2024年9月26日から9月29日に幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ 2024」(TGS2024)。出展社数は985社にのぼり、史上最大規模の開催となった。
各社の試遊ブースを巡っていると、限られた時間でゲームの楽しいコアの部分を伝える工夫に驚かされる。
とりわけハードルが高いと思われがちな対戦格闘/アクションゲームにおいても、『餓狼伝説 City of the Wolves(餓狼伝説CotW)』『ドラゴンボール Sparking! ZERO(DBSZ)』の試遊は、開始数分でも楽しめる簡単操作が印象的だった。
多彩なシステムと簡単操作を引っ提げて復活した老舗タイトル
『餓狼伝説 City of the Wolves』は2025年4月24日発売予定の対戦格闘ゲーム。1999年にリリースされた『餓狼 -MARK OF THE WOLVES-』から26年ぶりに再始動したシリーズ最新作だ。
ブースでは、ゲームの試遊だけでなく、コスプレイヤーによるステージも実施。多くの人がカメラを構えて、『餓狼伝説』のキャラクターに扮したコスプレイヤーさんの撮影を楽しんでいた。
本作の目玉は「REVシステム」。ざっくりいうと、「REVゲージ」を消費することで、ガードや必殺技といったさまざまな行動の強化版や、特殊行動を繰り出せるというもの。ただし、REVゲージは連続して使いすぎるとゲージがオーバーヒートしてしまう。
ほかにも、強力なREVアクションを使える「S.P.G.ゾーン」の設定や、ジャストディフェンス、フェイントといった上級テクニックなど多彩なシステムが魅力の本作。はじめから全てを把握して遊ぶのは、初心者には難しい。格闘ゲームそのものに初めて触れる場合にはなおさらだ。
そこで用意されているのが2種類の操作体系。「アーケードスタイル」と「スマートスタイル」だ。「スマートスタイル」はコマンド入力が簡略化されているのに加え、ボタン連打でコンボがつながる「スマートコンボ」を利用できる。試遊では「スマートスタイル」を体験した。
ワンボタンで使える必殺技を当てられれば、経験者顔負けのダメージソースを得られる。一方で、ワンボタンでREVゲージを利用する行動ばかりとっていると、あっという間にオーバーヒートしてしまう。遊んでいると、そんなシンプルながらも重要なシステムの駆け引きが、だんだんとわかってくる。
ボタン連打でコンボがつながる仕組みは先行作品でも見られるが、本作では初心者が駆け引きを学ぶための導線にもなっているわけだ。複雑なシステムを後回しにしても、キャラを動かせているという感覚が楽しい試遊体験だった。
なお、TGS2024開催期間中、『ストリートファイター6』とのコラボが発表され、「春麗」、「ケン」のゲスト参戦が決まった。格闘ゲームシーンの盛り上がりを牽引する一作になりそうで楽しみだ。
オート操作でも楽しい! 圧倒的な原作再現度のド迫力バトル
『ドラゴンボール Sparking! ZERO』は、2024年10月10日発売予定の対戦アクションゲーム。『ドラゴンボール』のキャラクターたちによるハイスピードかつ迫力満点のバトルが楽しい「Sparking!」シリーズの4作目だ。
原作はもちろんTVアニメや劇場版に登場したオリジナルキャラまで、多数のキャラが登場するのが特徴の本作。最新作ではなんと182体(!)のプレイアブルキャラを使用できる。
ジャンルは「かめはめ波」や「舞空術」といったおなじみの技を駆使して戦う3D対戦アクション。最新作では、「リベンジカウンター」や「超見極め」など新アクションが加わり、見た目の派手さと戦略性がさらに進化している。
バトルモードは3つ。原作シチュエーションのバトルを楽しめる1人用モード「エピソードバトル」、本作オリジナルのシチュエーションの「カスタムバトル」、オンラインやオフラインでフレンドとのバトルやランクマッチを楽しめる「対戦」。これらのうち、試遊ではCOM対戦を体験できた。
まずは操作説明を確認。なるほど、遠距離からは「ショートダッシュ格闘」と「ドラゴンダッシュ格闘」があって、そのほかに「バースト格闘」もあるらしい。ラッシュ派生行動には「ホーミングジャンプ」や「空中コンボ」「空中ヘビーフィニッシュ」「ラッシュ見極め」「ラッシュ高速移動」と……やってみなきゃわかんねえ!
いざ対戦。気をチャージすれば草木が揺れ、必殺技を放てば岩場が吹き飛ぶ。本当に『ドラゴンボール』世界で、好きなキャラクターを自分で動かしている感覚。これはすごい。すごいのだが……、それほど強いCPUではないにもかかわらず、手も足も出ずボッコボコにされた。俺を……いじめるなーーーっ!
本作はコンボへの派生やガードなどをワンボタンもしくは自動でできる「バトルアシスト」を搭載。アシストの範囲によって「セミオート」もしくは「オート」の2種類が用意されている。完全初心者の身として「セミオート」でも少し難しいと感じた筆者は、「バトルアシスト」を「オート」に変更してプレイした。
さらに操作キャラには「ブロリー」「セル完全体」「ゴジータ」といった強そうなメンツを選出。相手CPUには「Mr.サタン」と「クリリン」、幼年時代の「トランクス」を選んだ。設定通りの強さなら、相手は命もドラゴンボールもいくつあっても足りないはずだ。
結果、五分五分で戦えるまでにはなった。クリリン、お前がチャンピオンだ……。ただ、オート操作によって行動の幅は間違いなく増え、それらしくコンボもでき、見た目にかなり楽しいバトルとなった。
ハマれば楽しいと分かっていても、慣れない操作を覚えるのが億劫なプレイヤーは筆者だけではないはず。単に難易度を下げればいいというものでもなく、自由に動かすとどのようなことができるか、そのイメージを伝える簡単操作を用意してくれるのは、初心者にとってありがたい。
格闘/アクションゲームのような、慣れるまで複雑な操作が必要なゲームジャンルにおいて、間口を広げるメーカーの取り組みはスタンダードになりつつある。簡単操作を入口に、ゲームのコアである気持ちよさや奥深さへと誘導するメーカーの工夫は進化し続けていると、今回の試遊で改めて感じた。
『餓狼伝説 City of the Wolves』
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『ドラゴンボール Sparking! ZERO』
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