帝国データバンクは、「歯科医院」の倒産・休廃業解散発生状況についての調査・分析結果を11月6日に発表。同調査は、2024年10月31までの期間、負債1000万円以上法的整理による倒産、休廃業・解散を対象に集計を行った。

  • 「歯科医院」倒産・休廃業解散件数の推移

「歯医者」の淘汰(とうた)は過去最多ペースで進んでいる。2024年に発生した歯科医院(歯医者)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)が前年比倍増の25件、休廃業・解散(廃業)が101件発生し、10月までに計126件が市場から退出した。

23年通年の件数(104件)を超えて年間最多を更新するなど、前年比1.8倍の記録的なハイペースで推移している。

  • 休廃業・解散時点の歯科医院経営者年齢

経営者の平均年齢が60歳を超えるなど高齢化が進む歯科業界。近年は歯科医の高齢化が要因とみられる廃業が目立つという。2024年に「休廃業・解散」となった歯科医院の代表者年齢は69.3歳と70歳に迫るほか、最高齢は90歳超と集計可能な2016年以降で最高を更新。

同社によれば「歯科衛生士等の人手不足や後継者難に加え、供給過剰感や、虫歯治療で用いる銀などの合金をはじめとした物価高騰に伴う材料費等の値上げが重なり、収益環境も厳しい状況が続いている」という。

こうした中、マイナ保険証に対応した関連設備の導入など電子化も求められ、新たな設備投資が必要となったことも、高齢の歯科医師が運営する歯科医院で廃業が増加した要因の一つとみられるとのこと。

「虫歯治療などに代わってホワイトニングなど審美目的の受診が目立つ」といった歯科医院もあり、患者が求めるデンタルヘルスのニーズはより多様化。新たな設備投資やホワイトニングなど高付加価値の治療で顧客を獲得する若い歯科医と、高齢を理由に廃業を選択する歯科医との二極化が今後加速するとみられると、同社は推察している。