• Intelが「Core Ultra 200S」(Arrow Lake)発表、省電力な新世代デスクトップCPU - AIチップも初搭載

    Arrow Lake-Sこと「Core Ultra 200S series」が正式発表となった。価格は249ドルから。発売は10月24日

米Intelは現地時間10月10日、Arrow Lake-Sの開発コードネームで知られていた新世代デスクトップ向けCPU「Core Ultra 200S series」を発表した。発売は10月24日。電力効率を大きく向上させたほか、モバイル版Core Ultraに続きAI処理用のNPUを内蔵している。計5モデルをラインナップし、最上位モデルにあたる「Core Ultra 9 285K」は、8Pコア+16Eコアの24コアを備え、最大5.7GHzで動作する。

  • Core Ultra 200Sのプロセッサパッケージ。ソケットはLGA1851に移行

5モデルの主な仕様は以下の表の通り。KモデルがXe GPUあり、KFモデルがGPUなしとなる。

  • Core Ultra 200S seriesのラインナップと主な仕様

  • こちらは各モデルのより細かなスペック。TDPはベース(PBP)が125Wで、MTPは250Wか159W

また5モデルの価格は以下の表の通り。最上位のCore Ultra 9 285Kは589ドル、最も安価なCore Ultra 5 245KFは294ドルという価格幅になった。

  • Core Ultra 200S seriesの価格

  • 発売は10月24日から

  • 対応チップセットとしてIntel 800シリーズを用意。今回のCPU発表を受けてしばらくはLGA1851マザーボードのリリースラッシュが続くだろう

  • 対応メモリはDDR5-6400で、最大容量は192GB(DIMMあたり最大48GB×4)

省電力コアのE-Coreは「Skymont」、高性能コアのP-Coreは「Lion Cove」で、E/Pコアともにアーキテクチャを刷新している。省電力での高性能をうたっており、例えばCore Ultra 9 285Kは、前世代のCore i9-14900Kと同等のゲーミング性能を、80W低い消費電力で実現するとしている。

ほか、デスクトップ向けIntel Coreとしては初めてAI処理用のNPUも内蔵した。NPUのAI性能は13TOPSで、プロセッサのパッケージ全体では、GPUの8TOPS、CPUの15TOPSにNPUの13TOPSを合わせた合計36TOPSのAI性能を出せるという。

2024年10月15日追記:
記事初出時、Arrow Lake-SのAI性能の記述を「13TOPS」とすべきところ、本文の一部で「16TOPS」と誤って紹介している箇所があったため、該当箇所を修正しました。ご迷惑をおかけした読者ならびに関係者の皆様にお詫び申し上げます。
  • Arrow Lake-Sでは、Raptor Lakeの半分の電力で同等の性能を実現可能とするなど、電力効率の良さをかなり前面に推し出している

  • ヒートスプレッドの下に収められているArrow Lake-Sのチップ。GPUやSoCの各タイルをベースタイル上に接続したChiplet構成となっている。モバイル版のCore Ultra、Meteor LakeやLunar LakeのChipletと見比べると、Meteor Lakeに近いか

  • NPUは第3世代の「NPU 3」で、Lunar Lakeの「NPU 4」よりひと世代前の、Meteor LakeのNPUと同世代と思われる。ちなみにAI PCは40TOPS以上という要件なので、素直にディスクリートのGPUを追加するのが良いだろう

  • 内蔵GPUのXeは最大4コア。Alchemistベースの内蔵GPU版(Xe-LPG)と見られる

  • L3のサイズは同等だが、L2はRaptor Lakeから増えている

  • ここからは、Intelによるベンチマークテストの結果からいくつか性能指標を紹介して行く。まず、Core i9-14000Kを目安に、Core Ultra 9 285Kが同じ性能を80W低い電力で発揮することと、Core Ultra 7 265Kであれば188W低い電力と15℃低い動作温度ながら、性能低下はわずか-5%というアピール

  • アプリケーションやゲームでの電力削減を確認したグラフ

  • Ryzen 9 9950Xも入れた性能比較。シングルスレッドで14900K比8%、9950X比4%速く、マルチスレッドではさらに14900K比15%、9950X比13%速いとされる。Lion CoveコアのIPC向上とマルチスレッド効率の上昇はあるが、電力効率を度外視したピーク性能でCore i9-14000Kと競うとどうなるかは実際に見てみたいところ

  • 電力枠と処理能力のバランス。125WのCore Ultra 9 285Kが250Wの14900Kを上回る。65W枠の効率がさらに良さそうにも見える

  • 電力が削減できるということは、つまり温度も下げられるということになる。空冷で間に合う場面も増えてくるだろう

  • こちらはCore Ultra 9 285KとCore i9-14000KによるAI性能の比較。Raptor LakeはNPUを持たないのでそこは比較できないが、CPUとGPUだけでも大きく性能を引き上げている

  • ベンチマークテストの最後。3D V-Cache搭載でゲームに特化したX3DのRyzenと比較したもの。ゲームでは分が悪い場面が出てくるにしても、トータルの体験でArrow Lakeが勝るというアピール

  • 今回のArrow Lake-S発表のワンモアシングで、モバイル版のCore Ultraにおいて、来年Q1のH&HXモデルを追加するという予告もあった。オンパッケージのDDR5Xメモリがどうなるか気になる