ゲームを楽しむプラットフォームの1つとして多くの人に親しまれるようになったスマホ。昨今のスマホは処理性能やグラフィックス性能が上がり、重量級ゲームも楽しめるようになりました。そのようなスマホですが、携帯性を重視しているだけに「ゲームを楽しむには画面が小さい」という不満がつきまといます。特に、家でプレイする際は物足りなく感じます。

ゲームをより大画面でプレイしたい、というニーズを受け、ゲーミングスマホ並みに高い処理性能や表示性能を備えたゲーミングタブレット「REDMAGIC Nova」が登場。圧倒的な性能を備えながら、10万円を切る価格や絶妙な本体サイズなど、バランスよくまとめられています。外観からはゲーミングモデルとは分からず、人と接する場でも違和感なく使えるのも好ましいと感じました。

  • ゲーミングスマホのコンセプトを受け継いだゲーミングタブレット「REDMAGIC Nova」が登場。現在最高峰の処理性能や表示性能を備えつつ、10万円を切る価格で購入できる。発売開始は11月13日12時の予定

最高峰の性能を備えつつ、期間限定で8万円台に

ゲーミングスマホを精力的に手がけているREDMAGICが、ゲーミングスマホのコンセプトを受け継ぐゲーミングタブレット「REDMAGIC Nova」を発表しました。

これまで、美しい3Dグラフィックスを多用する重量級ゲームや、素早く動くターゲットに合わせてタイミングよく操作する音楽ゲームを大画面で楽しむ用途のタブレットは、処理性能や表示性能に優れるアップルのiPad Proがほぼ一択の存在となっていました。しかし、最新モデルは11インチモデルでも168,800円からと高価で、ゲーム目的では手が出しづらいのが事実。REDMAGIC Novaは、もっとも安い12GBメモリー+256GBストレージモデルが92,800円で、先行予約期間中(11月13日11時59分まで)は87,800円で購入できます。

  • ゲームを極める人が指名買いで購入しているアップルのiPad Pro。性能は文句なしだが、ゲーム目的ではちょっとオーバースペックで価格も高い

そのようなREDMAGIC Novaですが、“ゲーミング”という売り文句から連想するゴツゴツした造形や虹色に光るLEDはなく、前面のデザインはきわめてオーソドックス。ビジネスシーンでも問題なく使えると感じます。背面には、スケルトンボディをイメージしたデザインや、RGB LEDを内蔵したロゴや空冷ファンがあり、控えめながらゲーミングデバイスであることを主張しています。

  • 2880×1800ドット表示の10.9インチ液晶を搭載。前から見る限りは、まったく“ゲーミング感”はない

  • 背面を見ると、ゲーミングモデルらしい装飾が施されている。ボディは放熱性の高いアルミニウムで、質感は高い

  • スケルトン的なデザインが施されているが、実際の内部基板が見えているわけではない。REDMAGICのロゴもRGBで光る

ディスプレイは10.9インチの液晶パネル(2880×1800ドット)で、144Hzのリフレッシュレートに対応しているため、素早い動きのゲームもなめらかに表示できます。タッチ操作は最大840Hzと高速で、タイミングが重要になるゲームにも対応できます。このあたりは、ゲーミングを意識した作りといえます。本体の大きさや重さはちょうどよく、持て余す感じはありませんでした。指紋認証と顔認証の両方に対応しており、ロック解除がスマートにできる点も好ましいと感じます。

  • REDMAGIC Nova(左)と旧世代の11インチiPad Pro(右)。アスペクト比の違いはあるが、本体サイズはおおむね同じ。本体はiPad Proの方が薄い

見た目はオーソドックスにまとめられたREDMAGIC Novaですが、性能の高さは特筆できます。SoCは、最新の「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 Leading Version」で、通常のSnapdragon 8 Gen 3よりもCPUクロックを高めています。ベンチマークでは群を抜くスコアをたたき出し、「原神」や「学園アイドルマスター」などのゲームもなめらかな表示でプレイできました。

  • 3DMarkでWild Life Extremeを走らせた結果。圧倒的なパフォーマンスをたたき出した

  • ゲームプレイ中のみ呼び出せる設定メニュー。ゲームを最善の環境でプレイするための設定変更がまとめてできる

REDMAGICシリーズらしく、空冷ファンとヒートパイプ、熱伝導性の高い素材を用いた高い冷却構造も備えています。ファンは背面に内蔵していることもあり、ファンが回ってもほぼ無音でゲームに集中できました。バッテリー容量は10,100mAhと大容量で、約55分でフル充電できる急速充電にも対応し、電源まわりにも不満はありません。

サウンドも充実しており、縦でも横でもステレオで楽しめる4つのスピーカーを内蔵。立体音響の「DTS:X」にも対応しており、対応アプリでは臨場感豊かなサラウンド音響が楽しめます。ゲーミングスマホ「REDMAGIC 9S Pro」が搭載するヘッドホン端子が省かれたのは気になりますが、Bluetooth接続でも低遅延で楽しめるSnapdragon Soundに対応します。

背面の出っ張りが気になる

まとまりのよいREDMAGIC Novaですが、冷却ファンやカメラを内蔵する背面の一部だけが大きく盛り上がっているのは気になりました。位置が悪いので、手で持つ際のグリップ代わりにもならず、ただじゃまなだけ。REDMAGIC 9シリーズでは背面カメラをフラットに仕上げた実績があるだけに、スマートフォンよりも圧倒的に内部構造に余裕のあるタブレットは完全フラットに仕上げてほしかったと感じます。

  • 冷却ファンやカメラがある部分のみ長方形に盛り上がっている

  • 本体の薄さを考えると、盛り上がりはかなり大きめ

発熱に関しては、ゲームをプレイしている時は気にならなかったものの、3DMarkなどのベンチマークを連続で回していると背面上部がかなり熱を持ちました。背面を覆うケースなどを導入した場合でも、ゲームをプレイする際は念のためケースを外しておいた方がよさそうです。

  • 3DMarkのベンチマーク測定中は、背面の上部がかなり熱を帯びた。この部分にSoCが内蔵されているとみられる

  • 本体側面には拡張用の端子や固定用のくぼみが設けられており、キーボード付きケースなどがオプションで用意されるとみられる

普段使いもできるコスパ高のゲーミングタブレット

性能、価格、サイズのバランスが取れており、iPad Proにはないコスパの高さを持っているREDMAGIC Nova。人気の重量級ゲームを大画面で楽しみたいと考える人は満足できますし、ビジネスシーンでも持ち運びやすいサイズの高性能タブレットとして使える点は評価できます。ふだんはスマホでゲームを楽しみつつ、自宅などで腰を落ち着けてゲームを満喫したい際に満足度を高めてくれるプラスワンとして、スマホゲームを楽しむ層に響きそうです。