「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査(9月)」の結果が発表されました。2025年卒学生の9月末時点での内々定率は89.8%で、平均内々定保有者数は2.7社となっています。

この調査では、就活状況とは別に、キャリア観や将来に対する思いなど、いくつかユニークな質問を投げかけています。ポイントを絞ってご紹介します。

即戦力より3年目で活躍したい学生が最多

新卒採用を実施する企業の人材ニーズはさまざまです。特定の専門性を持った学生を求めるケースや即戦力を求める企業があれば、数年後の活躍を見越してじっくり育てようとする企業もあります。では、学生側はどのように入社後のキャリアを考えているのか?

今回の調査では、「入社後何年目で活躍したいか」を聞いています。

最多となったのは、「3年目」で46.1%。次が「2年目」で20.6%となりました。

2024年卒と2025年卒で比較してみても、全体的な傾向に大きな違いはありませんが、「1年目(即戦力として活躍したい)」という回答が、11.1%から9.9%に減少し、「3年目」が43.2%から46.1%に増加しています。

  • マイナビ2025年卒大学生活動実態調査(9月)より

理由としては、「仕事を覚えてなれるまでにそれくらいはかかると思うから」(71.1%)が最多で、次に「教育や研修にある程度時間をかけてもらいたいから」(31.7%)が入っています。

学生側としては、即戦力として期待されるのではなく、もう少し長いスパンで自分のキャリアを考えたいようです。

  • マイナビ2025年卒大学生活動実態調査(9月)より

老後の生活費を不安視する学生は約4割

すでに就活を終えた学生は、来春には新社会人としてスタートを切ることになりますが、将来の予測が困難なVUCAの時代を反映してか、将来に対してさまざまな不安を抱えているようです。

「将来の不安について漠然と感じていることや考えていること」を聞いてみると、「老後の貯蓄(生活費)が足りない」(39.4%)がトップ、「日本の景気が悪くなる」(35.9%)、「年金がもらえないかもしれない」(30.8%)と続きました。

「将来の不安はまったくない(これを選んだら他は選ばない)」と回答した学生が7.6%しかいないことを考えると、社会に出ることを楽観的に考えるのではなく、厳しい現実を直視して職業人生を歩もうとする学生が多いのかもしれません。

  • マイナビ2025年卒大学生活動実態調査(9月)より

約3割が就活の挫折・失敗が人生最大のショックだと回答

今回の調査では、就活で経験した挫折や失敗がどれくらい精神的なダメージを与えたかについても確認しています。「就職活動で経験した挫折・失敗は、人生における挫折・失敗と比べて、どの程度のショックだったか」との問いに、「人生の中で最もショックな挫折・失敗だったと思う」が6.1%、「人生の中でも上位に入るショックな挫折・失敗だったと思う」が22.6%という結果となりました。

調査結果から自由回答のコメントをいくつかピックアップすると、「第1志望に落ちて、自信はあったがダメだったため何をやってもうまくできないと感じた」とか、「人格を否定された気がした。今までそのような経験がなかったため挫折した」など、ショックの大きさがうかがい知れるコメントがありました。

一方で、就活での挫折や失敗の乗り越え方として、「積極的にフィードバックを活用することを心がけました。まず、大学のキャリアセンターや模擬面接を通じて、他者から客観的な評価を受ける機会を増やしました」、「仲間や社員の方からアドバイスを乞うた」など、自分ひとりで解決しようとせずに、周りの人のサポートを受けて乗り越えたというコメントがありました。

  • マイナビ2025年卒大学生活動実態調査(9月)より

人手不足、採用難を背景に、就職環境は学生優位の売り手市場と言われますが、納得のいく就活を実現する道のりは平坦ではありません。

就活を孤独な戦いにせず、周りの人の力もうまく活用することが、就活の精神的な負担を軽減する手助けになりそうです。