帝国データバンクは10月10日、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算し分析したレポートを発表した。
家庭の食卓で人気のメニュー「カレーライス」の調理費用で、過去最高値を更新する値上がり局面が続いている。カレーの調理に必要な原材料や光熱費等の価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2024年8月に348円となり、比較可能な2015年以降の10年間で5カ月連続の最高値更新となった。
また、300円台となるのは2023年8月以降、13カ月連続となった。1年前の2023年8月(304円)から44円の大幅上昇を記録し、安価で手軽に調理できるカレーライスのコスト負担増が続いている。肉・野菜の価格が5カ月ぶりに前月から下落した一方で、ライスが過去10年で最高値となる値上がりとなったことが、カレーライス物価が大幅に上昇した要因となった。
「カレーライス物価」、コメの急騰が大幅に押し上げる
カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約6割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月から22円増の209円だった。4カ月連続で200円台の高値が続いたものの、輸入牛肉に加え、ジャガイモなど野菜類も価格上昇が一服したことで、前月(211円)からは5カ月ぶりに下落した。
他方で、「ごはん(ライス)」価格は110円と前年同月(88円)から22円増加し、過去10年で最高値を更新した。「カレールー」(25円、変化なし)は前年同月から大幅な変化はみられなかった。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(3円→4円)では、特に電気代・都市ガス代の値上がりが影響した。
カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年8月の指数は127.0となり、5年間で3割に迫る上昇率となった。同指数の前年同月比では14.5%上昇し、15カ月連続のプラスとなった。
9月のカレーライス物価、1食360円前後に到達の可能性
東京都区部の物価動向を基に予想した9月のカレーライス物価は、1食360円前後まで急騰する見通しとなった。一時期は記録的な高値となったジャガイモ(バレイショ)などで値下がり傾向が見られ、「カレー具材」が1食200円前後まで低下する予想となるなど好材料もある。
ただ、新米の流通がスタートしたことで急激な価格変動に落ち着きもみられるものの、コメ価格が店頭価格で前年比3~5割高となるケースがみられ、「ライス」が1食120円を超える大幅な高値となる可能性がある。カレーライス物価は、当面高値圏での推移が予想される。