大根と特に相性の良い野菜・ハーブなど5選

アブラナ科ダイコン属の多年草である大根(ダイコン)。原産地は地中海沿岸部から中央アジアなど諸説あり、古くは4000年前の古代エジプトで大根の一種が食用に栽培されていたと考えられています。日本にも弥生時代にはすでに伝えられていたとされ、奈良時代の書物である古事記や日本書紀にも登場するなど身近な野菜でした。

大根の種をまく時期は日本の大半の地域で春まきと秋まきの2回で、発芽気温は20~25℃程度が適しているとされています。春は4月上旬から5月上旬ごろ、秋は8月中旬から9月中旬ごろが一般的ですが、30℃以上では発芽しにくくなる場合もあります。

比較的冷涼な気候を好み、寒さには強い傾向があります。ほとんどの品種が湿度に弱いので注意してください。
大根と特に相性の良いコンパニオンプランツには、下記の5種類があります。

レタス

大根はアブラナ科で、キク科の作物との相性が良好です。大根と一緒にキク科のレタスを混植すると良いでしょう。

コンパニオンプランツとしてもたらす効果

大根とレタスを一緒に植えておくことで、お互いに害虫を寄せ付けにくくする効果が期待できます。混植することで、大根などアブラナ科の作物にとって大敵であるモンシロチョウ、レタスにつきやすいコナガを遠ざけてくれるとされています。

栽培のコツ

レタスは日本の大部分の地域で春と秋に栽培するため、大根と同時期に育てやすい作物です。低温のほうが発芽しやすい傾向がありますが、長野県の標高の高い地域や北海道などの寒冷地では夏の栽培が適している場合もあるので注意してください。

ニンジン

大根とニンジンは相性の良い組み合わせです。どちらも根を大きく伸ばす野菜ですが、広がらず下へまっすぐ伸びるため根が干渉しあうことはありません。

コンパニオンプランツとしてもたらす効果

ニンジンの葉の香り成分が、大根につきやすいアブラムシやヨトウムシなどの害虫を遠ざけてくれます。生育が良くなる効果も期待できます。

栽培のコツ

ニンジンは大根と同じように冷涼な気候を好み、日当たりの良い環境が必要です。種から発芽までの期間は乾燥に弱く、乾いてしまうと発芽しなくなるおそれがあります。こまめに水やりをしてください。どちらも葉が大きく茂るため、日陰にならないように株間を広めにとると良いでしょう。

枝豆

マメ科の作物と大根を混植するのもおすすめです。家庭菜園でも人気の枝豆は、春まきの大根と一緒に栽培すると良いでしょう。

コンパニオンプランツとしてもたらす効果

枝豆の根につく共生菌の働きにより、大根の生育を促進する効果が期待できます。また、それぞれの益虫のすみかを作るため、害虫を減らしてくれます。

栽培のコツ

枝豆は生育するにつれて縦に伸び、葉を茂らせます。大根への日当たりや風通しを遮らないように注意してください。距離を取りすぎるとコンパニオンプランツとしての効果も薄れるので、30センチメートルほど離して植えるのがおすすめです。

春菊

レタスと同じキク科の作物である春菊も、大根のコンパニオンプランツにおすすめです。秋まきの大根と春菊を混植し、一緒に収穫して鍋物に使うといった楽しみも味わえそうです。

コンパニオンプランツとしてもたらす効果

春菊はキク科の野菜であるため、アブラナ科の大根と一緒に植えることでお互いの害虫を遠ざけてくれるでしょう。大根につきやすいモンシロチョウ、春菊につきやすいコナガを寄せ付けにくくしてくれます。

栽培のコツ

春菊は冷涼な気候を好み、一般的には秋から冬にかけて栽培される野菜です。秋まきの大根との混植に適しています。乾燥が苦手なため、こまめな水やりが必要です。

マリーゴールド

野菜ではなく花を大根と一緒に育てたい場合は、マリーゴールドがおすすめです。大根の白い花とマリーゴールドの黄・オレンジの花は見た目にも相性が良く、愛らしい畑を作ってくれます。また、マリーゴールドと同じキク科のキンセンカ(カレンデュラ)も同様の効果が期待できます。

コンパニオンプランツとしてもたらす効果

マリーゴールドの根から分泌される成分により、大根の大敵であるセンチュウを減らす効果が期待できます。土の中だけでなく地上部分でも、マリーゴールドの香り成分がモンシロチョウの幼虫であるアオムシなどを寄せ付けにくくしてくれます。

栽培のコツ

マリーゴールドは大根の生育に影響するほどの日陰を作ってしまう可能性も低く、他のコンパニオンプランツより近づけて植えることができます。15~20センチメートルほどの距離での植え付けが可能です。
マリーゴールドには多くの品種があります。アフリカン種はセンチュウ対策に適しており、香りの強い品種は虫よけ効果が高いといった特徴があるので、期待する効果に合わせて選ぶと良いでしょう。

大根と相性の良い組み合わせと効果一覧表

コンパニオン
プランツ
分類 成長促進 病害虫の予防 株元の保護
空間の有効活用
レタス キク科
ニンジン セリ科
枝豆 マメ科
春菊 キク科
マリーゴールド キク科
キンセンカ キク科

混植に適さない野菜

ネギは大根との混植にはあまり向いていない野菜です。ネギは強い香りにより虫よけの効果が期待できる一方で、根から出る成分の影響で大根が曲がったり割れたりしやすくなります。

また、大根は比較的連作障害を起こしにくい野菜ですが、何年も連続して大根を作ったり、同じアブラナ科の野菜を作り続けたりすると連作障害のリスクが上がります。さらに、同じような害虫が集まりやすくなる可能性もあります。アブラナ科の野菜であるキャベツやブロッコリー、カリフラワーを大根と混植するのは避けるほうが無難です。輪作にして育てる場所や種類を変えたり、コンパニオンプランツを一緒に植えたりして土壌が偏らないようにすると良いでしょう。

前作・後作に植えたい野菜・NGな野菜

大根は比較的連作障害を起こしにくく、2~3年は同じ畑で大根の栽培をしても問題ありません。ただし根が発達している作物のため土壌疲労が起きたり、病害虫が増えたりして急激に品質や収穫量が下がる場合がある点に注意してください。
また、大根との混植にはあまり向いていないネギは、後作には適しています。ネギ類は大根の大敵となるセンチュウやアブラムシなどの病害虫を寄せ付けにくくしてくれます。

大根のコンパニオンプランツを選ぶポイント

前項でご紹介したように、大根のコンパニオンプランツに適した野菜や花はたくさんあります。大根とコンパニオンプランツそれぞれの特性を踏まえ、相性の良い植物の中から自分が求める効果が期待できるものを探してみてください。
地域にもよりますが、春まきの場合は4月から7月ごろにかけて、秋まきの場合は9月から12月ごろが大根の栽培、収穫の時期になります。秋まきの場合は春菊など、時期によって育ちやすいコンパニオンプランツを選ぶのもおすすめです。

コンパニオンプランツを利用する際の注意点

家庭菜園でも取り入れることができ、さまざまなメリットのあるコンパニオンプランツですが、実践する際に注意すべき事項があります。前もって知っておきたい主な注意点として、下記の三つがあります。

注意点①農薬について

コンパニオンプランツを上手に活用できれば、病害虫の予防や生育を促進して農薬の使用を減らすことも可能です。
ただし、一般的にコンパニオンプランツは農薬に比べると効果が出るまでに時間がかかる、あるいは効き目が穏やかである傾向があります。コンパニオンプランツと農薬の特徴や利点を知り、組み合わせて使用すると良いでしょう。

一方で、コンパニオンプランツとして二つ以上の作物を混植する際は、農薬の使用において注意が必要です。農薬にはそれぞれ使用できる作物や使用方法などが定められており、対象外の作物には使うことができません。どちらにも使用可能な農薬を使う、あるいは対象外の作物には農薬が及ばないように使うなど、規定を確認して適切な利用を行なってください。

注意点②コンパニオンプランツの植え方について

コンパニオンプランツは、二つ以上の作物を一緒に植える「混植」が基本です。コンパニオンプランツがもたらす効果を高めるためにはできるだけ近くに植えたくなりますが、大根の栽培において適切な株間は25~30センチメートルほどとされています。また、大根は冷涼な気候を好む野菜ですが、日当たりは必要です。

大根とコンパニオンプランツの距離を近づけすぎると日光や風通しを遮ってしまう可能性があるので注意してください。栽培途中に不要な葉が出た場合はこまめに取り除き、日照と風通しを確保しましょう。

注意点③コンパニオンプランツの効果について

コンパニオンプランツはさまざまな効果が期待できますが、一般的に化学肥料や農薬に比べて効き目が穏やかである点や、効果を感じられるまでに時間がかかる点に注意が必要です。即効性が必要な場合は農薬を使うなど、農薬との使い分けも考えてみましょう。
また、適切な距離を取って植え付けたにもかかわらず期待した効果が感じられない場合は、環境に問題がある可能性もあります。日当たりや風通しを妨げていないか、水やりが十分かなどを確認してみてください。

大根の栽培にコンパニオンプランツを取り入れよう

大根の成育を促進したり病害虫を予防したりする効果が期待でき、空間の有効活用や農薬の使用を減らすことにもつながるコンパニオンプランツをご紹介しました。お互いにとってのメリットを得ながら、一度に2種類以上の作物を育てて収穫できるのもコンパニオンプランツの魅力です。家庭菜園でも人気の大根栽培に、楽しみながらメリットを享受できるコンパニオンプランツをぜひ取り入れてみてください。