島根県の出雲大社と言えば、縁結びのご利益がある神社として広く知られています。ただ、実は縁結び以外に家内安全や商売繁盛などのご利益も期待できるとされ、毎年のように国内外から多くの参拝者が訪れる歴史ある神社です。
本記事では、パワースポットとしても人気な出雲大社で得られるご利益について、参拝ルートとともに詳しく解説していきます。
ご利益がすごい! 出雲大社とは?
日本有数のパワースポットである出雲大社。参拝する多くの人々の心を浄化してきた特別な神社です。ここからは、出雲大社の御祭神やご利益を詳しく紹介していきます。
御祭神は大国主大神
「八雲立つ出雲の国」は、古くから神の国・神話の国として知られています。その中でも特に有名なのが、「大国主大神」が祀られている出雲大社です。
大国主大神は「だいこくさま」として親しまれ、良縁祈願・子授・夫婦和合・五穀豊穣・商売繁盛など、さまざまなご利益をもたらすと言われています。大国主大神は、出雲大社だけでなく日本全国の神社で祀られています。各地で御神明(神様の名前)や御神徳(ご利益)は異なり、地域によってさまざまです。
旧暦10月には日本中の神々が集まる
旧暦10月は、全国八百万の神々が出雲に集まると言われています。そのため、出雲ではこの月を「神在月(かみありづき)」、他の地域では「神無月(かみなづき、かんなづき)」と呼ぶのです。
旧暦10月10日から17日までの期間中、出雲大社では日本全国の神様をお迎えして行う伝統行事「神迎神事」と「神在祭」が執り行われます。
旧暦10月10日には稲佐の浜において、神々をお迎えする神迎神事が行われます。稲佐の浜でお迎えした神々は、大国主神が待たれる出雲大社へと向かわれ、旧暦10月11日から出雲大社において神在祭が行われます。
なお、神在祭は出雲大社のほかにも、以下の神社で行われています。
- 日御碕神社
- 朝山神社
- 万九千神社
- 神原神社
- 神魂神社
- 多賀神社
- 佐太神社
- 熊野大社
- 賣豆紀神社
全国の神々は、旧暦10月11日から17日までの期間中、出雲大社にて「神議り(かむはかり)」と呼ばれる話し合いをします。この場では人智の及ばない人生諸般の事柄が決められており、人々の「縁」なども決定されるそうです。
この神議りは、出雲大社の西方にある上宮(かみのみや)で行われました。そして、神々は出雲大社本殿の東西にある十九社(じゅうくしゃ)で休まれたと伝えられています。
縁結びの聖地として有名
出雲大社は、古くから「縁結びの聖地」として有名な神社です。この「縁」は、男女の縁だけでなく、人と人、自然や物事、すべての生き物の結びつきを指しています。
神在月に日本全国の神々が集まり、「人々の縁を話し合う」とされていることから、出雲大社が縁結びの聖地と呼ばれるようになりました。大国主大神は、日本の長い歴史の中で私たちを温かく見守りながら、目に見えないご縁を結んでくれているのでしょう。
出雲大社の参拝時間と所要時間、アクセス方法
出雲大社を十分に参拝できる所要時間や参拝時間、出雲大社までのアクセス方法などは以下の通りです。
住所 | 〒699-0701: 島根県出雲市大社町杵築東195 |
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定休日 | 年中無休 |
営業時間 | 参拝時間: 6時~19時 お守り所: 6時~19時 宝物殿: 8時半~16時半 ※警備の都合上、16時半以降は十九社から北側へは入れず |
所要時間 | ・「稲佐の浜」から参拝する場合は2時間~3時間 ・「稲佐の浜」を除く場合は1時間~1時間半 ・お土産やグルメ、歴史博物館なども散策する場合は合計4時間~5時間 |
アクセス | 【出雲縁結び空港から出雲大社へ行く場合】 出雲大社直通空港連絡バス(羽田~出雲便の1便と2便に合わせて運行) タクシー(所要時間は約40分) レンタカー 【出雲縁結び空港から出雲市駅を経由して出雲市駅へ行く場合】 空港連絡バス(各便到着後から約10分後に出発)で出雲市駅まで行く ・出雲市駅から一畑電車または一畑バスで出雲大社まで行く ・出雲市駅からタクシー(所要時間は約25分) ・出雲市駅からレンタカー |
駐車場 | ・出雲大社大駐車場(外苑駐車場)/普通車:385台 ・出雲大社第2駐車場(混雑時のみ16時まで開放)/360台 |
出雲大社のおすすめ参拝ルート
出雲大社には、大きく分けて9つの参拝スポットがあります。参拝ルートに沿ってお参りすることは、正しい作法での参拝につながるため、ぜひ参考にしてみてください。
ここからは、出雲大社のおすすめの参拝ルートを詳しく紹介していきます。
勢溜(せいだまり)の鳥居
はじめに、出雲大社の正門で、参道のスタート地点でもある「勢溜の鳥居(せいだまりのとりい)」です。
高さ8.8メートル、横幅12メートルの銅管製の大鳥居が、大きな石碑とともに立っています。出雲大社には合わせて4基の鳥居があり、この「勢溜の鳥居」は2の鳥居です。
ちなみに、1の鳥居は「宇迦橋の大鳥居(うがばしのおおとりい)」です。宇迦橋の大鳥居から勢溜の鳥居までは少し離れているので、省略されることの多い鳥居ですが、高さ23メートルの大きな門を実際にくぐると神聖な雰囲気を感じられます。
祓社(はらえやしろ)
勢溜の鳥居をくぐると、下りの参道が続きます。参道の右手には「祓社(はらえやしろ)」があり、「祓戸四柱の神(はらえどよはしらのかみ)」が祀られています。
祓戸四柱の神とは、以下の通りです。
- 瀬織津姫(せおりつひめのかみ)
- 速秋津姫(はやあきつひめのかみ)
- 気吹戸主(いぶきどぬしのかみ)
- 速佐須良姫(はやさすらひめのかみ)
本殿を参拝する前にここで心身を清めて、罪や穢れを払うことで、清らかな心で参拝できます。神楽殿前にも祀られているので、参拝したい方は場所をチェックしておきましょう。
さらに、祓社を過ぎて3の鳥居をくぐると、日本名松100選にも選ばれている松の並木道が広がっており、中には樹齢400年のものもあります。
また、祓社の後ろには「浄の池(きよめのいけ)」があり、この辺りは、休憩できるスポットがあるので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
御神像
松並木を過ぎると、2つの御神像が立っています。参道の右手側には大国主大神が幸魂・奇魂に出会ったことで「ムスビの大神」になった場面を表している「ムスビの御神像」。左手側には大国主大神の神話で最も有名な「因幡の白兎」を表している「御慈愛の御神像」がそれぞれ立っています。
御神像の近くには、手水舎があります。ここで、手や口を清めて心身ともに清らかな状態で参拝しましょう。
- 右手で柄杓を持ち水を汲み、左手に水をかけて洗う
- 柄杓を持ち替えて水を汲み、右手にかけて洗う
- 再び右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口をすすぐ(柄杓に直接口をつけない)
- もう一度左手に水をかけて洗い、最後に柄杓を立てて残った水で柄の部分を洗い清める
- 柄杓を元の場所に戻す
銅鳥居(どうとりい)
4の鳥居でもある「銅鳥居(どうとりい)」は、1666年6月に毛利輝元の孫である毛利綱広が寄進した青銅製の鳥居です。
銅鳥居をくぐった先、左手には「神馬神牛像(しんめしんぎゅうぞう)」があります。馬や牛は古くから神の使いとされ、日本神話にも関連する話があることから、神聖な動物として祀られているのです。
この神馬神牛象を撫でると、神馬は子宝や安産、神牛は学力向上にご利益があるとされています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
拝殿(はいでん)
現在の高さ12.9メートルの「拝殿(はいでん)」 は、1953年の火災で拝殿・鑽火殿(さんかでん)・庁舎が全焼したため、1963年に再建されました。戦後における本格的な木造神社建築の一つでもあり、この拝殿は一見の価値があります。
ここでは、参拝者の御祈祷や古伝新嘗祭(こでんしんじょうさい)など、多くの奉納行事が行われています。
御本殿(ごほんでん)・八足門(やつあしもん)
続いてのルートは大国主大神が祀られている「御本殿(ごほんでん)」と「八足門(やつあしもん)」です。
現在の御本殿は、1744年に再建された高さ24メートルの建物で、日本最古の神社建築様式として1952年には国宝に指定されました。古代の御本殿は高さ48メートルもあり、3本の大木を束ねて1本の柱として支えていたと伝えられています。
八足門と御本殿の間には楼門があり、参拝客は御本殿に入ることはできません。八足門から御本殿を拝みながらの参拝です。ただし、元日から数日間は楼門まで進めるので、通常時よりも近い位置から御本殿を拝めます。
十九社(じゅうくしゃ)
1809年に建築された「十九社(じゅうくしゃ)」は、神在月に集まる神々のお宿となる社です。細長い社には19の部屋があり、神在祭が行われる旧暦10月10日~17日までは扉が開かれています。この期間は、全国の神々に参拝できるため、毎年多くの参拝者が訪れます。
警備上の関係で、16時半以降はこれより北側には進めないので注意が必要です。
素鵞社(そがのやしろ)
御本殿の後方にあるのが、「素鵞社(そがのやしろ)」です。ここには、八岐大蛇(やまたのおろち)を排除し草薙剣(くさなぎのつるぎ)を獲得したことでも有名な、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が祀られています。
さらに、素鵞社の後方には聖域として立ち入りが禁じられている八雲山が広がり、八雲山の岩肌に直接触れられる「磐座(いわくら)」があります。神との一体感を体感できる最大のパワースポットとして有名なので、ぜひ立ち寄ってみてください。
神楽殿(かぐらでん)
最後に、大きな注連縄がある「神楽殿(かぐらでん)」を参拝しましょう。神楽殿の注連縄は、長さ13.5メートル、重さ5.2トンもあり、日本最大級の大きさを誇ります。
270畳の広い神楽殿は、かつて「千家國造家(出雲大社宮司家)」として使用されていました。しかし、明治以降は神殿としても使用されるようになり、現在では神楽や祈願、結婚式などが行われています。タイミングが合えば、神楽や結婚式の様子を見られるかもしれません。
また、神楽殿の裏側には天満宮や出雲大社宮司家の祖先神などを祀る社があります。
ご利益をアップさせるための参拝ポイント
鳥居をくぐり、心を込めて参拝するのも大切ですが、ほかにもご利益をアップする方法があります。
ここでは、出雲大社のご利益がアップするための参拝のポイントについて、詳しく紹介していきます。
「御砂」を持ち帰る
素鵞社(そがのやしろ)の床下の砂は「御砂」と呼ばれています。この砂を持ち帰り、自宅の土地や田畑などに撒き清めることで、ご利益があると古くから言い伝えられているのです。
御砂を持ち帰るためには、最初に稲佐の浜(いなさのはま)で砂を集める必要があります。集めた砂を持ち素鵞社を参拝し、床縁下にある木箱に入れることで、御砂をいただけます。
御砂を持ち帰りたい方は、出雲大社から西へ800メートルの場所にある稲佐の浜から参拝をスタートするとスムーズです。砂を入れる容器やビニール袋を持参しましょう。
お守りや御神札をチェックする
参拝後には、ぜひ御神札やお守りもチェックしてみてください(※紹介するのは2024年10月時点で販売されているものです)。
【神棚におまつりする御神札】
- 御玉串(サイズ24×7センチ)
- 家内安全木札(サイズ15.5×4センチ)
【肌守り】
- 縁結守(紫・赤・緑)
- 厄除守
- 交通安全木札(ステッカー付き)
- 長寿守
- 学業守(青・赤)
- 安産守
- 壮気健全守(紫・緑・青)
- 開運守
【カード型御守】
- 縁結守
- 病気平癒・身体健全守
- 産業・事業繁栄守
- 諸願成就守
- 厄除守
【玄関や柱などに貼る御神札】
- 剱先(サイズ27×11センチ): 魔除けの貼り札
- 地鎮祭剱先(サイズ34×13.5センチ): 土木・建築の際におまつりする御札
- 関札(サイズ30×7センチ): 家内安全の貼り札
- 牛馬札(サイズ31×7センチ): 牛馬安全の貼り札
- 祈穀札(サイズ29×7センチ): 五穀豊穣の貼り札
- 釜社札(サイズ31×7センチ): 火難水難除けの貼り札
【神棚におまつりする御神像】
- 増々木像(サイズ10.4×10.5×奥行6.6センチ): 商売繁盛・家内安全
- 両神木像(サイズ8.3×9.3×奥行5.5センチ): 家内安全
【絵馬】
- 干支絵馬
- 縁結絵馬(大)
- 縁結絵馬(小)
【縁起物】
- 縁結糸(裁縫用)
- 幸縁結ストラップ
- 縁結箸(夫婦箸・桧)
- 幸縁御慈愛根付(黒曜石)
- 幸縁ネックレス
【御掛軸】
- 大表(サイズ170×50センチ)
- 中表(サイズ160×40センチ)
- 一神表(サイズ110×45センチ)
- 少々表(サイズ95×27センチ)
出雲大社でやってはいけないタブー行為
ここからは出雲大社でやってはいけないことや、参拝時に注意すべきことを紹介します。
注連縄にお賽銭を投げない
出雲大社の拝殿と神楽殿には注連縄があり、この注連縄に「お賽銭を投げて刺さると縁起がよい」という噂があります。しかし、注連縄にお賽銭を投げることは、神様に対して失礼な行為です。神聖な空間や物に傷をつける可能性もあるため、お賽銭はしっかりとお賽銭箱に入れましょう。
参拝時は二礼四拍手一礼
また、一般的な神社の参拝方法は「二礼二拍手一礼」なのに対して出雲大社では「二礼四拍手一礼」が正式な参拝方法です。これは、神様をより深く崇拝するという意味が込められています。「八」は無限の数を表すことから、出雲大社の大きな祭典では、8回拍手しますが、普段はその半分の4回拍手で神様を讃えています。出雲大社のすべての社では、この参拝方法で祈願・感謝を伝えましょう。
ご利益がすごい出雲大社を参拝してみよう!
出雲大社には大国主大神が祀られており、旧暦の10月10日から17日までは日本全国の神様が集まり、神迎神事や神在祭が行われます。そこで人々の縁について話し合うことから、出雲大社は「縁結びの神様」として広く知られる神社になりました。縁結びの「縁」には、男女の関係だけでなく、すべての生き物や自然、物事などの結びつきを意味しています。
出雲大社での参拝作法は「二礼四拍手一礼」です。心を込めて参拝することはもちろんですが、正しい作法で参拝することを心がけましょう。
ぜひこの記事を参考にして、有意義な参拝をお楽しみください。