ホスピタリティとは、相手への「思いやり・やさしさ・歓待」のこと。と言っても、具体的にどのような仕事でそれが重視され、現場でどんな行動が求められているのかわからない人も多いかもしれませんね。
そこで今回は、マイナビニュース読者がイメージする「ホスピタリティが求められる仕事」について調査。さらに、挙げられた業種のうち、代表的な企業3社に「企業が考えるホスピタリティの定義」について尋ねました。
ホスピタリティを活かせる仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
ホスピタリティが生かせる仕事は「医療・介護」「ホテル業界」が上位に
マイナビニュース読者に、「ホスピタリティが生かせる仕事」と聞いてイメージする仕事は何か尋ねたところ、圧倒的に多かったのは、「医療・介護業界」「ホテル業界」でした。飲食業界や航空業界、タクシー業界と回答した人も目立ちます。
ホスピタリティとは、心からのおもてなしや深い思いやり、親切にもてなすこと、歓待、厚遇などを意味する言葉。それだけに、おもてなし精神が大切とされる接客業をイメージする人が多かったようです。
次は読者がこれまで経験した中で、特に印象に残っているホスピタリティ精神感じるエピソードを、業界別に紹介します。
ホテル業界
- 「台湾のホテルに宿泊した時、まだ新人っぽい男性スタッフさんが、日本語は分からなそうなのに、手荷物たくさんの私に気付いて紙袋を差し出してくれた」(55歳/女性)
- 「ホテルに泊まった際、まだ小さかった子供が高熱を出して、けいれんもして、ダダごとじゃなく、スタッフの方がすぐに救急車を呼んでくださり、迅速な処置のおかげで大事に至らずとても助かった」(53歳/男性)
- 「山岳地域のトレッキングに旅行した時、天候急変でホテルに帰ってきたとき、びしょびしょのときタオルを貸してくれ、靴もスリッパに履き替えて部屋まで案内してくれた。トレッキングはできなかったがホテルの親切さが思い出として残った」(64歳/男性)
航空業界
- 「飛行機の席を探しているときに機内に持ち込みの食べ物を下げた袋を見て、席におしぼりを持ってきてくれた。その心遣いに感動した」(57歳/女性)
- 「学生の時に受験のため、初めて一人で飛行機に乗り不安なところ、客室乗務員の方と話をしていた後、 帰り際に折り紙で作った人形と「初めてのごとうじょうありがとうございました、受験頑張って!」とのお手紙をいただき、 不安も和らいだ」(39歳/女性)
医療業界
- 「親の介護の時、訪問看護の看護師さんに小さなことでも相談にのってもらったことが感謝しています。水分補給で相談していて、いろんな種類の栄養ドリンクを沢山持ってきてもらったり、小さなことでも気遣ってもらったのには頭が下がります」(59歳/男性)
タクシー業界
- 「個人タクシーの運転手さんが 半日いなくなった猫を一緒に探してくれた。見つかって病院にまで行ってくれた」(51歳/男性)
- 「タクシーに乗った際に、車内温度を気にしてくれた」(44歳/男性)
- 「旅行先のホテルから乗ったタクシーで、いつもなら乗った途端に酔うと伝えると、丁寧に運転しながら優しく話しかけて貰って笑ってたら全く酔わなかった」(60歳/女性)
心配なことや不安な気持ちを察して、少しでも心地よく過ごせるよう気配りしてくれたことに感激したという声が多く集まりました。ゲストや利用者の心を打ったのは、対応したスタッフ個人の優しさや行動もありますが、企業のホスピタリティ教育も影響しているのかもしれません。
続いては、ホスピタリティ精神が必要とされる業界の中で代表的な3社に、「仕事におけるホスピタリティ」について聞きました。
航空業界・ホテル業界・タクシー業界における「ホスピタリティ」とは
航空業界 日本航空(JAL)
当社では、一瞬一瞬を大切に、お客さまを想う気持ちを持って全スタッフが「最高のバトンタッチ」を意識し、社員全員が業務にあたるよう努めています。当社におけるホスピタリティの定義は、「お客さまを想う気持ち」。現場では、飛行機1便を飛ばすために、直接お客さまに関わるスタッフ、お客さまとは直接接することはなくともフライトを支えるスタッフなど、さまざまな仕事・人が関わり支えあっています。
仕事において重要となるポイントや注意点はそれぞれ違いますが、社員全員の軸になっているのは「お客さまの笑顔」。同時に、「安全」という点も同じレベルで重要な軸となっています。
ホテル業界 グランビスタホテル&リゾート
当社では、地域社会や地球市民、動物や自然とのつながりを含めた「幸せ」と、今の心地よさだけでなく、次世代や未来をより良くすることをも考えた「おもてなし」を提供することを目指しています。
当社のブランドステートメントは、「地域の価値で、未来を変えていく。」。それを体現するため、「その地域ならではの魅力をお客様に届けること」「お客様からの期待を超えて感動していただけるような、一人ひとりに寄り添った唯一の付加価値を提供すること」「お客様の目線に立って行動すること」を、キャスト一同、日々心がけています。
ホスピタリティの解釈は相手のことを考えて行動すると広くとらえ、お客様はもちろん、キャストや協力企業など、関わる人やすべてが対象。立場や関係性で解釈が変わらないものと考えています。
タクシー業界 大和自動車交通
仕事におけるホスピタリティですが、当社では「安心・安全」が最大のサービスだと思っております。運転や接客の仕方など、お客様の望んでいることをいち早く察知し、それを実現することで信用・信頼を得る事が大事です。
ハイヤー乗務員にとって、ホスピタリティの根幹には「安全・迅速」があるべきだと考えています。「安全」であることを優先し、なおかつ「迅速」に目的地に到着すること、これがハイヤー乗務員にとって欠かすことのできない「おもてなし」であると認識しています。その上で「目配り・気配り・心配り・おもいやり」という観点を持ち、お客様に最適なサービスを提供することを心がけています。
お客様を目的地まで乗せる「航空業界」「タクシー業界」は、安全・安心が第一。その上でお客様に適したサービスを提供できるように心を砕いているようです。ホテル業界も、お客様が快適に滞在できることが大前提。さらにお客様の期待値を超える体験ができるよう、きめ細かな気遣いや配慮を行っています。
お客様だけでなく、そこで働くスタッフや地域の人々にも、思いやりをもって接しているのもポイントと言えるでしょう。その思いやりの輪が結果的に、お客様へのホスピタリティ向上へとつながっていくのかもしれません。
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■調査概要
調査時期:2024年7月23日
調査対象:マイナビニュース会員 30代~70代男女
調査数:309人
調査方法:インターネットログイン式アンケート
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