世界有数のポルシェコレクターとして知られる元ファッションデザイナー、マグナス・ウォーカーが約25年間所有してきたロサンゼルスの物件が、2,000万ドルで売り出されている。ダウンタウンに位置するこの物件は、住居兼作業場として使用されている2,415平方メートル(約731坪)の倉庫ビル。
【画像】超クールな倉庫物件!マグナス・ウォーカーの住居兼作業場の物件が販売中(写真13点)
かつてウォーカーは、この建物で自身のブランド「シリアス・クロージング」を展開していた。同ブランドはロサンゼルスの音楽シーンで絶大な支持を集めグウェン・ステファニー、アリス・クーパー、マドンナなど、錚々たるアーティストたちが着用したことで知られている。その後、再開発プログラムを活用して自宅兼事務所へと用途を変更。
偶然の成り行きから住居兼作業場がロケ地としても活用されるようになり、これがまた大成功。ケビン・コスナー主演の映画やメアリー・J・ブライジ、イーグルスの作品など、数々の映像作品の舞台になってきた。
1903年建造のこのレンガ造り2階建ては、2区画にまたがる3つの敷地を有し、複数の通りに面している。重厚な門扉の向こうには中庭型の駐車スペースが広がり、最大12台の車を収容可能。ウォーカーはヴィンテージ・ロールスロイスや70年代のコルベットなど、珠玉のコレクションが並べていた。
建物内部は工業的な趣きを残しながらも、独特の魅力を放っている。露出したレンガの壁、年月を経て味わいを増した木製の床、現役の貨物用エレベーター、天窓が点在する高い天井、そして2階には大きな南向きの窓が設けられ、たっぷりとした陽光が注ぎ込む。
大型シャッターを備えた玄関からは車の直接乗り入れが可能だ。1階の一角には鮮やかなブルーのピニンファリーナ・バッティスタが展示され、別のスペースはガレージ兼整備工房として使用。「一度手に入れたポルシェは手放さない」という信条で知られるウォーカー氏の愛車コレクション50台弱が、ここで大切に保管されてきた。
2階は1,040平方メートル(約315坪)の居住空間として使用されており、「ハースト城やイギリスの伝統的な邸宅に、ミッドセンチュリーモダンと60-70年代の家具をミックスしたような空間」とはウォーカーの言葉。
緑豊かな植栽に囲まれた中庭には、情熱的な赤のブーゲンビリアが咲き乱れ、夜になると芳醇な香りを放つジャスミンが開花する。広大な屋上からは、ダウンタウンの高層ビル群を間近に望む360度のパノラマビューを楽しむことができる。
数年前、ポルシェのオフィシャルマガジン「クリストフォーラス」のインタビューに応じているウォーカー、どうやらドミニカ滞在を気に入っている様子。妻を亡くし、既に悠々自適な財力を持ち合わせ、新しいビジネスにも興味がない、とも語っている。ドミニカへ本格的に移住するのか、はたまた断捨離や終活の一環なのか、”アウトロー”で名を馳せたウォーカーの今後が気になるところだ。と同時に、車両コレクションの行方も気になる…
The Magnus Walker Warehouse
https://canyonhaus.com/properties/the-magnus-walker-warehouse
文:古賀貴司(自動車王国)
Words: Takashi KOGA (carkingdom) Photography: ©Canyonhaus