花王とコーセーは10月9日、メイクアップ化粧品をアップサイクルした水性ボールペン「Smink Art ペン (スミンクアートペン)」を用いたデザインコンテスト「Makeup Art Pen Award 2024」の最終審査を開催。グランプリを含む10作品が表彰された。
「Smink Art ペン」3色を使ったデザインコンテスト
花王とコーセーは、持続可能な社会の実現を目指し、2021年10月より化粧品事業のサステナビリティ領域における協働を推進。両社は、研究所における研究過程の中で最終的に商品化に至らなかったメイクアップ化粧品を絵の具やインクにアップサイクルする取り組みを行っている。
モーンガータは、サクラクレパスの技術協力のもと、この絵の具やインクをより汎用性の高い水性ボールペン「Smink Art ペン (スミンクアートペン)」に生まれ変わらせた。
多摩美術大学は、この「Smink Art ペン」3色のみを使うデザインコンテスト「Makeup Art Pen Award 2024」を6月26日~9月3日にかけて開催。10月9日、この最終審査が行われた。
Smink Art ペンと学生の才能から生まれた無限のパワー
「Makeup Art Pen Award 2024」の最終審査にあたり、花王 上室執行役員 化粧品事業部門長の前澤洋介氏は「このコンテストを通じて、我々が取り組んでいる環境保護や資源循環の取り組みを多くの方に知っていただき、アップサイクルされたSmink Art ペンと学生のみなさんの才能で生まれたすばらしい作品と無限のパワーを感じ取ってもらいたいと思います」と挨拶する。
会場となったコングレスクエア日本橋には、1次審査で上位10作品に入選した学生が来場。学生自らによって作品のプレゼンテーションが行われた。
作品紹介を終えた10名の学生は一度退場し、会場は最終審査へ。審査を担当する花王の前澤洋介氏、コーセー 取締役 経営企画部長の原谷美典氏、多摩美術大学 美術学部 グラフィックデザイン科 教務主任/准教授の加藤勝也氏、モーンガータ 代表取締役の田中寿典氏が作品の評価を進めていった。
グランプリは化粧品の色彩や輝きを蝶の鱗粉と捉えた作品
最終審査を終え、ついに表彰式と講評の時間がやってくる。優秀賞5作品が発表された後、最終審査上位5名が登壇。関原優奈さんの「バタフライエフェクト」がグランプリを受賞した。
前澤氏は、この作品を「色彩の粒子や輝きを、蝶の鱗粉と捉える発想がすばらしいと思いました。緻密に色を重ねられており、制作工程にも圧倒されます。とても3色で作られたとは思えないような色の広がりがありました」と絶賛。
関原さんは、「この度はすばらしい賞をいただきありがとうございます。正直、自分が受賞すると考えておらず緊張しているのですが、本当に嬉しいです。今回のテーマは『新しい絵の具を買った!!」みたいなワクワク感で描き切ることができたので、貴重な経験をさせていただいたなと思います」とコメントした。
花王賞は宇佐美流華さんの「beautiful」、コーセー賞は吉澤舞さんの「おえかき、おしゃれ、それから、それから、」、多摩美大賞は川村汐音さんの「私たちの未来」、SminkArt賞は増村朋美さんの「繋げる、繋がる」がそれぞれ受賞。
いずれもSmink Art ペンの特性、メイクアップ化粧品からのアップサイクルという背景を踏まえた個性溢れるアートで、会場からはあたたかい拍手が送られた。
受賞作品は花王本社とコーセー「Maison KOSE」で展示
すべての発表を終え、コーセーの原谷氏は「今回、学生さんがSmink Art ペンと化粧品ならではの特徴を活かし、我々が取り組んでいるサステナビリティに対する思いを込め、個性豊かな作品を制作してくれました。期待にあふれた未来を感じられ、やってよかったと感じます。これらの作品を一人でも多くの方に観ていただき、化粧品とアートそれ自体が持つ力とすばらしい関係性をより広くお伝えできればと思っています」と挨拶。コンテストを締めくくった。
なお受賞作品は、「グランプリ」「花王賞」「コーセー賞」「多摩美大賞」「SminkArt賞」が10月12~31日まで東京都渋谷区の「Maison KOSEハラカド」、11月4~15日まで東京都中央区の花王本社で、優秀賞5作品が10月12~31日まで東京都中央区の「Maison KOSE銀座」で展示される。ぜひ現地で、作品から学生たちのパワーを感じてほしい。