2024年SUPER GTシリーズ第7戦がこのほど、大分県オートポリスで開催された。日産自動車・日産モータースポーツ&カスタマイズはレースレポートを発表。Nissan Z NISMO GT500勢は予選で1-2位を占め、フロントロウから3時間のレースに挑んだ。

  • オートポリス、GT500クラスの2位表彰台に立つロニー・クインタレッリ(左)と千代 勝正

レースは波乱の展開に

予選で1-2位を占め、フロントロウから3時間のレースに挑んだNissan Z NISMO GT500勢。レース中盤に1-2-3態勢でリードを築くも、4度のセーフティカー導入による波乱の展開の中、「#23 MOTUL AUTECH Z」(千代 勝正 / ロニー・クインタレッリ)が2位、「#3 Niterra MOTUL Z」(高星 明誠 / 三宅 淳詞)が3位でフィニッシュした。

12番手からスタートした「#12 MARELLI IMPUL Z」(平峰 一貴 / ベルトラン・バゲット)は5位入賞を果たした。

  • 上・ロニー・クインタレッリ(左)と千代 勝正、下・オートポリスを走る赤い#23 MOTUL AUTECH Z

【GT500】

<予選>

・「#24 Z」の名取がポールポジションを奪取
・「#23 Z」が2番手タイムをマークし、Nissan Z NISMO GT500が予選1-2

第5戦鈴鹿が12月に延期され、今回シリーズ6戦目となったことによりサクセスウェイトの軽減措置がなくなり、前戦までの結果により「#3 Niterra MOTUL Z」には70kg、「#23 MOTUL AUTECH Z」は46kg、「#12 MARELLI IMPUL Z」は60kg、「#24 リアライズコーポレーションADVAN Z」(松田 次生 / 名取 鉄平)は4kgのサクセスウェイトが搭載された。

なお、規定によりサクセスウェイトが67kgを超えた場合、リストリクターを2段階絞りウェイトを34kg減らすことができるため、「#3 Z」の搭載ウェイトは36kg、50kgを超えた場合はリストリクターを1段階絞りウェイトは17kg減らされ、「#12 Z」の搭載ウェイトは43kgとなっている。

10月19日、阿蘇の山あいにあるオートポリスは時折激しい雷雨と濃い霧に見舞われ、天候回復を待ちながらも走行はすべてキャンセルされ、予選は翌日決勝日の午前中に行われることになった。

10月20日、朝方は濃い霧がサーキットを覆い小雨が舞う天候だったが、GT500クラスの予選が開始された午前8時30分には天候と路面は回復傾向となり、全車ドライタイヤによる30分間の予選が行われた。

4台のNissan Z NISMO GT500は気温10度、路面温度13度という低温のコンディションのなか、じっくりとタイヤを温めながらタイムアタックのタイミングを狙った。

「#24 Z」の名取は12周目のアタックで1分33秒162のトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得。「#23 Z」の千代がセッション終了直前に1分33秒243をマークし2番手にポジションを上げた。

「#3 Z」高星は11周目に1分33秒930で5番手、「#12 Z」平峰は12周目に1分34秒746で12番手となり、予選が終了。Nissan Z NISMO GT500は今シーズン初のポールポジションを獲得。

「#24 Z」と「#23 Z」はフロントロウから決勝をスタートし、ランキング5位の「#3 Z」は5番手の好位置から巻き返しを狙い、3時間のレースに挑んだ。

<決勝>

・レース序盤から独走した「#23 Z」が惜しくも優勝を逃し2位
・終盤の追い上げでポジションを上げた「#3 Z」が3位となりNISMO勢2台が表彰台獲得

20日、決勝レースが始まる午後には天候も回復し、完全なドライコンディションとなった。しかし、冷たい風が吹く肌寒い状況は変わらず、気温14度、路面温度21度とタイヤ選択など難しいレースが想定された。午後1時20分、2周にわたるフォーメーションラップが開始され、長丁場の3時間レースが幕を開けた。

フロントロウからスタートした「#24 Z」の松田はポジションをキープし、後続を引き離すペースで走行。2番手スタートの「#23 Z」千代はスタート直後に後続に先行を許し3番手にダウンするが、タイヤが温まった2周目のセクター3でオーバーテイクを決めて2番手を取り戻し、レース序盤からZ勢が1-2態勢を築いた。

  • #3 Niterra MOTUL Z

5番手スタートの「#3 Z高星」はポジションを下げて6番手に。12番手スタートの「#12 Z」バゲットは好スタートから9番手に上がり、3周目に10番手となりレース序盤のポジションを確保した。

ペースに勝る「#23 Z」は、12周目の第2ヘアピンで「#24 Z」をパスしトップに立つと、後続を引き離すハイペースで周回を重ね、21周目には20秒以上の差をつけ独走状態になった。

  • #12 MARELLI IMPUL Z

23周目、ストップしたマシンの回収のため、フルコースイエロー(FCY)からセーフティカー(SC)が導入。トップをゆく「#23 Z」のマージンは消滅したが、2番手には「#24 Z」がつけ、Z勢の1-2態勢の状況。序盤の混戦でポジションを失った「#3 Z」は9番手、「#12 Z」は11番手だった。

28周を終え、レースがリスタートするタイミングで「#3 Z」と「#12 Z」がピットインし、ドライバー交代はせずにレースに復帰。トップの「#23 Z」は33周目を終えた時点でピットインし、ドライバーは交代せずすばやい作業でコースに戻った。

2番手走行の「#24 Z」は34周を終えてピットインし、ドライバーは名取に交代したが、ピットインするマシンが多く混乱するなかでタイムロスし、ポジションを失うこととなった。

37周目、GT500クラスの全車が1回目のピット作業を終えた段階で、「#23 Z」が1番手、「#3 Z」が2番手、「#12 Z」が3番手となり、Z勢が1-2-3態勢を築いて、レースは中盤戦に入った。

「#23 Z」の千代は、ピットイン後もハイペースを保ち、ファステストラップをマークして後続との差を広げる。2回目のピットインのタイミングとなるまでZ勢の1-2-3態勢は続き、「#23 Z」と2番手の「#3 Z」の差は20秒に広がっていた。60周を終え「#23 Z」と「#12 Z」が同時にピットイン。それぞれドライバー交代を行った。

  • #24 リアライズコーポレーションADVAN Z

翌61周を終えて「#3 Z」がピットインしドライバー交代を実施。ほぼ同時にクラッシュしたマシンが出てSCが導入され、ピットインのタイミングで有利となったマシンが先行し、Z勢はポジションを明け渡すこととなってしまう。

SC先導が終わり、レースがリスタートとなった68周目には、「#23 Z」クインタレッリが2番手、「#3 Z」三宅が4番手、「#12 Z」平峰が6番手となり、ポジション奪還を目指してペースを上げた。73周目に「#12 Z」が前車をオーバーテイクし5番手に浮上。86周目には「#3 Z」が第1コーナーでオーバーテイクを決めて3番手にポジションを上げた。

レースは最終盤に入り、Z勢はさらに上位を狙うが、87周目にクラッシュしたマシンが出てSC導入。SC先導中にトラブルで「#24 Z」がストップしSCは解除されず、3時間が経過してレースは92周を終えてフィニッシュとなった。「#23 Z」が2位、「#3 Z」が3位とZ勢は2台が表彰台を獲得。「#12 Z」は5位入賞を果たしている。

レース中盤まで1-2-3態勢を築き、速さを見せた日産/NISMO陣営にとって、優勝を逃したことは悔しい結果となったが、前戦以降に施した改良に手応えを得るレースであったとともに、「#3 Z」がランキング4位に順位を上げる結果を得たことで、次戦に向けて非常にポジティブなレースとなった。

日産/NISMO陣営は、より競争力を高めタイトル奪取を目指して、2週間後の第8戦モビリティリゾートもてぎでの戦いに挑む。

【GT300】

  • #11 GAINER TANAX Z

GT300クラスには4台のNissan GT-R NISMO GT3と、1台のGTA GT300規則のフェアレディZが参戦。予選25番手からスタートした「#11 GAINER TANAX Z」(富田 竜一郎 / 石川 京侍)が大きくポジションアップを果たし、7位に入賞した。