潜む危険

浴室内での死亡事故の一因と考えられている「ヒートショック」。暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室、さらに熱い浴槽へと入浴の際に体感する急激な温度変化は大きな血圧変動をもたらし、意識障害を引き起こすといわれている。

2021年の人口動態調査(厚生労働省)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死および溺水による死亡者数は年間4,750人で、交通事故死亡者数の2,150人と比べるとおおよそ2倍。住宅によっては11月〜4月の寒い時期、特に高血圧の人はヒートショックに十分な注意が必要となる。

ここでは高血圧の人が入浴時に気を付けることを、6つ紹介していく。

1. 食後すぐの入浴、入浴前後の飲酒は避ける

高血圧の人や高齢の人は、食後に血圧が下がる食後低血圧を起こしやすいため、食後すぐや睡眠薬などを服用した後も入浴は控えた方がよい、としている。飲酒後は血管が拡張して血圧が下がりやすくなり、アルコールの影響と入浴の影響で急激な血圧低下を来すことも。また、体調が優れない場合も無理をして入浴しないように、とのこと。

2. 入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく

リビングなどの居室と、脱衣所や浴室との温度差をなくすよう工夫が必要とされている。

3. 十分な水分補給をする

発汗による脱水症状や熱中症を防ぐため、入浴の前後には水分補給をし、脱水にも配慮を。

4. 同居者に声をかけてから入浴する

同居者へ入浴時に声をかけよう。入浴中の同居者への声かけや見守りなどは、体調不良や万が一の事故の際に早く発見することができるため非常に重要だ、とのこと。

5. ぬるめのお湯に10分以内

熱い風呂や長風呂は心臓に負担をかけるため、温度は40度程度に設定し、10分までを目安に入浴しよう。

6. 浴槽から急に立ち上がらない

入浴後は血圧が下がりやすく、急に立ち上がるとめまいが起こる場合も。また、高血圧のために降圧剤を内服していると、血圧が下がりすぎてしまうこともあるという。

脳へ血液が十分に行き届かないことによって意識消失を起こし、転倒する危険性も高まるため、立ち上がる際には必ず手すりや浴槽のへりにつかまり、ゆっくり立ち上がるとよいとしている。

  • 【監修医師】有馬久富先生

監修医師の有馬久富先生は、福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 主任教授。2014年より2年間、滋賀医科大学アジア疫学研究センターで特任教授として疫学研究に従事後、2016年4月より現職。専門分野は、高血圧・脳卒中の疫学および臨床研究。