老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。
今回は、65歳6カ月で自己都合退職する場合、高年齢再就職給付金がもらえるのかについてです。
◆Q:65歳6カ月で自己退職しますが、高年齢再就職給付金をもらえますか?
「65歳6カ月で自己都合退職しますが、私は高年齢再就職給付金というものをもらえますか?」(匿名希望)
◆A:「高年齢再就職給付金」はもらえませんが、「高年齢求職者給付金」の支給対象になる可能性が。働く意思があれば、早めにハローワークで手続きを
相談者がもらえるのか気になっている「高年齢再就職給付金」とは、失業給付(基本手当)を受給し、再就職した人を対象とする給付金のことです。
失業給付(基本手当)を受給した後、60歳以後に再就職して、再就職後の各月に支払われる賃金が一定の金額未満となった、60歳以上65歳未満の人が対象となります。
相談者は65歳を過ぎて退職しますので、「高年齢再就職給付金」は支給対象にはなりません。ただ、働く意思があり雇用保険の被保険者期間などの受給要件を満たすと「高年齢求職者給付金」という一時金の支給対象になります。
これをもらうには、原則として次の【1】~【3】の要件をすべて満たしている必要があります。
【1】離職の日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して、6カ月以上あること(1カ月に働いている日数が11日間以上等の条件があります)。
【2】ハローワークへ求職の申し込みをしていること。
【3】失業(就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動を行っているけど、就職できない)の状態にあること。
相談者が65歳から老齢年金を受給した場合、老齢年金と高年齢求職者給付金は同時にもらうことができます。受給できる可能性があればぜひ手続きするといいと思います。なお、退職日がいつになっても、給付金が支給されるかどうかに影響しません。
ただし、高年齢求職者給付金は、自己都合で退職した場合は給付制限があります。ハローワーク等で求職の申し込みをした日から、7日間経過し、さらに2カ月が経過するまで支給されません。給付には2カ月以上かかるということを覚えておきましょう。
支給される一時金の金額は、下記のとおりとなります。
・雇用保険に加入していた期間が1年以上ある場合
基本手当日額×50日分
・雇用保険に加入していた期間が1年未満の場合(※6カ月以上の加入が必要)
基本手当日額×30日分
また「高年齢求職者給付金」の支給を受けることができる期限(受給期限)は、離職日の翌日から1年となりますので、求職申し込みの手続きが遅れると、受給できるはずの日数分の支給を受けることができなくなることがあります。早めにハローワークで求職申し込みの手続きをするようにしましょう。
監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
文=All About 編集部