一般社団法人日本リカバリー協会は、一般社団法人日本疲労学会、ベネクスと共同で、2017年から行っている健康及び生活状況に関するインターネット調査「ココロの体力測定」を、2024 年4 月25日から5月30日に実施した。調査対象となったのは、全国の20~79歳の10万人(男女各5万人)。今回は、休養の7タイプの実施状況について、2021年と2024年を比較分析した結果をまとめたという。なお、各都道府県500サンプル以上を確保し、その後人口比率(都道府県、年代、有職割合)でウエイト修正したとのこと
休養学基礎で定義した「休養の7タイプ」の実施状況を見ていくと、生理的休養の「休息タイプ」(77.1%)、「運動タイプ」(23.6%)、「栄養タイプ」(52.2%)、心理的休養の「親交タイプ」(46.3%)、「娯楽タイプ」(65.9%)、「造形・想像タイプ」(12.7%)、「転換タイプ」(49.2%)という結果となった。
最も実践されているのが「休息タイプ」(77.1%)で、次いで「娯楽タイプ」(65.9%)、「栄養タイプ」(52.2%)であった。
2021年の実践状況と比較すると、最も減少したのは「運動タイプ」(0.87倍)、次いで「造形・想像タイプ」(0.89倍)、「休息タイプ」(0.91倍)、増加したのは「娯楽タイプ」(1.17倍)、「親交タイプ」(1.15倍)という結果となった。様々な休養タイプを実践し、休養方法の多角化が見られる結果となったとのこと。
男女別で休養の7タイプの実施状況を比較していくと、男性で最も多いのが「休息タイプ」(73.1%)、次いで「娯楽タイプ」(65.0%)であった。女性も同様で、最も高いのが「休息タイプ」(80.9%)、次いで「娯楽タイプ」(39.4%)となった。男女で比較すると、男性の実施率が高いものは「造形・想像タイプ」(1.05倍)、「運動タイプ」(1.02倍)で、女性の実施率が高いものは「転換タイプ」(1.61倍)、「親交タイプ」(1.27倍)という結果となった。男性は運動や造形など体を動かす傾向がみられ、女性は親交や転換でコミュニケーションや外出などのリフレッシュが多い傾向がみられた。
休養の7タイプの実施状況を年代別に比較していくと、実施率が低いのは休息タイプでは20代66.9%、運動タイプでは20代17.4%、栄養タイプでは20代40.8%、親交タイプでは40台40.1%、娯楽タイプでは30代59.9%、造形・想像タイプでは40代、50代ともに10.2%、転換タイプでは20代36.3%という結果となった。
多くの項目で若い世代、特に20代の実施率の低さが目立つ結果となったという。健康へ対する投資意識は20代が最も高いにもかかわらず、休養行動の実施率は低い結果となっているとのこと。体力もある若い世代は健康投資といっても運動、栄養への意識が高く、休養への関心が薄いことが推察されるそう。
休養の7タイプの実施状況を都道府県別に比較した。「休息タイプ」の実施率1位は「北海道」、「運動タイプ」は「東京都」、「栄養タイプ」は「青森県」、「親交タイプ」は「京都府」、「娯楽タイプ」は「奈良県」、「造形・想像タイプ」は「徳島県」、「展開タイプ」は「北海道」という結果となった。
休養の7タイプの実施状況を職業別に比較していくと、「休息タイプ」で最も高いのは「専業主婦(主夫)」(83.8%)、「パート・アルバイト」(81.0%)、「運動タイプ」は「自由業」(31.1%)、「経営者・役員」(30.2%)、「栄養タイプ」は「経営者・役員」(63.2%)、「自営業」(57.9%)、「親交タイプ」は「経営者・役員」(55.7%)、「専業主婦(主夫)」(53.9%)、「娯楽タイプ」は「自由業」(75.3%)、「経営者・役員」(70.0%)、「造形・想像タイプ」は「自由業」(24.3%)、「自営業」(16.2%)、「転換タイプ」は「専業主婦(主夫)」(69.0%)、「自由業」(53.4)という結果となった。
実施率が高い項目が多いのは「経営者・役員」で「栄養タイプ」、「親交タイプ」で上位、また「自由業」では「娯楽タイプ」、「想像タイプ」で上位となり、様々な方法で積極的な休養ができている傾向にあるという。また、「専業主婦(主夫)」や「パート・アルバイト」では生理的休養である「休息タイプ」が上位となっており、積極的な休養を取り入れるというよりは、ただ身体を休めることにとどまっている状況がうかがえる。いずれにしても時間の融通が利く職業が、休養を取り入れられているという結果となった。
休養の7タイプの実施状況を疲労度合別で比較すると、どの項目においても疲れている人(高頻度)よりも元気な人の方が、実施率が上回る結果となった。特に「栄養タイプ」では2.11倍、「運動タイプ」では1.66倍という結果となった。