エノコログサとはどんな雑草?

エノコログサは、イネ科に属する一年生植物で、主に「ねこじゃらし」として知られています。草丈は小型で20~30㎝程度から、最大で60㎝以上に達することもあります。漢字では「狗尾草」と表記され、その名前は花穂が犬のしっぽに似ていることに由来します。5月ごろに発芽し、秋には枯れるというサイクルで成長するため、季節の移ろいを感じさせる草です。庭や道端など、日常の風景の一部として見かけることも多い身近な存在です。

高い繁殖力が特徴

エノコログサは、高い繁殖力を持つことが特徴的です。ふわふわとした花穂には大量の種子がついており、これらが地面に落ちることで自然に繁殖します。このため、手入れを怠ると短期間で急速に増えてしまうこともあります。さらに、根が地中の浅い部分で広がるため、手で引き抜くのが困難です。

花言葉は「遊び」「愛嬌(あいきょう)」

エノコログサの花言葉は「遊び」と「愛嬌」です。
ねこじゃらしと無邪気に遊ぶ子猫の姿が由来とされています。

エノコログサの開花時期

一年草のエノコログサですが、花を咲かせるのは5月~10月ごろです。
花弁のある花ではなく、稲穂のような花穂を咲かせるのが特徴です。

毒性はないが、食べられない

エノコログサはアワの原種であるとされていて、毒性はありません。
一般的には食用とされていませんが、古くは飢饉(ききん)の際などに食べられていたという記録が残っています。それでも、常食するものではなかったようです。

エノコログサにはさまざまな種類がある

雑草としてひとくくりにされてしまうことの多いエノコログサですが、交雑性があり、さまざまな場所で変異種を見ることができます。どのような種類があるのか、簡単に解説します。

アキノエノコログサ

一般的に雑草としてよく見られるのは、このアキノエノコログサです。エノコログサと比べて花期が遅く、お盆過ぎぐらいから花が咲きます。また、成長すると数十センチほどの大きさまで育ちます。

ハマエノコロ

海岸の砂地や岩場に生える、エノコログサが海に適応した種類です。花期は7月~9月で、エノコログサと比べてふさふさした花穂が咲きます。海風に耐えるためか、成長しても大きくならず、地面に近いところで枝分かれして育ちます。

キンエノコロ

エノコログサによく似ていますが、花穂が黄色く、光に当てると金色に輝いて見えます。キンエノコロという名前は、金色に輝く花穂から取られたようです。

ムラサキエノコロ

こちらもエノコログサによく似ていますが、花穂から紫色の毛が生えており、紫色に見えることからムラサキエノコロという名前がつけられました。

エノコログサの駆除方法

ねこじゃらしとして親しみ深いエノコログサですが、農業にとっては厄介な雑草の一つです。ここではエノコログサを駆除するときにおすすめのやり方をいくつか紹介します。

除草剤を使う

最も効果的で手早い方法が、除草剤の散布です。
エノコログサに効果のある薬剤を散布して、根までしっかり枯らして除草しましょう。除草剤には、農地で使えるもの、農地以外で使えるものがありますので、間違えないように注意してください。

防草シートを敷く

長期的にエノコログサの発生を防ぎたい場合は、防草シートを敷くのも良いでしょう。防草シートはホームセンターなどで簡単に入手できるうえ、設置も難しくありません。

事前に草刈りなどでエノコログサを刈り取って、防草シートを敷いてください。また、防草シートの上からガーデニング用の砂利石をまくとより防草効果が高まるほか、景観も良くなります。

草刈りをする

除草剤を使えない場所や、防草シートを敷くのも難しい場合は、草刈りをして対処しましょう。草刈りをする際は、根元の地際部分から刈り取るようにしてください。

駆除するのに適している時期

エノコログサは生命力が高く、根から枯らさないと何度も再生してしまいます。特に夏場はエノコログサをはじめ、各種雑草が一気に成長する時期なので、駆除を考えている場合は夏に入る前に行いましょう。

おすすめの除草剤5選

エノコログサの駆除におすすめの除草剤を五つ紹介します。栽培面積や作物に応じて、最適な剤を選び、厄介な雑草対策にお役立てください。

クサノンEX粒剤

2種類の有効成分が含まれていて、一年生雑草、多年生広葉雑草、多年生イネ科雑草、スギナなどに有効です。粒剤なので容器からそのままばらまいて散布することができます。

グリーンスキットシャワー

この除草剤は、畑のうね間や果樹・庭木の下、花壇など多様な作物周りで使用でき、52種類の作物に使えます。また、シャワー剤なので散布した部分の雑草だけを枯らし、その後に種まきや苗の植え付けが可能です。

草退治メガロングシャワーGT

散布翌日から草を枯らすことのできる薬剤です。また残留性も強く、最長で330日間も除草効果が残ります。エノコログサはもちろん、さまざまな一年生雑草・多年生雑草に効果があり、コケにも使うことができます。

こっぱみじんシャワー

この液体除草剤は、そのまま使えるシャワータイプで、アミノ酸系成分のグリホサートイソプロピルアミン塩が雑草を根まで枯らします。土壌微生物が成分を分解するため、他の植物に影響を与えず、嫌なにおいもほとんどありません。

ネコソギエースV粒剤

この除草剤は、粒状で地面にまくタイプです。1~2週間で雑草が枯れ始め、約30日でほぼ枯らします。成分が土壌にとどまり、新たな雑草の発生を約4~6カ月間予防する効果がありますが、散布時期や量によって効果の持続期間は変わります。

エノコログサについてよくある質問

エノコログサについてよくある質問を、簡単にまとめました。

エノコログサとねこじゃらしの違いは何ですか?

ねこじゃらしはエノコログサの別名であり、同じものです。
記事冒頭でも解説しましたが、花穂のふさふさした部分を猫の前で振ると、猫が喜んで反応することからねこじゃらしという名前がついたようです。

エノコログサは危険ですか?

エノコログサは毒性がなく、トゲなどもないので危険ではありません。
食用には向かないうえ、繁殖力が強くすぐに広がってしまうため、雑草としては厄介者です。

除草剤を使わずに駆除する方法はありますか?

除草剤を使わずに除草する方法としては、地道に刈り取る、手で引き抜くなどの方法があります。なお、インターネットで調べると、コーヒーかすや木酢液を散布するなどという方法が紹介されていることがありますが、しっかりした根拠があるものではないという点は念頭に置いておくべきでしょう。もし住んでいる地域が農村地域や山間部であるなら、ヤギに草を食べてもらうという方法もありますよ。

見た目はかわいいが、農業にとっては厄介者

エノコログサは、身近な場所で見かける一年生の植物で、「ねこじゃらし」としても親しまれています。そのふわふわとした花穂には多くの種子がついており、繁殖力が非常に高いのが特徴です。

手入れを怠ると短期間で増殖し、庭や農地に広がるリスクもあります。また、根が浅く広がるため簡単には抜けません。
ぜひ本記事を参考にして、エノコログサが広がる前に対策をしてくださいね。