女優の松本若菜が主演するフジテレビ系ドラマ『わたしの宝物』(毎週木曜22:00~ ※TVer・FODで見逃し配信)の第2話が、きょう24日に放送される。
孤独な主婦が夫以外の男性との子どもを夫の子と偽り産み育てる「托卵」をテーマにした衝撃作は、第1話からその夫以外の男性がテロに巻き込まれるという衝撃の展開を迎えたが、第2話も想像をはるかに超えてくる“結論”が用意されている――。
テーマの“幕開け”を一気に見せ切った第1話
前回の第1話では、主人公の美羽(松本若菜)が夫の宏樹(田中圭)から冷たい扱いを受ける孤独な存在で、そんな中、青春時代の美しい思い出のままだった冬月(深澤辰哉)と再会し、彼の子を授かってしまった…という物語が展開された。
ここで最も衝撃だったのは、そのあらすじのセンセーショナルさや、冬月がテロに巻き込まれ亡くなってしまった(?)という展開の激しさはもちろんなのだが、夫以外の子を授かる「托卵」というテーマの“幕開け”を一気に見せ切った点だ。
通常の不倫ドラマであれば、“道ならぬ恋”のその発端から、それを越えてはならないという逡巡、一線を越えてしまった昂揚を、もっと時間をかけて描いていくだろう。それは連続ドラマであればなおさらで、従来なら2~3話分の情報量に相当する。
しかし今作は、妻の夫から受ける冷たい扱いを克明に描いた一方で、一線を越えてしまう情事はまるでおとぎ話のように演出し、不自然なまでに“夫以外の子を宿す”までを一気に見せ切ってしまった。その夫の“克明”は、多くの視聴者に見てもらおうとする第1話にしてはあまりに重く、そして“道ならぬ恋”も主人公の孤独との対比とは言え、あまりに美しい描写で違和感を持たせるものだった。
だがその“不自然さ”や“違和感”こそが第1話には必要で、それらは主人公が「托卵」という手段を選択しなければならなかった、ある意味“運命”にするためのスピード感であろう。そして何より、今作が描きたいものは、不倫の過程ではなく、テーマとして掲げた「托卵」の“その後”をより時間をかけて描きたいという覚悟の表れだったのだ。
怖ろしいエンタテインメント性を発揮
さて今回の第2話は、第1話で“悲劇のヒロイン”のように映った美羽から翻って、“宏樹の事情”が明かされていく。前回の美羽と同様に、宏樹の会社における立場や妻へのやりきれない思いが“克明”に描写されるのだ。
前回の宏樹の描写に拒絶反応を示した視聴者もきっと、同情すべき余地があるかもしれない……と思わせるほどに、実にリアリティたっぷりに宏樹の心情がつまびらかになっていく。そして、そのことで美羽の見え方も決して“悲劇のヒロイン”ではなく、「托卵」の持つ意味、その残酷さがより強調されていくことになる。
このドラマが怖ろしいのは、“宏樹の事情”を克明に描き、多少なりとも夫側の“しょうがない”を匂わせたとしても、その“情”によって物語が進行していかないことだ。美羽の事情と宏樹の事情、その上で別の男性の子どもを宿してしまった…という、その筋書きの先に見えてくる、私たちの想像をはるかに超えてくる“結論”がこの第2話では用意されている。
見たくないけど見たい、いや見守らざるを得ない――そんな感覚にさせ、視聴者も共犯にして巻き込んでいく、怖ろしいエンタテインメント性を発揮しているのだ。
そして、もちろんそこには爆破テロに巻き込まれたという“冬月の事情”も絡んでくるのだが……今回も前回以上の戦慄の展開で見逃せない。