メルセデス・ベンツの人気者、ゲレンデこと「Gクラス」が電気自動車(EV)になって日本に上陸した。電動化によりGクラスはどう変わったのか。見た目はほとんど変わっていないようだが……。メルセデス・ベンツでGクラスのプロダクトマネージャーを務めるトニ・メンテルさんに詳しく聞いてきた。
EVだと判別したいなら後ろ姿に注目
メルセデス・ベンツは2024年10月23日、日本でGクラスのEVバージョン「G580 with EQ Technology Edition 1」を発売した。納車開始は2024年11月の予定。価格は2,635万円だ。「Edition 1」(エディション1)は特別仕様車で、受注は期間限定で行うとのこと。いつまでに注文すればいいのかは教えてもらえなかったのだが、期間中であれば無制限に受注できるわけではないそうなので(生産能力に限りがあるので当たり前だが)、気になった人は早めにアクションを起こした方がいい。
外観は基本的に、ディーゼルエンジンを搭載するGクラス「G450d」とほとんど変わらない。メンテルさんも「フロントグリル、フロントフェイスは同じものをオファーしています。前から見ると(エンジン車とEVの)どちらかがわからないくらいです」とする。
2023年の「ジャパンモビリティショー」に登場したGクラスEVのコンセプトモデル「Concept EQG」は、EVらしくフロントグリルにつるりとしたパネルを装着していた。G580は空気を通すための穴が開いた伝統的なフロントグリルだが、パネル状のグリルをオプションで販売する計画があるらしい。発売は2025年第1四半期になるとのこと。
細かな変更点だが、G580には空力向上のための変更点がいくつかある。例えばボンネットのフタ(フード)が少し高くしてあったり、Aピラー側面の出っ張りをなくしてフラットにしてあったり、リアタイヤのホイールアーチ前面に「エアカーテン」という穴が開けてあったりといった具合だ。
外観でEVかエンジン車かを見分けるなら、注目すべきは後ろ姿だ。エンジン車であればスペアタイヤのケースが付いているところに、G580は「デザインボックス」というものを装着している。ここには充電ケーブルやタイヤチェーンなどを入れておける。ボックスの色は上部1/3がブラック、残りはボディ同色となる。
特別仕様は内装が特別
内装はエディション1限定の仕様となっている。シートはブラックとグレーの2トーンで、随所にブルーのステッチが入る。ステッチのブルーはボディサイドに入る青のアクセントおよび青のブレーキキャリパーと色が合っている。この組み合わせはエディション1のみの特別なものだそうだ。オーディオシステムは「ブルメスター」(Burmester)だが、ルーフにスピーカーを追加して性能を向上させている。
荷室についてはEV化により床が少しだけ高くなったというが、容量減はたったの20Lとのことだから、積載性への悪影響はほとんどないはずだ。
基本的には丸目でボクシーでアイコニックな見た目は変わっていない「G580」。あえてEVらしさを強調しない姿勢が潔いと感じた次第だ。