10月は3月決算企業の中間決算発表が本格化する月です。発表を控えて投資家が売買に対して慎重になるため、相場は軟調に推移する傾向があるといわれています。今回は実際に10月相場が下がりやすいのかについて、過去のデータを用いて検証してみました。

◆10月は中間決算発表が本格化して「相場は軟調」といわれるけれど、本当?

10月は、3月決算企業の中間決算発表が本格化する月です。発表を控えて投資家が売買に対して慎重になるため、相場は軟調に推移する傾向があるといわれています。

今回は10月相場がどのような傾向にあるのか、過去の株価データを用いて検証してみました。

■検証対象:全銘柄

■検証期間:2000年1月1日~2024年8月31日

■1銘柄当たりの投資金額:20万円

■買い条件:9月末の寄り付きで買い

■売り条件:25日経過後の翌営業日寄り付きで売り

9月末に全銘柄を購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。仮に、勝率が50%以上で損益がプラスならば、10月は株価が上がりやすい月となります。反対に損益がマイナスであるならば、10月は下がりやすい月だといえるでしょう。

以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。

◆10月の株式市場の検証結果

システムトレードの達人

勝率:43.41%

勝ち数:36,211回

負け数:47,206回

引き分け数:1,845回

平均損益(円):-1,857円

平均損益(率):-0.93%

平均利益(円):15,591円

平均利益(率):7.80%

平均損失(円):-15,313円

平均損失(率):-7.66%

合計損益(円):-158,310,670円

合計損益(率):-79,157.99%

合計利益(円):564,575,320円

合計利益(率):282,296.29%

合計損失(円):-722,885,990円

合計損失(率):-361,454.29%

PF(プロフィット・ファクター):0.781

平均保持日数:26.08日

検証結果を見てみると、勝率は43.41%、平均損益(率)は-0.93%となりました。勝率が50%よりも低く、1トレード当たりの平均損益(率)がマイナスになっていることから、10月は下落しやすい月だといえるでしょう。

10月は、3月決算企業の中間決算発表が多く、決算の内容によっては株価が大きく乱高下するリスクがあります。株価が乱高下する相場では、投資家はリスクを避けようと売買に慎重になるため、相場全体が下落しやすくなると考えられます。

◆下がりやすい10月でも好調な銘柄ランキング

次は、下がりやすい10月相場の中で、好調な成績を残している個別銘柄を確認してみましょう。

システムトレードの達人

表は、先ほどの検証結果において勝率が80%以上と高かった個別銘柄のランキングです。ランキング上位の銘柄を確認すると、下記などが挙げられます。

<2293>滝沢ハム【勝率:88.89%】

<9311>アサガミ【勝率:83.33%】

<3997>トレードワークス【勝率:83.33%】

これらの銘柄は、下がりやすい10月相場でも、株価が上がりやすい傾向が見られました。これからの時期、これらの銘柄に注目してみてはいかがでしょうか。

(このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社および関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします)

文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)

国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。

文=西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)