米労働省が2024年11月1日に発表した10月雇用統計の主な結果は、【1】非農業部門雇用者数1.2万人増、【2】失業率4.1%、【3】平均時給35.46ドル(前月比+0.4%、前年比+4.0%)という内容であった。
【1】雇用者数
10月の非農業部門雇用者数は前月比1.2万人増と市場予想の10.0万人増を下回った。米南東部に上陸した大型ハリケーンや、大手航空機メーカーの大規模ストライキによる押し下げが想定以上に大きかったと見られる。もっとも、前2か月分の雇用者数も合計11.2万人下方修正されており、その結果雇用情勢の基調を判断する上で重要視される3カ月平均の増加幅は前月時点の14.8万人から10.4万人へと縮小した。
【2】失業率
10月の非農業部門雇用者数は前月比1.2万人増と市場予想の10.0万人増を下回った。米南東部に上陸した大型ハリケーンや、大手航空機メーカーの大規模ストライキによる押し下げが想定以上に大きかったと見られる。もっとも、前2か月分の雇用者数も合計11.2万人下方修正されており、その結果雇用情勢の基調を判断する上で重要視される3カ月平均の増加幅は前月時点の14.8万人から10.4万人へと縮小した。
【3】平均時給
10月の平均時給は35.46ドルと前月の修正値35.33ドルから0.13ドル増加した。伸び率は前月比+0.4%、前年比+4.0%で、前月比では市場予想の+0.3%を上回った。前年比では予想通りだったが、伸び率は前月の修正値+3.9%から0.1ポイント加速した。米国では賃金上昇率がインフレ率を上回る状態が続いている。
まとめ
米10月雇用統計は、ハリケーンやストライキの影響があったにせよ労働市場が軟化していることを示す結果であった。非農業部門雇用者数はコロナ禍だった2020年12月以来の低い伸びとなり、3カ月平均の増加幅は2020年3月以来の低水準にとどまった。他方、平均時給は堅調な伸びを維持しており、賃金上昇の流れに変化はなかった。ハリケーンの復興需要やストライキによる賃上げなどから、米国のインフレは今後も鈍化しにくい環境が続くと見られ、米連邦準備制度理事会(FRB)としては、9月のような大胆なペースでの利下げには踏み切りにくくなりそうだ。なお、今回の米10月雇用統計は、ハリケーンやストライキといった「ノイズ」交じりの結果があらかじめ予想されていた上に、歴史的な大接戦が予想される米大統領選を数日後に控えていたことから、金融市場に大きなインパクトを与えなかった。