2024年10月から、私たちの暮らしに関係するさまざまな制度が変わっています。「えっ! そうだったの?」とならないように、ここで確認しておきましょう。

  • 2024年10月から変わったお金の制度をおさらい

    2024年10月から変わったお金の制度をおさらい

郵便料金の値上げ

日本郵便は2024年10月1日から郵便料金を値上げしました。通常はがきは63円から85円に、定形郵便物(25g以下)は84円から110円になりました。

<主な郵便料金の改定>

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    主な郵便料金の改定 出所: 日本郵便「2024年10月1日(火)から郵便料金が変わりました。」をもとに筆者作成

郵便受けに配達するレターパックライトが370円から430円に、対面で受け取るレターパックプラスが520円から600円に値上がりしました。利用する機会が多い郵便料金はここでチェックしておきましょう。

最低賃金の引き上げ

都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定され、すべての都道府県において、時間額が50円から84円の引き上げとなります(全国加重平均1,055円)。

<地域別最低賃金全国一覧>

北海道 1,010円
青森県 953円
岩手県 893円
宮城県 973円
秋田県 951円
山形県 900円
福島県 955円
東京都 1,163円
茨城県 1,005円
栃木県 1,004円
群馬県 985円
埼玉県 1,078円
千葉県 1,076円
神奈川県 1,162円
新潟県 985円
富山県 998円
石川県 984円
福井県 984円
山梨県 988円
長野県 998円
岐阜県 1,001円
静岡県 1,034円
愛知県 1,077円
京都府 1,058円
大阪府 1,114円
三重県 1,023円
滋賀県 1,017円
兵庫県 1,052円
奈良県 986円
和歌山県 980円
鳥取県 957円
島根県 962円
岡山県 982円
広島県 1,020円
山口県 979円
徳島県 896円
香川県 970円
愛媛県 956円
高知県 952円
福岡県 992円
佐賀県 900円
長崎県 953円
大分県 954円
熊本県 952円
宮崎県 952円
鹿児島県 953円
沖縄県 952円

※2024年10月1日以降、都道府県ごとに順次改定されます。

最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額です。雇用形態に関係なく、すべての労働者に適用されます。使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。

社会保険の適用範囲拡大

パートやアルバイトなどの短時間労働者への社会保険(厚生年金・健康保険)の適用範囲がこれまでの従業員数100人超の企業規模から50人超へと引き下げられます。これによって、新たに社会保険に加入する短時間労働者が増えることになります。

<2024年10月からの社会保険の適用要件>

  • 従業員数が常時50人超の事業所に勤務
  • 週所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

社会保険に加入すると保険料の負担が発生しますが、将来受け取る年金が増える、傷病手当金・出産手当金が受け取れるなどのメリットがあります。

児童手当の拡充

2024年10月から児童手当が拡充します。所得制限撤廃、高校卒業まで支給が延長、第3子以降は月3万円になるなど、子育て世帯にとっては大きな恩恵です。10月からの新しい児童手当は12月の支給から適用となります。

<2024年10月からの児童手当>

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    2024年10月からの児童手当 出所: こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」をもとに筆者作成

なお、第3子の数え方は、これまで高校卒業までの子どもの数を数えましたが、改正後は22歳の年度末までの子どもの数となります。親が経済的な負担をしていれば、進学か否か、同居か別居かは問いません。

また、支給の回数はこれまで4か月分ずつ年3回でしたが、2か月分ずつ年6回に変更となり、偶数月が支給月となります。

特許切れの医薬品の自己負担増

2024年10月から、後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある一部の薬の処方で、先発医薬品の処方を希望する場合は、「特別の料金」を支払うことになります。「特別の料金」とは、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金のことを言います。

たとえば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円を、通常の1~3割の自己負担とは別に「特別の料金」として支払います。

対象となる医薬品は、後発品(ジェネリック医薬品)が発売されてから数年経過していたり、後発品への置き換えが進んでいたりする医薬品となり、保湿用塗り薬「ヒルドイド」、解熱鎮痛剤の「カロナール坐剤」、インフルエンザ治療薬「タミフル」などが該当します。

なお、医師が必要と判断した場合や、医療機関や薬局に後発医薬品の在庫がない場合には、「特別の料金」を支払う必要はありません。

新型コロナワクチンの定期接種

2024年10月から、65歳以上の高齢者と60~64歳で一定の基礎疾患がある人の新型コロナワクチンの定期接種が始まりました。新型コロナワクチンの全額公費による接種は、2024年3月31日で終了しており、各自治体において設定した自己負担額がかかります(低所得者を除く)。

初年度は国が自治体に助成金を支給し、自己負担額は最大7,000円程度になるように設定されます。自治体によっては上乗せで補助が出るなど、地域によって差が出る見通しです。定期接種の対象にならない人は、「任意接種」となり、原則、全額自己負担となります。

教育訓練給付の拡充

教育訓練やリ・スキリング支援の充実として、雇用保険から支給される教育訓練給付金の給付率を10月以降の受講開始から受講費用の最大 70%から80%に引き上げられます。

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    教育訓練給付の拡充 出所: 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律」の改正内容

専門実践教育訓練給付金について、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合、現行の追加給付に加えて、更に受講費用の10%を追加で支給します。(最大80%)

特定一般教育訓練給付金について、資格を取得して就職した場合、受講費用の10%を追加で支給します。(最大50%)

<対象資格・講座の例>

*専門実践教育訓練給付金
医療・社会福祉・保健衛生関係の専門資格(看護師、介護福祉士等)
デジタル関連技術の習得講座(データサイエンティスト養成コース等)
専門職大学院
など

*特定一般教育訓練給付金
運転免許関係(大型自動車第一種免許等)
医療・社会福祉・保健衛生関係の講座(介護職員初任者研修等)
など

教育訓練給付制度は、雇用保険被保険者として在職中の人、あるいは離職後1年以内の雇用保険被保険者だった人などが利用できます。

まとめ

2024年10月から変更となった制度の中で、私たちの暮らしに直接かかわってくる制度をピックアップしてご紹介しました。郵便料金の値上げや最低賃金の引き上げ、給付金の拡大など、物価の水準が上昇していることを受けての制度変更となっていることを感じるでしょう。制度や仕組みが変わることは働き方や家計にも影響します。「いつの間に?」とならないようにアップデートしておきましょう。