大王製紙は11月5日、男性の排尿事情とトイレットペーパーの使用頻度に関する調査結果を発表した。調査は2024年6月5日~6月13日、20~90代の男性1,180名を対象にインターネットで行われた。
排尿時の姿勢は自宅では「座る」派、外出先では「立つ」派が多い
男性がトイレで排尿をするとき、立つ派と座る派のどちらが多いのか。調査の結果、自宅では座る派が約6割を占める一方、外出先では立つ派が約8割という結果となった。
自宅で座る派が多い理由は、「尿が跳ねてお掃除が大変」「家族から座ってするように言われた」など、衛生面や家族への配慮が挙げられる。一方、外出先で立つ派が多い理由は、会社や公共施設には⼩便器が設置されていることが一般的であるためと考えられる。
自宅のトイレでの排尿姿勢を年代別に見てみると、20~30代は7割以上、40代以上は6割前後の⼈が座る派と回答している。
続いて、外出先のトイレでの排尿姿勢を年代別に見てみると、30代以上は、立つ派がそれぞれ7割を超える結果となっている。一方で、20代は立つ派が約6割にとどまり、ほかの世代に⽐べて最も少ない数値となった。
立って排尿すると、尿は便器にどれくらい飛び散る?
男性が立って排尿する場合、どのくらい尿が飛び散るのか。男性の1回の排尿量の平均は200~400mLとされているため、今回は300mLの青く着色した水を尿に見立てて実験を行った。
300mLの青く着色した水を注射器に入れ、立って排尿する高さから便器に勢い良く放出。この作業を3回繰り返した後の便器と床の様子が、下記右のとおり。
画像を見ると、便器から跳ね返った水が便器のフチにまで大量についているのが確認できる。また、床への飛び散りも、特に便器手前の床が顕著だった。
便器の手前以外の床には、大きな飛び散りは見られなかったが、これは実験に使用した便器が水たまりの量が多いタイプで、尿の跳ね返りを抑える構造になっているためと考えられる。とはいえ、細かい飛び散りは確認できたため、跳ね返りがまったくなかったわけではない。
今回の実験結果から、立って排尿すると便器や床に尿が飛び散っていることが明らかになった。家族と共に住んでいる場合、飛び散った尿に気づかずに便器に触れたり、床を踏んだりしてしまい、汚れが家中に広がることも考えられる。衛生面を考慮すると、男性は座って排尿するほうが良いといえる。
男性が座って排尿するメリット
男性が座って排尿することは、トイレの衛生面や尿モレの防止など、多くのメリットがある。ここからは、男性が座って排尿するメリットを5つ解説する。
メリット1.立つ姿勢より残尿が減る
座って排尿すると、残尿が減るのはメリットのひとつ。海外の研究では、50歳を超える男性は、座って排尿するほうが残尿量が少ないという報告がある。また、下部尿路症状(膀胱に尿を溜めたり、尿を排出したりする⾏為が円滑にできない症状)のある男性では、立って排尿するよりも座るほうが、残尿が約25mL少ないという研究結果もある。残尿感は40代頃から表れやすい傾向があるが、年代や症状によっては、座って排尿するほうがいいと考えられる。
メリット2.追っかけモレ(排尿後尿滴下)が起こりにくい
男性は座って排尿したほうが、追っかけモレ(排尿後尿滴下)が起こりにくくなる。追っかけモレとは、尿道内に残ったわずかな尿が、トイレ後しばらくしてからジワジワとモレ出てくる症状のこと。 体の構造的に、座って排尿するほうが尿道内に尿が残りにくいため、追っかけモレを軽減できる。
さらに、排尿後に会陰部(陰嚢と肛門のあいだ)を指で押して、尿道に残った尿をトイレットペーパーに出す「ミルキング」を⾏うと、より高い効果が得られる。
尿道内に残った尿が、後からモレ出てくる追っかけモレ。では、尿道内のどこに尿が残っているのか。追っかけモレのメカニズムと、下着やズボンがどのくらい汚れるのかについて、実験を行った。
一般的な男性の尿道の長さは16~20cm、内径は7~10mmとされている。そこで、内径8mmのシリコンチューブを男性の尿道に見立てて折り曲げ、青く着色した水1mLを入れてみた。
上記の画像を見てみると、シリコンチューブの折れ曲がった部分に、水が残りやすいことがわかるが、これが、追っかけモレの原因。排尿後に会陰部を押すと、折れ曲がった尿道の形状が変わるため、残ってしまった尿を出すことができる。
次に、シリコンチューブに残った少量の青い水を、ズボンと重ねて裏返しにした下着の内側に垂らしてみた。
垂らした部分の下着の色が、変わっているのが確認できる。
ズボンを表にひっくり返すと、上の写真のような状態になっていた。下着に少量の水を垂らしただけでも、ズボンにはかなり大きなシミができているのがわかる。少量の追っかけモレでも下着やズボンには大きなシミができるため、特に外出先では追っかけモレ予防が大切といえる。
メリット3.トイレ内に尿が飛び散らない
男性が立って排尿すると、便器から跳ね返った尿がトイレ内に飛び散る可能性がある。一度の排尿では汚れが気にならないかもしれないが、これが繰り返されると、トイレの汚れがどんどん蓄積されていき、衛生的ではない。
メリット4.尿ハネで服や靴が汚れない
立って排尿すると、尿が跳ねて便器まわりだけでなく、ズボンの裾や靴なども汚れる可能性がある。1回のトイレで飛び散る尿の量は少なくても、1日に何度も排尿を繰り返せば、気づかないうちにズボンや靴を汚してしまうかもしれない。服や靴にかかった尿は悪臭の原因にもなるため、気になる⼈は座っての排尿が推奨される。
メリット5.掃除が楽になり、ニオイ予防にもつながる
掃除が楽になる上、トイレ内のニオイを予防できることも、座って排尿するメリット。前述の実験のように、立って排尿すると便器の内外に尿が飛び散り、掃除の手間が増えてしまう。
また、排尿直後はほとんどニオイがなくても、飛び散った尿を放置すると雑菌が繁殖して、トイレの悪臭の原因となる。さらに、便器や壁に付着した尿の成分が蓄積・濃縮されて⽯のように固くなる(尿⽯化)と、見た⽬が悪いだけでなく、こすっても落ちにくいので掃除がいっそう大変に。尿ハネは床や壁紙、便器のフチ裏などにもつくため、広範囲のこまめな掃除が必要となる。
排尿後にトイレットペーパーを使う男性の割合は?
排尿後にトイレットペーパーを使用する男性は、どのくらいいるのか。「排尿姿勢は座る派」と回答した⼈に、排尿後にトイレットペーパーを使うかどうか聞いた。
アンケートの結果、自宅で排尿後にトイレットペーパーを使う⼈は46.7%、外出先では55.1%となった。外出先でのトイレットペーパー使用率が高い理由としては、尿モレによって下着やズボンが汚れたり、におったりすることを防ぎたいという気持ちが強まるためと考えられる。
トイレットペーパーを使うと答えた⼈に理由を尋ねたところ、「尿キレが悪く、拭き取りをするため」「尿くさくなるから」「トイレットペーパーで拭かないとパンツに染みて気持ちが悪い」「下着を汚したくないのと、トイレを尿のこぼれで汚したくないから」「スーツで外出が多いため、下着に尿がつくとみっともないので、座って用を⾜した後、トイレットペーパーを使用する」といった声が挙がった。このように、排尿後にトイレットペーパーを使う理由は、清潔さや快適さを保つための配慮が大きいことがわかる。
男性器を清潔に保つことで感染症予防にもなる
男性器を清潔に保つことは、亀頭包皮炎や腎盂腎炎といった感染症の予防になる。多くの感染症は、尿の出口(尿道口)から細菌が侵入することで起こる。感染症予防のためにも、排尿後やミルキング後はトイレットペーパーでしっかり尿を拭き取り、清潔に保つことが推奨される。