英語を学ぶための新たなパートナーに「生成AI」が登場。今や、手軽に使えるこのツールを通じて、自己紹介文の作成や添削、ロールプレイなど多彩な学習がかなうのです。
AIの活用術について先日、AI機能が搭載されているオンライン英会話サービス「DMM英会話」の担当者に話を聞いてきました。今回はその話をもとにDMM英会話のAI機能を使って、具体的にどんなことができるのかを試してみます。
✅活用術のポイントを知りたい方は『AI時代のイマ知っておきたい、英会話上達に効く「AI活用術」とは?』を読む
今回、DMM英会話が独自に開発したチャット形式のAI機能を使ってトライしたのは次の3つです。
・自己紹介文の作成&添削
・ロールプレイ(道端で外国人に道を聞かれたら)
・あこがれのNBAプレーヤーに出会ったときのフレーズ提案
ここでは、AIが提案してくれた内容が実際に伝わるのかをDMM英会話の講師に確認。その結果もあわせてご確認ください。
1. 自己紹介文の添削・作成
つたない文章を添削してもらおう!
はじめに、不真面目な学生時代を送ってきた筆者が、必死に知識を絞り出して作った英文をAIに添削してもらうところからやっていきましょう。
▼自力の自己紹介文
I'm YUKA. My job is editor of Mynavi news. I live in Tokyo, Japan. In my free time, I play basketball and golf, watch NBA.I'm study English in order to write article in English.私はYUKAです。私の仕事はマイナビニュースの編集者です。日本の東京に住んでいます。趣味はバスケットボールとゴルフ、NBA観戦です。記事を書くために英語を勉強しています
▼AI添削後の自己紹介文
I'm Yuka, an editor at Mynavi News. I live in Tokyo, Japan. In my free time, I enjoy playing basketball and golf, as well as watching the NBA. I'm studying English in order to write articles in English.【修正ポイント】
「My job is editor of Mynavi news」を「an editor at Mynavi News」に変えて、定冠詞を付け加えたり、「I'm study English in order to write article in English.」を「I'm studying English in order to write articles in English.」に修正しました。
修正ポイントについても尋ねると答えてくれるので、自分の苦手ポイントの発見にもなるでしょう。
この内容を英語講師に確認すると「the NBA」よりも「NBA games」を使用した方が自然かもしれないとのこと。ただ、基本的には伝わる内容になっているといい、これは思ったより活用しやすそうです。
自分にあった自己紹介文を作成してくれる?
続いては、自己紹介文の作成に挑戦! その際、プロンプト(ユーザーが入力する指示や質問のこと)作りがカギとなります。自分にあった文章を作成してもらうためにも、あいまいな表現は避け、目的やシチュエーションを明確にして指示するようにしましょう。
【今回作ったプロンプト】
目的: 英語の自己紹介文を作成したい
使用シーン:ビジネスシーンとカジュアルシーンの2パターン作ってほしい
基本情報:
・名前:YUKA
・年齢:32歳
・職業(学校名):Mynavi Newsの編集記者
・趣味:NBA観戦、ゴルフ、旅行
・出身地:東京都
特別な要望(例:好きな食べ物や旅行先など):「英語学習に関する記事を作成していること」を伝えたい【AIが作成した自己紹介】
1. ビジネスバージョン
Hello, I'm YUKA, a 32-year-old editor at Mynavi News. I specialize in creating content related to English language learning. I'm from Tokyo. In my free time, I enjoy watching NBA games, playing golf, and traveling to new places. I'm looking forward to working with you to create engaging and informative content.マイナビニュース編集部のYUKAです。年齢は32歳です。英語学習に関するコンテンツを専門に作っています。出身は東京です。趣味はNBA観戦、ゴルフ、旅行です。みなさんと一緒に魅力的で有益なコンテンツを作れることを楽しみにしています。
2. カジュアルバージョン
Hey there, I'm YUKA, an editor at Mynavi News. I love writing articles about English language learning. Originally from Tokyo. When I'm not working, you can find me watching NBA games, playing golf, or planning my next travel adventure. Nice to meet you!マイナビニュース編集部のYUKAです。英語学習に関する記事を書くのが大好きです。東京出身です。仕事以外の時間は、NBAの試合を観戦したり、ゴルフをしたり、次の旅行の計画を立てたりしています。よろしくお願いします。
カジュアルバージョンの"I love writing articles about English language learning."(英語学習の記事を書くのが"大好き)という表現に若干の違和感を覚えたものの、それ以外は伝えたいことを的確にまとめてくれたように思います。
自力で自己紹介文を作成したときは、調べる時間も含め約15分の時間を要しましたが、AIであればプロンプト作成も含めてわずか3分。圧倒的な時間短縮につながります。
イチから自分で文章を作ることも大切ですが、実践につなげるという観点では、まずはAIに作ってもらい自分で修正していく方が効率的といえるでしょう。個人的に、最初の型を構築してもらうことで、文章や伝えたいことがより洗練されていくように感じました。
ちなみに、英語講師からは次のようなアドバイスをもらいました。
・海外では、自己紹介で年齢を伝えることはあまりないので特別な理由がなければ削除してもよい
・"Originally from Tokyo.(出身は東京です)"のOriginallyという単語は、現在もその場所に住み続けている場合はあまり使用しない
AIは必ずしも文化的背景やその人の状況をくみ取ってくれるわけではありません。そのため、プロンプトで明確に指示を出さないと、自分が意図しているものとズレてしまうことも。この点はきちんと頭にいれて活用する必要がありますね。
2. ロールプレイに活用
最近、都内の主要駅を歩いていると、訪日外国人に道を聞かれることが増えてきました。ですが、毎回焦ってうまく伝えられず、後悔ばかり……。ということで、スムーズに道案内ができるようAIと練習をしていこうと思います!
【プロンプト】
要望:英語でロールプレイがしたいです
シチュエーション:道に迷っている外国人を私が案内をします
役割:あなたは駅を探している外国人の役を担当してください【ロールプレイ】
AI: Excuse me, I'm a bit lost. Can you please tell me where the nearest train station is?
すみません、道に迷ってしまって。最寄りの駅はどこか教えていただけますか?私: Which train line would you like to take?
何線に乗りたいのですか?AI: I would like to take the Yamanote Line.
山手線です。私: I got it. Go straight this street, take the first right turn and the station will be next to the Starbucks.
わかりました。この道をまっすぐ進み、最初の角を右に曲がってください。そうすると、スターバックスコーヒーの横に駅が見えますよ。AI: Thank you so much for your help! I really appreciate it.
助けてくれてありがとうございます。本当に感謝しています。私: You're welcome. Have a nice trip!
どういたしまして! よい旅を。
ロールプレイのあとは、違和感のある表現がないかなどフィードバックをもらうのがおすすめ。そのほか、「もし道に迷っていそうな外国人がいた場合、どのように声をかけてあげるとよいですか?」と質問すれば、それにふさわしい回答を提案してくれます。
・Excuse me, are you looking for something?
失礼ですが、何かお探しですか?
・Can I help you find a place?
どこか探していますか?
講師に確認すると、このロールプレイに関してはいずれも違和感のない表現とのこと。違うシチュエーションを設定すれば、新たな表現や語彙(ごい)獲得にもつながるでしょう。
筆者の場合ロールプレイを繰り返すことで徐々に不安が消え、"実際に学んだ英語を使ってみたい!"との想いがむくむくと芽生えてきました。AIは、ツールでありながら私たちの背中を後押しするサポーターでもあるようです。
3. フレーズ集の提案
最後は、NBAが大好きな筆者にあわせて「街中であこがれのNBAプレーヤーに会ったときに使えるフレーズ10選」を提案してほしいとAIに依頼。すると次のような回答が……!
I'm a big fan of your playing style!
あなたのプレースタイルの大ファンです!I admire your dedication to the game.
あなたのゲームへの献身を賞賛します。It's an honor to meet you in person.
直接お会いできて光栄です。Your skills on the court are truly inspiring.
コート上でのあなたのスキルは本当に感動的です。Can I take a photo with you, please?
緒に写真を撮ってもいいですか?Your performance in the last game was incredible!
最後の試合でのあなたのパフォーマンスはすばらしかったDo you have any tips for aspiring basketball players?
バスケット選手を目指す人に何かヒントはありますか?I've been following your career for years.
あなたのキャリアを何年も追っています。Thank you for being such a great role model.
すばらしいお手本でいてくれてありがとう。I'll be cheering for you in the next game!
次の試合も応援しています!
これまでと同様、英語講師に確認したところ、以下のような指摘がありました。
・1番は"I'm a big fan of you."だけでも伝わる
・2番・4番の表現は文語的。会話で使うならもう少し口語的な表現の方がベター
・7番は"tips"よりも"advices"を使用した方がわかりやすい
実際「これはAIが作ったものですか?」と尋ねられたので、英語だろうが日本語だろうが、人間とAIの差は一定数あるよう。現状は、人が介在することでしか埋められないギャップが存在することを、あらかじめ認識しておく必要がありそうです。
ただ、ほんの数秒で10個ものフレーズが出てくることにはびっくり! 今回のようなちょっと特殊なシチュエーションをはじめ、専門分野で使われるフレーズなど一般的に学びづらい領域が、AI活用によって学習できることは確かです。パーソナライズできる特長を生かしながら、自分を表現していく楽しみを得ていくのも活用法のひとつでしょう。
まとめ:AIが挑戦心をかき立てる
AIを活用することで、文法や表現に悩む時間が大幅に短縮され、より実践的なスキルに時間を使えるように! また、ロールプレイを繰り返すことで、「伝わるかな?」といった不安が軽減されるだけでなく、"実際に人と話してみたい!"という筆者の挑戦心をかき立ててくれたのは、思いがけない収穫でした。
AIを使って学んだことを、英語講師など生身の人間に使ってみることで、"リアルな英会話能力"が手に入れられるはず。AIが必ずしも正解をくれるわけではないことを念頭におきつつ、従来の学習法にぜひ新時代ツールを加えてみてはいかがでしょう。リアルコミュニケーションの面白さをいち早く味わえるはずですよ。
協力:DMM英会話