宣伝会議は、日本最大規模の公募広告賞である第62 回「宣伝会議賞」の中高生部門の募集促進の一環として、10月9日に東京都立王子総合高等学校で出張授業を実施した。
当日は課題協賛企業の一社である第一三共ヘルスケアが参加し、高校生に向けて同社の取り組みや同社のセルフケア啓発キャラクターのねこいちさんについて紹介。生徒たちは「中高生がセルフケアを始めなきゃと思う、ねこいちさんのセリフアイデア」を考える課題に取り組んだ。
■日本最大の公募広告賞「宣伝会議賞」、2016年に中高生部門も創設
「宣伝会議賞」は、月刊「宣伝会議」が主催する日本最大の広告コピーのコンテスト。プロ・アマチュアを問わず、広告表現のアイデアをキャッチフレーズや、絵コンテ・字コンテのかたちで応募してもらう公募広告賞だ。
1962年に広告・マーケティングの雑誌「宣伝会議」の通巻100号の発刊を記念して始まり、今年で62回目の開催を迎える。昨年は62万2857点(一般部門58 万6915点/中高生部門3万5942点)のキャッチフレーズ・字コンテ・絵コンテが集まった。
「宣伝会議賞」の中高生部門は誰もが「発信者」になれる時代に、中学生・高校生が広告コピーとの関わり合いを通じて、コトバの魅力やパワーを実感し、活用してもらいたいといった想いから立ち上げられている。
2016年の第54回開催で新設された本部門だが、今年度は「第一三共ヘルスケア」をはじめ、「川田工業」「小学館」など15社の協賛企業からの課題が、月刊「宣伝会議」2024年10 月号・11月号の誌面上で発表された。
その募集促進の一環で実施される出張授業では、プロのコピーライターが広告コピーの書き方や広告のつくり方について講義。生徒たちが実際に授業の中でコピーライティングに挑戦する。
この日の出張授業に参加したのは、王子総合高等学校で選択科目としてマーケティングを学んでいる3年生たち。出張授業は2コマにわたって行われ、1-2時間目と3-4時間目の2クラスに分かれ、合わせて約50名に行われた。
国際・ビジネス科目としてマーケティングやプロモーションを学ぶカリキュラム用意する同校。宣伝会議の出張授業は今年で3回目となり、今年は課題協賛企業の一社である第一三共ヘルスケアの課題に取り組んだ。
■「恥ずかしがったり照れたりするのは禁止」
講師役は電通のコピーライターで中高生部門の審査委員長を務める阿部広太郎氏。コピーライターの仕事について、過去の案件を交えながら紹介し、コピーライティングで大切なマインドを生徒たちに伝えた。
「コピーライティングはやり方を掴めば誰でもできることです。ただ、やはりコツを学んでも最初から上手くはいきません。この後、実際に広告コピーを書いてもらうときのひとつ約束としては、恥ずかしがったり照れたりするのは禁止です。自分の思いを書くって照れが生じるものなんですが、今日はその壁を乗り越えてほしいと思います」
授業の中では「そもそも」という視点を持ち、本質を考えることの大切さを伝えていたほか、言葉自体が持つ力や魅力、重要性についても解説した。 「ものは言いようって、皆さんも聞いたことあると思います。言葉を使って物事に対する光の当て方・ライティングを変えることで、人々の認識や物事の捉え方が変わる。それが日本語という言葉を扱うコピーライティングのおもしろいところだと思います」
阿部氏の講義の後、第一三共ヘルスケアの広報担当者からは生徒たちが今回取り組む課題について説明された。
第一三共グループで一般用医薬品や化粧品などのヘルスケア事業を展開する同社は、「ねこいちさん」のYouTubeチャンネルを運営。日常生活で起こりがちな症状の原因や対処法を発信するなど、セルフケアの啓発に注力している。
「若いうちから正しいセルフケアの知識を身につけることは、将来の健康を守ることにもなります。今回の課題は高校生の皆さんが、ねこいちさんに言われる目線で考えていただくことがひとつのポイントです。また、ねこいちさんは語尾に『にゃ』がつくことが多いので語尾を『にゃ』にしていただければ。必須ではありませんが、ぜひご検討いただけると嬉しいです」と、ねこいちさんのセリフアイデアについてコメントした。
■良い広告コピーを書くコツ
生徒たちは15分間ほどで思い思いに広告コピーを考えた後、10分間の休憩を挟み、授業の最後には作品のフィードバックや講評も行われた。
阿部氏は「『そもそもセルフケアって何だろう?』と考えるところが、今回皆さんお一人お一人の考え方のオリジナリティが出るところで、そこに自分なりの解釈や考えが入っていることが大事な課題でした」と述べ、「宣伝会議賞」へのエントリーに向けて最後にアドバイスを送った。
「コピーライティングにはテストみたいに点数のある世界ではなく、絶対的な正解はありません。あくまでも一人一人の解釈があるだけです。周りの意見を聞く中で磨かれていく部分もあると思いますし、時間を変えて見直したり、書くだけではなく自分で声に出してみたりすることも大事だと思います」
今回の授業を受けた生徒は、「“ものは言いよう”という言葉が確かにその通りだなと思って納得感がありました」とコメント。
また、選択科目としてマーケティングを学んでいる理由について訊くと、「消費者の気持ちを考えるということで、日常生活の中に企業のいろんな戦略があることを知り、良い意味でも悪い意味でも自分がまんまとハマっているなと思ったことがあって。身近に思える分野なので受けるしかないと思いました」とも語っていた。
「宣伝会議賞」の応募期間は11月5日まで。一般部門グランプリの副賞は賞金100万円で、2025年3月に最終結果の発表を予定している。中高生部門の受賞者にも商品券などが贈呈されるようだ。