児童手当は、子どもを養育している保護者などに対して、毎月一定額が支給される国の制度です。子どもが生まれてすぐに居住する市区町村で手続きすると、現在は子どもが中学3年生の年度末まで支給されます。ただし、2022年6月より所得制限が設けられたため、所得が多い家庭では支給額が減額され、児童手当自体が受け取れないというケースもあります(2024年9月まで)。
◆図で解説!児童手当はどう変わる?
その児童手当が、2024年10月より大きく変わり、支給対象や支給額が拡大します。この改正で所得制限がなくなり、高校生の子どもまで支給対象になるので、子どものいる家庭はしっかりチェックしておきましょう。
支給額などは図表1のように変更になります。改正のポイントを見ていきましょう。
◆改正ポイント①高校生の年代まで支給対象に
ポイントの1つ目は、支給対象になる子どもの年齢が中学生までだったのが、改正後は高校生(18歳に到達した最初の年度末)までに拡大され、児童手当が受け取れることです。
高校生の子どもがいる家庭にとっては大きな改正で、高校に通学していない子どもでも、満18歳になった年の年度末まで支給対象となります。この改正で新たに児童手当を受け取ることになる家庭は、居住する市区町村の役所で申請手続きが必要です。2025年3月末までに申請すれば、2024年10月分からの児童手当が受け取れます。
◆改正ポイント②第3子以降の支給額が3万円に増額
2つ目のポイントは、第3子以降の支給額が月3万円に増えることです。
改正前は、3歳未満は月1万5000円で、3歳以降は月額1万円のところ、小学生に限って第3子以降は月1万5000円と多めになっていました。改正後は、第3子以降は0歳から高校生まで、年齢にかかわらず1人あたり月3万円になります。
◆改正ポイント③所得制限がなくなる
改正ポイントの3つ目は、所得制限が撤廃されたことです。
改正前は、一定の所得以上の世帯(所得制限限度額※の範囲)では、子どもの年齢にかかわらず、1人あたり月5000円でした。さらに所得が高い家庭で、所得上限限度額※を超えると、児童手当自体がもらえませんでした。
しかし、この改正で、所得が高い家庭でも児童手当が受け取れることになります。
※所得制限限度額と所得上限限度額は、子どもの人数や配偶者の年収によって異なる
◆子どもの人数の数え方も今までとは変わる
今回の改正で、第1子、第2子……などとする子どもの数え方にも変更があります。
改正前は、「18歳到達後の最初の年度末までの子ども」を子どもの人数にカウントし、高校を卒業すると、児童手当の支給対象となる子どもの人数から外れることになっていました。
このため、図表2の例のように、大学生と高校生の子どもがいて、3番目の子どもが中学生の場合、改正前は、中学生の子どもだけが支給対象で、その子は第2子となり、支給額は月1万円でした。
しかし、2024年10月以降(改正後)は、22歳到達後の最初の年度末までの子どもを、子どもの人数として数えることになります。そのため、図表2の例では、大学生の子どもは第1子、高校生は第2子、中学生は第3子となり、支給対象は第2子の高校生と第3子の中学生になり、支給額は合計で月4万円になります。
◆支給月が年3回から年6回に増える
2024年9月までは、児童手当は原則として年3回に分けて、6月、10月、2月に支給されています。支給月に前月までの4カ月の分がまとめて振り込まれる仕組みでした。たとえば、6月の支給月に受け取れるのは、2月分から5月分の児童手当になります。
それが、今回の改正で支給は偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の年6回となります。改正後の10月分と11月分の児童手当は12月に振り込まれます。2カ月に一度の振り込みとなり、これまでより使い勝手がよくなります。
子育て支援として、児童手当がこのように拡充されます。使い道は自由ですが、家計に余裕があれば、少しでも子どものために貯蓄し、先々の教育資金などに充てるといいでしょう。
記事協力:インタープレス
文=All About 編集部