ハーマンインターナショナルが今秋から今冬以降にかけて投入する、JBLやHarman Kardonなど同社取り扱いブランドの新製品を、報道陣向けの展示会「HARMAN ExPLORE TOKYO 2024」で一挙発表。注目製品を紹介する。
ハイブリッドドライバで音質強化した「TOUR PRO 3」
JBLブランドからは、完全ワイヤレスイヤホンの新たなフラグシップとなるノイズキャンセリング対応モデル「JBL TOUR PRO 3」(以下、TOUR PRO 3)が発表された。
同社はTOUR PRO 3において、6つのポイントをアピールする。
その1:JBL初、ハイブリッドドライバー採用
まず1つ目にして最大の特徴は、JBL初となるハイブリッドドライバーの採用だ。構成は10mm径ダイナミックドライバー1基と、バランスドアーマチュアドライバー1基で、ダイナミックドライバーが低域〜中域を、バランスドアーマチュアドライバーが高域を担当。特に高域の再現性が向上したと担当者は説明する。
またBluetoothコーデックは従来のSBC、AACに加え、JBL TOURシリーズとして初めてLDACをサポート。対応デバイスとの接続において、最大96kHz/24bitのハイレゾ伝送を可能とした。
その2:ノイズキャンセリング性能強化
2つ目はアクティブノイズキャンセリング性能の向上だ。「新リアルタイム補正機能付ハイブリッドノイズキャンセリング 2.0」と名付けられた同機能では、周囲の環境に合わせてリアルタイム補正するフィルター計算を強化することで、ユーザーに合わせたリアルタイム適応に対応。たとえばイヤホン装着時に髪の毛が挟まっているなどの状態を検知・自動調整を行うことにより、アクティブノイズキャンセリング効果の最適化を実現する。また、イヤーチップにはシリコン製に加え、JBL初のフォームタイプを同梱することで、パッシブノイズキャンセリング性能も追求。特に高音域でのノイズ減衰を強化している。
その3:新たな空間サウンド再生機能
3つ目のポイントとして、演算処理能力を高めたチップセットの搭載により進化した空間サウンド再生が挙げられた。ムービー、ミュージック、ゲーミングと異なるチューニングの3モードを用意し、アルゴリズムの最適化によりさらにリアルで正確な空間サウンド再生を実現する。加えて、ライブ動画やスポーツ視聴といったコンテンツの臨場感を高めてくれるヘッドトラッキング機能も新搭載した。
その4:マイク強化で通話性能UP
4つ目には通話性能の向上をアピール。従来のノイズ低減アルゴリズムに加え、新たに様々な種類のノイズを学習させたAIノイズ低減アルゴリズムをJBLとして初採用。この組み合わせにより、前モデル比で平均約18dBのノイズ低減効果を実現しており、地下鉄などで常に発生する定常ノイズのほか、赤ちゃんの鳴き声など突発的な過渡ノイズも正確に抑制するとしている。担当者はクリアな音声通話に自信を見せ、「ぜひ体験して欲しい」と強調していた。
その5:画面表示を強化したスマート充電ケース
5つ目は、外観的な特徴でもあるスマート充電ケースについて。搭載されるディスプレイのサイズが前モデルから約29%アップし、感度も高められた。画面表示についても、「アルバム名と楽曲名の表示(日本語含む)」や「電話入電時連絡先表示」、「マルチポイントコントロール」に「AURACAST」などを新たに追加。なかでも、待ち受け画面にバッテリー状態がまとめて表示されるようになり、より使い勝手が良くなったとアピールする。接続コーデック表示が可能になったのもイヤホンファンにとって嬉しいポイントだ。
その6:機内エンタメを楽しむトランスミッタ機能搭載
6つ目のポイントはトランスミッター機能の追加だ。これはTOUR PRO 3のスマート充電ケースを3.5mmまたはUSB-Cで有線接続することで、イヤホンに音声信号を送信することができる機能となる。飛行機の機内エンターテインメントを楽しんだり、テレビの音声をTOUR PRO 3で聴くなど様々な用途に利用できることに加え、ここにAURACAST機能を組み合わせることで、対応する複数のイヤホンやスピーカーへと音声を同時送信することも可能だ。
その他の仕様として、Bluetoothはバージョン5.3をサポート(LE Audio対応予定)。周波数特性は20Hz〜40kHzで、イヤホン本体はIP55の防水性能を備える。連続使用時間はLDAC接続/ノイズキャンセリングオン時でイヤホン本体で約7時間、充電ケース併用で最大約28時間。LDAC接続/ノイズキャンセリングオフ時はイヤホン本体で約8.5時間、充電ケース併用で最大約34時間となる。
大ヒットを記録した前モデルの「JBL TOUR PRO 2」は、想定よりも男女問わず幅広い年齢層に受け入れられたというが、TOUR PRO 3についてはターゲットユーザーを「20〜30代の男性ビジネスパーソン」に設定しているそうだ。これはフラグシップとして多機能化し、よりガジェット的な側面を強めたためだが、音質の要であるドライバーにメスを入れるなど抜本的な進化を目指した本モデルにおいても、JBLファンのみならず想定外のユーザーからの支持を獲得できることに担当者は期待を寄せた。
なお、JBLの完全ワイヤレスイヤホンとして、この他にもいくつかのモデルが参考出品された。
エントリーモデルとなる「WAVE BEAM 2」は、新たにノイズキャンセリング機能を搭載。価格を抑えつつ、4カラー展開で新規層の獲得を狙う。フタなし充電ケースが特徴の「WAVE BUDS 2」は、ノイズキャンセリング機能と最大2台の同時接続が可能なマルチポイント対応を進化点として登場する。
またノイズキャンセリング対応スポーツ向けモデル「ENDURANCE RACE 2」が新登場。同シリーズは日本初上陸となっており、IP68の優れた防水・防塵性能を備える。独自のツイストロック構造と2種類のエンハンサーで装着性を高めるなど運動時に使いやすいよう設計されている。スポーツ需要の高まりを受けて発売を決定したもので、まずはEC専売で様子を見て販路を検討していくとのことだ。また、耳をふさがないオープンスタイル完全ワイヤレスイヤホン「SOUNDGEAR SENSE」には、新色ブルーが追加される。