クラシエ薬品は10月17日、「更年期のイメージに関する調査」の結果を発表した。調査は2024年7月8日~7月10日、全国の30~69歳の女性1,236人を対象にインターネットで行われた。
更年期のイメージに世代間ギャップあり
30代~60代の女性1,236名に、更年期や更年期症状に対する印象や気持ちについて尋ねたところ、3つの世代間でイメージに違いがあることが明らかになった。
更年期にあたる世代(45-54歳)では、8割以上の人が「更年期は今の自分に関係があると思う」(84.3%)と回答した。「更年期症状は長期間付き合っていくものである」(75.8%)や「更年期や更年期症状について誰かに相談したい」(45.5%)が上位に入っていることからも、多くの人が更年期を自分ごととして捉え、自身の更年期症状と向き合っている様子が伺える。
更年期前の世代(30-44歳)では、「更年期症状に不安を感じる」(63.5%)や「更年期であることを他人に知られることが恥ずかしい」(29.8%)のスコアが他の世代よりも高い結果となった。一方で、「更年期について十分に理解できていると思う」(8.3%)と回答した人が少ないことから、更年期への理解が不十分であることが、不安感やネガティブな印象に繋がっている可能性も考えられる。
更年期後の世代(55-69歳)では、「更年期症状は長期間付き合っていくものである」(62.7%)が最も多い回答となった。また、「更年期症状への対処を充分に行い、うまく対処できた」(39.1%)や「更年期は対策できるものだから不安に思わない」(35.7%)が他の世代より10%以上も高いことから、更年期を経て、更年期との上手な向き合い方を見つけている傾向がみられた。
本設問では、更年期をこれから迎える世代と更年期を乗り越えた世代では、更年期へのイメージに大きなギャップがあることが明らかになった。若い世代ではネガティブなイメージが多い一方で、世代が上がるにつれて更年期の理解度は高くなり、ネガティブなイメージを持つ人も少なくなる傾向が見られる。この結果からも、不安感やネガティブイメージの払拭には、更年期への正しい理解が重要であることが分かった。
更年期にあたる世代の約7割が更年期について相談したことがあると回答
続いて、更年期に関するお悩みを相談したことがあるかと尋ねたところ、30代~60代の女性のうち41.2%が「相談したことがある」と回答した。
世代別で比較すると、更年期にあたる世代が70.4%と最も多い結果となった。更年期後の世代よりも更年期にあたる世代のほうがスコアが高かったことから、10~20年前と比べて、更年期について周りに相談する人が増えている可能性が考えられる。一方、更年期前の世代では11.1%と他の世代よりも少ない結果となった。これは更年期の悩みをまだ実感している人が少ないことも一因と考えられるが、前問で「更年期や更年期症状について誰かに相談したい」と回答した人が一定数いることから、更年期の悩みを周りに相談したいけれども、相談していない可能性も推測される。
更年期に関する相談相手は「友人・知人」が最も多い結果に
更年期について相談する・相談したい相手について尋ねたところ「友人・知人」(23.7%)が最も多く、次いで「医師(婦人科)」(12.8%)、「配偶者・パートナー」(12.5%)と続くことから、信頼のおける医師だけでなく、友人やパートナーなど、身近な人も相談相手の対象であることが分かる。
周囲に望むことの1位は"更年期への理解"
「更年期」と向き合う上で、周囲に望むこと、または期待することについて30代~60代の女性に尋ねたところ、約半数以上の女性が「"更年期に現れる症状"について理解をしてほしい」と回答した。家事の負担軽減や接し方などの直接的なサポートだけでなく、更年期への理解を求めていることが分かった。一方「日常生活において、普段と変わりなく接してほしい」(28.1%)と回答した人も一定数存在することから、特別なサポートを求めない人もいることが分かった。
なぜ更年期は起こる!? 誰もが経験するホルモン変化
女性ホルモンは、女性の心と体に大きな影響を与える。一般的には、12歳頃に初経を迎えてから50歳頃までの約40年間、女性ホルモンの周期的な働きによって毎月月経が起こる。この月経が起こらなくなることを「閉経」といい、この閉経前後の5年間の合計10年間を「更年期」と呼ぶ。この時期は、女性ホルモンのバランスが不安定となり、身体的、精神的に大きな変化が見られる。
更年期に現れる症状は?
代表的な女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがある。閉経により卵巣の機能が衰えると、それまで正常に分泌されていたエストロゲンが減少する。エストロゲンが急激に減少すると体は順応できなくなり、自律神経のバランスが乱れ、身体的な機能だけでなく、精神的な変調といったさまざまな症状が現れる。このような、更年期に現れるさまざまな症状のなかで、ほかの病気が伴わないものを「更年期症状」という。
更年期の症状は、ほてりやのぼせなどの「血管の拡張と放熱に関係する症状」、気分の落ち込みやイライラ、不眠などの「精神症状」、肩こり、頭痛や腰痛、疲れやすさなどの「そのほかのさまざまな身体症状」の3つに大きく分けられる。これら更年期症状のなかでも、症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」という。更年期症状は個人差が大きく、症状を感じないまま更年期を終える方もいれば、症状が重く辛い更年期を過ごす人もいる。