アップルは10月30日、Apple Siliconに合わせて再設計した新型「Mac mini」を発表した。M4およびM4 Proチップのパワフルな性能を、12.7×12.7×5cmのコンパクトな筐体に凝縮している。Apple Intelligenceを活用する今後を見据えてNeural Engineを強化し、全てのモデルが16GB以上のメモリを搭載する。また、M4 ProモデルはThunderbolt 5に対応するなど、将来の耐用性に優れ、プロユーザーのニーズも満たす設計となっている。10月30日から予約受付を開始し、11月8日に発売予定である。価格はM4搭載モデルが94,800円から、M4 Pro搭載モデルが218,800円からとなっている。

Mac miniは、Appleが2020年11月に発売した初のApple Silicon(M1)搭載Macの1つだったが、これまでIntel製チップ時代のハードウェアデザインを引き継いでいた。効率性に優れたApple Siliconに基づいて再設計された新Mac miniは、手のひらサイズといえるコンパクトなデスクトップPCとなった。外形寸法は12.7×12.7×5cm、重量は0.67kg(M4)。M2搭載Mac mini(19.7×19.7×3.58cm、1.18kg)と比べて約42%小さく、フットプリントは半分以下である。

デザインは、Mac Studioのミニバージョンと呼べるような外観で、前面にUSB-Cポートと3.5mmヘッドフォンジャックを装備する。

ノートPCの薄型製品であるMacbook Airはファンレス構造で静音動作するが、負荷がかかる作業では発熱により一時的に制限がかかる場合がある(サーマルスロットリング)。Mac miniではパフォーマンスを優先し、コンパクトな筐体で空気の流れを確保する新たな排熱構造が採用された。底面前部から空気を取り込み、内部の各層に行き渡らせて、底面後部から排出する。これにより、効率的に内部を冷やし、M4/M4 Proの性能を引き出しながら静音動作も実現しているという。

「M4」チップは、10コアCPU(高性能コア×4、高効率コア×6)/10コアGPUで、メモリ帯域幅は120GB/s。ユニファイドメモリは16GB、24GB、32GBが用意されている。

「M4 Pro」チップは、12コアCPU(高性能コア×8、高効率コア×4)/16コアGPU、または14コアCPU(高性能コア×10、高効率コア×4)/20コアGPUという構成で、メモリ帯域幅は273GB/s。ユニファイドメモリは24GB、48GB、64GBから選べる。

両チップともに16コアのNeural Engineを搭載し、英語(米国)で提供が始まった「Apple Intelligence」(ベータ)が快適に動作する。また、ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングに対応し、リアルなゲーム・グラフィックスやスムーズな3Dレンダリングを提供する。

インターフェースは、前面にUSB-Cポートx2と3.5mmヘッドフォンジャック(ハイインピーダンスヘッドフォンに対応)。背面に、M4モデルはThunderbolt 4ポートを3つ、M4 ProモデルはThunderbolt 5ポートを3つ装備する。1000BASE-TのEthernetに対応し、オプションで10Gb Ethernetの選択が可能。ワイヤレスはWi-Fi 6EとBluetooth 5.3をサポートする。

Thunderbolt経由のディスプレイ出力のほか、HDMIポートも装備する。M4モデルは最大2台の6Kディスプレイと最大1台の5Kディスプレイに対応し、M4 Proモデルでは60Hzで最大3台の6Kディスプレイを接続可能である。

主な仕様は以下の通り:

  • チップ:M4(10コアCPU/10コアGPU)、M4 Pro(12コアCPU/16コアGPU、14コアCPU/20コアGPU)
  • メモリ:16GB/24GB/32GB(M4)、24GB/48GB/64GB(M4 Pro)
  • ストレージ:256GB/512GB/1TB/2TB(M4)、512GB/1TB/2TB/4TB/8TB(M4 Pro)
  • インターフェース:Thunderbolt 4×3(M4)、Thunderbolt 5 ×3(M4 Pro)、USB-Cポートx2、 HDMI、3.5mmヘッドフォンジャック、10/100/1000BASE-TギガビットEthernet、Wi-Fi 6E(802.11ax)、Bluetooth 5.3
  • サイズ:12.7×12.7×5cm(幅×奥行×高さ)
  • 重量:0.67kg(M4)、0.73kg(M4 Pro)

30日のMac miniの発表は、前日のM4搭載「iMac」に続く新製品発表である。Appleは今年、10月に発表イベントを行わずにMac新製品を発表しているが、イベント開催時と同じようにエグゼクティブや開発担当者が製品について説明するビデオを用意している。Mac miniについては発表と同時に「Mac miniの発表」がYouTubeで公開された。