帝国データバンクは10月23日、最低賃金改定に対する企業の見解についての調査結果を発表した。同調査は、2024年9月13日~30日の期間、全国1万1,188社に対して行った。
正社員、非正規社員を問わず、従業員を採用するときの最も低い時給を尋ねたところ、全体平均は1,167円となり、改定後の最低賃金の全国加重平均1,055円を112円上回った。
業界別では、「金融」「不動産」がともに1,261円でトップとなった。以下、2位「建設」(1,249円)、3位「サービス」(1,208円)が続き、5業界で全体平均を上回った。
特に、『サービス』を詳細にみると、「情報サービス」(1,374円)や経営コンサルタントなどを含む「専門サービス」(1,313円)で1,300円を超え、相対的に高い水準だった。 また、同じ業界でも「旅館・ホテル」(1,037円)や「飲食店」(1,051円)は2024年の最低賃金1,055円を下回る水準にとどまり、業界間だけでなく、同じ業界内でも差が大きいことが分かった。
正社員、非正規社員を問わず、採用時の最低時給を都道府県別で比較すると、最も高かったのは「東京」の1,340円で、全国で唯一1,300円を超えた。以下、2位「神奈川」(1,277円)、3位「大阪」(1,269円)と続き、神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉の5府県で1,200円台となった。とりわけ、「東京」においては、改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が+177円と最大だった。
一方で、「青森」(984円)、「秋田」(990円)、「鹿児島」(991円)の3県は最低時給の平均が1,000円を下回った。特に、「青森」は改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が最小で、その差額は+31円であった。なお、「秋田」「鹿児島」も+30円台後半の差額となっており、地方において差額が小さくなる傾向があった。
同調査の結果、従業員を採用するときの最低時給の全体平均は1,167円となり、2024年改定後の最低賃金の全体平均1,055円を112円上回った。
物価上昇が続くなかで「従業員の給料を上げることで消費を促す必要がある」といった声がある一方、「130万円の壁を超えないようにするため、労働時間を意図的に抑える従業員が増え、人手不足が加速する」という声も多数寄せられている。