「会話泥棒」とは、相手が主導権を持って話しているときに、向こうの発言したキーワードを拾い、自分の話題に持っていくことをいいます。この記事では、会話の主導権を奪い、すぐに自分語りをしてしまう「会話泥棒」をする人の心理と注意すべき点を紹介します。
会話泥棒をする人の心理
会話泥棒をしてしまう人はなぜ相手から会話の主導権を奪ってしまうのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。ここでは、会話泥棒をする人の心理を解説します。
無自覚な承認欲求によるもの
会話泥棒をする人は、「自分が話題の中心にいたい」という思いがあります。「この話題なら他人に聞いてもらえる」「自分の話がしたくて我慢できない」という承認欲求が抑えきれないと、他者が提示した話題を乗っ取り、すぐに自分の言いたいことに話題を変えてしまいます。
これらは無意識に行っており、悪意がありません。ですので、自己中心的なマインドという自覚がないまま、会話している相手の話題を頻繁に奪ってしまうのです。
相手を知ろうとする気持ちがない
そもそも会話泥棒をする人は、他人の意見や感情にあまり興味がありません。自己愛が強すぎるあまり、「どうしたら目立つことができるか」ということで頭がいっぱいだからです。
たとえば、会話の相手が休日に出かけた場所の話をしたら「どんな場所?」や「楽しかった?」といった相手の話題を受けた返事をするのではなく、すぐに「わたしは」と自分の話題にすり替えてしまいます。話している相手の気持ちをないがしろにして、受け止める姿勢がまったくないのです。
他者にマウントをとろうとしている
ほかにも、「相手よりもよく見せたい」という思いも会話泥棒に拍車をかけます。特に競争心の強い人は、自分の経験や能力を相手に誇示するために、誰に対してもマウントをとってしまいます。会話相手の話題のなかで少しでも「自慢された」と思ったら自分のプライドや自尊心を守るために、強引に自分の話に持っていくのです。
どんな話題でもまず「相手より優位に立っているか」ということが気になり、相手の気持ちを考えないのが話題を奪う人の特徴です。
会話泥棒をされないための対処法
どんな話題を出しても「わたしは……」と自分語りに話をすり替えられてしまうと、ストレスがたまりますよね。こちらが言いたいことを伝えられない相手には、どのように接すればよいのでしょうか。
ここでは会話泥棒された相手から会話の主導権を取り戻す方法をご紹介します。
むやみに同調しない
会話泥棒をされないためには、相手の話にむやみに同調するのは避けましょう。相槌や「そうだね」という言葉ばかり繰り返すと、会話の主導権を相手に渡してしまうことになります。また、話に同調してしまうと「もっと話していいんだ」「この人は私の話がおもしろいんだ」と相手の勘違いを助長させてしまいます。
こうなってしまうと、ますますこちらの話を聞いてもらえなくなるでしょう。
元の話題に戻すことを意識する
会話泥棒をされた場合は、自分が話していた元の話題に戻すことを意識するのが大切です。「ところで、最初の話に戻るけど」といった形で話題を元に戻すきっかけを作ったり、いったん同調して相手を満足させた後に自分の話を続けたりなど、多少強引にでも話を戻すようにしましょう。
話題をしっかりと管理することで、会話の流れを取り戻せ、どちらか一方がしゃべり続けるという状況を回避できます。
フェードアウトして会話を中断させる
会話泥棒され続けストレスを感じた時には、無理に続けるのではなくフェードアウトして会話を中断させることもひとつの手です。相手に合わせてストレスを溜めるよりも、「そろそろ時間だし…」や「また続きは今度」など自然な形で会話を切り上げることで、自分のペースを取り戻しましょう。
勘違いを助長させないように態度で示す
ときには、相手の勘違いを助長させないように態度でしっかり示すことも重要です。たとえば、あまりリアクションしない、また相手をあまり見ないで意識をほかに向けているような仕草をするなど、少し冷めたような態度をとると良いでしょう。
会話泥棒する人は「自分が注目されたい」と思って話を奪っているので、相手にしてくれそうにないと感じたら話し続けることをあきらめる場合があります。
自分の意見をしっかり伝える
会話泥棒を防ぐためには、自分の意見をしっかりと伝えることも大切です。話が奪われそうになったときには、「でも私はこう思う」と自分の意見を明確に述べて、会話の主導権を取り戻しましょう。
自分の話をきちんと伝える姿勢を見せることで、相手もあなたの意見に耳を傾けるようになるでしょう。
コミュニケーションのパターンを変える
そもそも会話泥棒は、相手にかまってほしいという意識の表れです。なので、相手のかまい方やコミュニケーションのパターンを変えてしまうのもよいでしょう。「話だけだと分からないからSNSをチェックしておくね! 」と話を切り上げたり、逆にどんどん質問してこちらが話をリードするようにしてみたりするのもいいかもしれません。
会話泥棒をする人は自分のSNSを見てくれることで承認要求が満たされ、それ以上話し続けることをやめる場合があります。また、たくさん質問をされると「自分の話に興味を持ってくれている! 」とうれしくなり、会話の主導権をこちらに返してくれるでしょう。
会話泥棒をしないために気をつけるべきこと
会話泥棒は無意識におこなってしまう場合が多いので、自身も会話泥棒にならないように気を付けなければいけません。
会話泥棒にならないために、次のポイントを意識して会話しましょう。会話は相手とのコミュニケーションで成り立っていることを忘れず、対話が双方の満足につながるように心がけることが大切です。
相手の話を最後まできちんと聞く
相手の話を途中で遮ってしまうことは、その人の気持ちを軽視している証拠です。対等なコミュニケーションをとるには、まずは相手が話し終えるまでじっくり耳を傾けるようにしましょう。
最後まで話を聞くと、実は自分が想像していた話題と違う着地点になることもあります。思い込みでテーマを解釈して、すぐに自分の話を始めてしまうのは相手に対して失礼な行動です。
自分が聞く側になることをためらわない
会話は発言することだけでなく聞く姿勢も大切です。自分が話す側にまわることにばかりに集中せず、相手の話に興味を持って、適度に質問を投げかけたり相槌を打ったりしましょう。
話を真剣に聞いている姿勢を見せれば、相手も安心して話を続けることができます。
会話のバトンを相手に戻す
会話はキャッチボールのように、話のバトンを交互に渡し合うことが基本です。一方的に話し続けてしまうと、相手の関心を引くことが難しくなってしまいます。話題が一段落したら、話を振り返って質問を投げかけたり、相手に意見を求めたりすることで自然に会話の主導権を相手に戻すことができるでしょう。
これにより、会話全体のバランスが取れ、互いに話しやすくなる環境を作り出すことができます。
会話泥棒をする人の心理を知って上手く対処しよう
誰もが「自分の話を聞いてほしい」「わたしを知ってほしい! 」と思っています。それがお互いさまなら、双方がきちんと相手の意見を聞く姿勢が大切です。相手の話に耳を傾け、その話題に対して言葉を返してあげることをお互いに意識すれば、心地よい会話のラリーを続けることができます。
コミュニケーションでは、自分が聞く側になることをためらわないようにしましょう。対等であることを意識し、お互いの信頼関係を深めるような会話ができるように心がけたいですね。