年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、年金を支払う期間について、専門家が解説します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、年金を支払う期間についてです。

◆Q:年金は60歳までの支払いで、その後は払う必要はないんですか?

「業務委託として働いております。国民年金は60歳までの支払いということで、60歳になったら、国民年金の請求書は来なくなり、今後、一切、年金を払わないで済む、という理解で正しいでしょうか? それとも手続きが必要ですか?」(58歳・フリーランス)

◆A:60歳になったら支払う必要はなくなります

60歳になったら、国民年金保険料は自動的に払わなくてよくなります。国民年金保険料納付書が届かなくなるのです。

そもそも国民年金(基礎年金)は20歳以上60歳未満のすべての人が加入し40年間(480カ月)支払う必要があります。480カ月、国民年金保険料を支払うと満額の81万6000円(令和6年度/新規裁定者)を受給することができます。

また、老齢年金を受け取るには、10年間の受給資格期間が必要です。受給資格期間は、厚生年金の加入期間や、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も含まれます。

60歳になったら国民年金保険料を支払う必要はなくなりますが、60歳の時点で、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていない場合は、70歳になるまで国民年金に任意加入して保険料を支払うことができます。

また、未納期間があり、本来納付すべき期間40年間(480カ月)の納付済み期間がないため、満額の年金を受給することができない人も、60歳以上65歳未満の間、国民年金に任意加入して保険料を支払い、将来もらえる年金額を増やすこともできます。

なお、厚生年金に加入している人は任意加入できないので注意してください。60歳以降65歳になるまで国民年金の任意加入する場合は、付加保険料を上乗せして保険料を納めると、将来受け取れる年金が多くなりますよ。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

文=All About 編集部