LIFEM(ライフェム)は、30歳~69歳の働く男性1,000名を対象に、「男性更年期障害に関する意識調査」を実施した。調査期間は2024年8月30日~2024年9月3日。調査方法はインターネット調査(楽天インサイト)であった。

男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、またはLOH症候)とは、概ね40歳以降に男性ホルモンであるテストステロンが減少することにより、身体、精神、性機能に様々な症状が引き起こされる状態のこと。

はじめに、男性更年期障害について知っているかを聞いたところ、「名前は知っている(その他の情報はよく知らない)」と回答した人が58.0%と最も多く、次いで「名前、症状について知っている」23.4%、「まったく知らない」18.6%となり、半数以上が名前は知っているが詳しい情報はよく知らないということがわかった。

次に、男性更年期障害について「名前は知っている」「名前、症状について知っている」と回答した人に自身の男性更年期障害の自覚について聞くと、最も多い回答が「なんとなくそうかもしれない、可能性があると感じている」(52.7%)、次いで「現在自覚はなく、可能性も感じていない」(38.6%)となり、「現在自覚がある」と答えた人は8.7%のみであった。

一方で、全ての人に対して男性更年期にみられる17の症状※を挙げ、現在感じている症状全てを選択してもらったところ、「1~3個」(37.2%)、「4~6個」(25.2%)、「7~9個」(8.9%)、「10~12個以上」(4.2%)、「13個以上」(1.2%)となり、7割以上の人が一つ以上何かしらの症状を感じていることがうかがえる。

また、その症状を感じる1カ月あたりの日数については、「1カ月のうち数日程度」(35.2%)が最も多く、「1カ月のうちほぼ毎日」(22.4%)、「1カ月のうち1週間程度」(19.8%)と続き、何かしらの症状をほぼ毎日感じている人も2割以上いることがわかった。ひとつでも気になる症状があり続く場合には、まずは医療機関への相談をお勧めするとのこと。

※男性更年期障害をセルフチェックする際に用いられる質問票のひとつであるAMSスコアで挙げられている17の症状(総合的に調子が思わしくない、関節や筋肉の痛み、ひどい発汗、睡眠の悩み、よく眠くなる・しばしば疲れを感じる、いらいらする、神経質になった、不安感、からだの疲労や行動力の減退、筋力の低下、憂うつな気分、「絶頂期は過ぎた」と感じる、力尽きた・どん底にいると感じる、ひげの伸びが遅くなった、性的能力の衰え、早期勃起(朝立ち)の回数の減少、性欲の低下)。なお、今回の調査内でAMSスコアの点数は取っていないため、セルフチェックの診断の結果ではないとのこと。

現在男性更年期障害の自覚がない人も含め、感じている何らかの症状による心身の不調は、日常生活にどの程度影響を及ぼしているかを聞いたところ、「ある程度影響はあるが、普段の生活ができる」と回答した人が50.6%と最も多く、「特に影響はなく、普段通りに過ごすことができる」(38.7%)、「ある程度影響があり、普段の生活が送りづらい」(9.0%)、「影響があり、普段通りの生活ができない」(1.7%)となった。多少影響はあるものの、9割近くは普段通りの生活ができているようだという。

一方、不調がない時に発揮できる仕事のパフォーマンスを100%とした場合の、不調がある時のパフォーマンスを聞いたところ、平均値は63.3%となり、36.7%パフォーマンスが下がるという結果となった。どのような影響があるかについては、「やる気が起きない」(56.4%)、「集中できない」(38.3%)、「眠気に襲われる」(33.2%)が上位に挙がった。さらに、症状による心身の不調が原因で離職・転職・休職・昇進辞退について考えたことはあるかという質問については、「考えて、実施した」という回答は「離職」(7.8%)、「転職」(12.3%)、「休職」(7.3%)、「昇進辞退」(7.6%)、「部署異動」(9.5%)で、「考えたことがある(実施しなかった)」は「離職」(40.8%)、「転職」(43.8%)、「休職」(26.3%)、「昇進辞退」(18.3%)、「部署異動」(25.2%)という結果になった。実際にキャリアへも影響している人や、実施に至らずともキャリアを考える上で障壁となっている人がいることがうかがえる。

続いて、感じている症状についての対処法を聞いたところ、「我慢している(特に何もしない)」が49.9%と最も多く、次いで「セルフマッサージ、ゆっくり入浴など自分でできることをしている」(19.4%)、「医療機関を受診・治療している(受診・治療した)」(19.0%)となった。不調を感じていても受診しない理由を聞いてみると、「医療機関に行くほどの辛さではないので」(34.2%)、「受診しても改善できると思わないので」(28.0%)、「特に理由はない、何となく」(21.8%)が上位に挙がった。2割弱の人は「何科を受診すればいいかわからないので」(16.4%)と回答しており、知識不足により医療機関の受診に至らないことが考えられるという。男性更年期障害を扱っているのは主に泌尿器科であるが、確信が持てない場合には、身体の不調は一般内科、精神の不調は心療内科などにまずは相談し、判断を仰ぐと良いという。また、普段通りに生活ができる場合であっても、毎日症状が続いたり、週に何度も症状を感じたりする場合には、早めに医療機関を受診してほしいとのこと。

現在男性更年期障害の自覚がある、可能性があると感じている人に対して、職場で男性更年期障害について誰かに相談したことがあるかを聞くと、「ある」(15.6%)で「ない」(84.4%)となった。

理由については、「相談したいと思ったことはない」(32.9%)、「誰に相談すればよいかわからない」(30.3%)、「どのように話せばいいかわからない」(24.2%)が上位となり、相談窓口や相談の仕方に悩んでいるようだという。

また、現在男性更年期障害の自覚の有無にかかわらず、勤め先は男性更年期障害に対する理解があると思うかについては、「理解がないと思う」(31.0%)、「あまり理解がないと思う」(46.3%)を合わせて7割以上の人が、理解がないと思っていることがわかった。前問でも仕事のパフォーマンスへの影響やキャリアにも支障をきたしていると回答している人が一定数いるため、企業としても、悩んだ時に気軽に相談できる環境づくりや、男性更年期障害に関する正しい知識啓発など、従業員が安心して長く働くことのできる職場づくりの必要性がうかがえる。